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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「世紀末パリのアヴァンギャルド」展、グッゲンハイム美術館

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11月21日は、ヴェネツィアのサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂のお祭り

教会から目と鼻の先にあるといってよい、グッゲンハイム美術館は毎年、この21日までの1週間、ヴェネツィア住民の入場が無料になる。
最近は、国公立の美術館も、文化省のイニシアティヴなどで年に数回、入場無料になる日があったりするが、こちらは1日だけでなく1週間となかなか太っ腹。なによりも、サルーテのお祭りは、教会のある教区のものだけではなく、ヴェネツィア島の内外からたくさんの人がお参りに足を運ぶから、そのついでに、せっかくだから美術館にも寄っていってね、というのは粋な計らいだと思う。なんで住民だけなの、どうせならみんなに無料開放したらいいのに、と思われるかもしれないが、サルーテのお祭りはやっぱり、ヴェネツィアのお祭り。だからこれは、美術館から市民への、ご祝儀みたいなものといったらいいだろうか。
アメリカ系のモダンアート美術館ながらも、とくに住民に愛されている所以だろう。

人気があるのはそんな「気配り」のためだけではない。ピカソ、カルダー、マグリット、モランディ・・・と珠玉の常設コレクションはもちろん、企画展もいつも、決して期待を裏切らない。



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19世紀末のパリ、新印象派(neo-impressionismo)、ナビ派(nabis)、象徴派(simbolismo)の立役者たち。

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序章は、モネの睡蓮、シスレーの風景画、そして、ルノワールにドガ、ロートレックらの人物像。
正確な均質な筆のタッチによる点描で、光あふれる世界を描いたポール・シニャックは、印象派と呼ばれた、ここから生まれる。

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あるいは、日本の浮世絵などの影響を強く受け、平坦な画面に大胆な構図の、だがちょっと童話的な印象のピエール・ボナール。
さらに幻想的で、ミステリアスな、不協和音のような表現のオディロン・ルドン。
ばーんと派手に金字塔を打ち立てた「印象派」の面々の影に隠れ、ふだんはややもすると地味な存在になりがちなこの時代、きなくさい世の中の社会不安を投影した彼らの作品群は、同じ「世紀末」でもウィーンのそれともまた違い、より繊細で内向的に見える。

町の様子を描いた、あるいは絵本の挿絵のような、ボナールのリトグラフがかなりすてき。

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また、いろいろな画家による「お針子さん」の小品群も面白かった。

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そして再び風景画へ。
ヴェネツィアは、ターナーをはじめ、多くの芸術家にインスピレーションを与えてきたが、シニャックもまた、1904年、1908年にここヴェネツィアを訪れて、水と光の効果に感嘆した、という。印象派の画家たちの合い言葉であった「戸外で(en plein air)」キャンバスに描くのをすでにやめていたシニャックは、たくさんの水彩のスケッチを描き、あとから油彩に仕上げた。

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その水彩もいくつか展示されている。

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ほかに、マクシミリアン・ルース(Maximilien Luce)の風景画やモーリス・ドニ(Maurice Denis)の版画など、ふだんはつい見逃しているような作品などをじっくり見るいい機会だった。

世紀末パリのアヴァンギャルド
シニャック、ボナール、ルドンとその同時代の画家たち
14年1月6日まで

Le avanguardie nella Parigi fin de siècle
Signac, Bonnard, Redon e i loro contemporanei
Guggenheim Collection, Venezia
28 set 2013 - 6 gen 2014
http://www.guggenheim-venice.it/exhibitions/avanguardie-parigine/avanguardie-parigine.html

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21 novembre 2013
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by fumieve | 2013-11-21 18:45 | 見る・観る
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