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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ・17〜閉幕

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昨日11月24日、今年のビエンナーレが閉幕した。
終了1日前の時点で、来場者数が472,247人(したがって最終的には475,000人を超えていると予想される)で、前回2011年と比較して7,3%増加。うち、学生・若者が31.75%。
興味深いのは、内覧会含め、ジャーナリストの入場数が7,110人で、外国メディアが4,655人、イタリア・メディアが2,455人なのだが、全体でなんと前回比56%増。それだけメディア露出度が増え、入場者数増加に貢献したことは確かだろう。
実際、今年の特徴として、閉幕1カ月前の10月の最終週の入場者数は28,386人と、開幕前の内覧会の入場者数20,424人を大きく上回ったらしいが、これは今までになかった現象と言える。真夏の暑い間、夏休み期間は避けて、でも、イタリア内外の多くの人に、ビエンナーレに「(一度は)行かなくちゃ」的な雰囲気が生まれたのは、頼もしいというか嬉しいことだと思う。
期間中のさまざまなイベントのほか、とくに学校やクラス単位の来場に関しては、専用バスなどを用意したのは、近郊の学校にとって、「遠足」を組むいい後押しになっただろう。今後もぜひ継続してほしい。



ヴェネツィア・ビエンナーレは、複雑な、いろいろと矛盾や無理も含んだ不思議なイベントだと思う。
映画祭や演劇、音楽祭も含む、ビエンナーレ財団により運営され、2年に1回、奇数年の開催。1年前に、総合ディレクターが指名され、彼(または彼女)が企画部門のキュレターを務めるのだが、そのテーマがそのまま、全体のテーマとなり、ビジュアル・デザインなどもすべてそれに基づいて用意される。
一方で国別部門には、たとえば今年は88カ国が参加しているが、これらは実は、企画部門のテーマとは関係なく、それぞれが独立してテーマも展示も自由に決める。合わせるのは開催期間と時間のみ。中には、全体のテーマに合わせて展示を決める国もあるが、例えば日本の場合、コミッショナーと参加作家は、総合ディレクターとテーマが決まるよりずいぶん前に決定されており、先行して企画が進められている。いわゆる大国はみな同じような状態だろう。

今年は、総合ディレクターにイタリア人のマッシミリアーノ・ジョーニ氏が選ばれ、「Il Palazzo Enciclopedico(The Encyclopedic Palace、直訳すると百科事典館)」というテーマが示されたが、その彼の仕切る企画部門は、メインの2会場のうち、アルセナーレ会場の前半半分、日本館など国別パビリオンが並ぶジャルディーニ会場内の専用館でこれは地図で見ると面積で言ってざっくり1/3くらい、と、2会場合わせてそのうちの半分弱。
さらに、主要会場の外、いわゆる「町中」に点在する展示は、国別参加で35カ国、さらに公認「並行」展が47で、これはもう完全に独自采配の企画展であり、全くテーマとは関係がない。
ヴェネツィアのビエンナーレは、この全てで成り立っている。
ちなみに、美術展のない、偶数年に開催される建築展も仕組みはほぼ同じ。

国際現代美術展というと、新進気鋭の作家や、あるいは「発掘」された新人の作品が並ぶような期待があるが、ディレクターのジョーニ氏はそうではなく、もっと視野を広げ逆に 過去にも1世紀ほどさかのぼりつつ、 オークションハウスで超高額で取引されるような今ハヤリの作家ではなく、これまで評価されてこなかった、あるいは美術的には価値の低いと思われてきた作家や作品をできるだけ多く見せたかった、と言う。
だから彼の企画部門は確かに、広く求めつつ同時に自省を促すような、ややノスタルジックな感が漂う観念的な展示だったが、それはこの企画部門だけではなく、今回は全体に、ひとことで言えばおとなしい、地味めな展示が多かった。

派手な見せ物がない中で、入場者数が大きく延びたのは興味深いし、とくに、若い世代や子どもたちが増えているのは好ましい。まずは学校のグループで来て、また次回、あるいは数年後に、また今度は個人で戻ってきたくなるような体験ができていれば何よりだと思う。

1つ、今年の特徴として目を引いたのは、イタリアのメディアではあまり指摘されていないように思うのだが、中国の作家の展示がものすごく多かったこと。アルセナーレ会場の「中国館」はもちろん、まあふつうだし、例年、「並行」展の中で、香港、マカオ、台湾は独自に展示をするのでそれも別にするとして、ともかく大小の47の並行展のうち、これもざっとだが規模と作品展示数から考えて、半分まではいかないものの、1/3くらいが中国だったのではないか。さらに驚いたのは、「ケニア」館が実際は、全部中国の作家で埋められていたこと。
もともと、国別パビリオンだって、必ずしもお国の作家だけが参加するわけではなく、国によっては「外国人」の作家を扱うこともあるし、グルジア館のような例もある。さらに、並行展はほんとに独自采配だから、三嶋りつ恵さんの個展の例もあるし、合同展で日本の作家さんが含まれることもある。
だが、そういうレベルではなく、何か圧倒的な数で、あっちもこっちも、タイトルは英語でついているものの、行ってみると実際は「中国館」だった、というところが多いのに驚いた。
もちろん、中にはおもしろい展示もあったし、これだけの展示をすべて理解して見ているわけではないから簡単に評価はできないけれども、世界の人口に占める中国人の割合を考えてもそれ以上の勢いであり、その「数」のパワーがともかく印象に残った。


・・・というわけで、会期はすっかり終了してしまったが、これまでにまだまだ紹介しきれなかったところを、写真だけでも少しずつアップしていきたいと思う。年内終了を目標にしたいが、果たしてどうだろう・・・?

25 novembre 2013
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by fumieve | 2013-11-25 18:58 | ビエンナーレ2013
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