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ヴェネツィア ときどき イタリア

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アントネッロ・ダ・メッシーナ展@ロヴェレート、大混雑!でも大満足!!!

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最初に、展覧会の案内を見て、えっ?と思った。
名の示す通り、シチリアのメッシーナ出身のこの画家に関しては、2006年にローマで大規模な回顧展があったばかり。もちろんイタリアでも、人気のある画家や彫刻家の作品展はテーマを変えて頻繁に行なわれることもあるけれど、アントネッロは現存する作品数があまり多くない上に、ローマではその大半が展示されていた覚えがある。
加えて、このロヴェレートのMart は、現代美術館。15世紀の画家の回顧展を、なぜここで、なぜ今、と不思議だった。



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ここでは、アントネッロがまず、ナポリの画家コラントーニオ(Colantonio)の工房で仕事をしたことを明記することからはじまる。
まずはフランスのアンジュー家、そしてスペインのアラゴン家とナポリの支配者が変わる中でそれぞれの国の美術に触れていたコラントーニオを師と仰ぎ、アントネッロもその影響を受けた。
アントネッロ・ダ・メッシーナを語る上で欠かせないフランドルの絵画にも、フランス経由で出会ったという。彼らの、写真のように精密で一糸乱れぬ筆致、そして油彩という手法に、触れる。
そしてまた、イタリア中部出身で、当時人気を博していたピエロ・デッラ・フランチェスカ(Piero della Francesca)の作品にも、ナポリで出会うことになる。

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一方に、フランドルの画家ヤン・ファン・アイク(Jan van Eyck)、コラントーニオの、微細な描きこみの宗教画、一方にピエロ・デッラ・フランチェスカの「アラゴンのアルフォンソ王の肖像」と、一見全く違う絵が並ぶが、そういわれるとなるほど、アントネッロはこの両方からそれぞれの利点を学んでいることがよくわかる。
といっても、単なる「いいとこどり」ではなく、それらを消化・吸収し、やがて自分の独自の様式を確立していくのが、やはりすばらしいところなのだが。

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また、存命中のヴェネツィア滞在は1年ちょっととわずかながら、ヴェネツィアの画家たちとの相互に与えた影響の大きさから、 アントネッロ・ダ・メッシーナ(Antonello da Messina)は、ヴェネツィアでは「異色のヴェネツィア派」くらいの重要な位置づけにある。こうしてあらためて見ると、なるほど、簡単に言われているように「フランドル」だけではない、すでに国際的なさまざまな要素で構成されたアントネッロの絵は、ヴェネツィアの画家たちにとって大きな発見であっただろうし、アントネッロにとっても、同じフランドルを取り入れつつも、また違う形で発展しつつあったヴェネツィア独自の絵画は新しい出会いであったに違いない。

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アントネッロ自身の作品を、素描2点含め29点展示したローマの「大」回顧展とは異なり、とくに彼の修業時代を含む周辺の画家の作品も紹介する、というふれこみだったので、正直のところ本人の作品はごくわずかなのだろうと、あまり期待していなかったのだが、それがどっこい。見始めると、むしろ周辺の画家よりも本人の作品がほとんど、それも、あらっこれも?えっあれも!?という感じで、いわゆる代表作のほとんどが揃っている感じ。

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実際、自作が17点だから、会場の狭さを考えるとたっぷり感満載。とくにシチリアから、ほぼ全ての作品が出ているのはうれしい驚愕で、よかった、この期間にシチリアに行く予定にしていなくて・・・と本気で思った。あえて言うと、パレルモのアバテリス美術館にある聖人像3点のうち、「聖ヒロエニムス」しか出ていなかったのはちょっと残念。ほかの2人も含め、初めて見たときに、背後の金箔に浮く模様といい、それぞれの聖人の顔、そしてまとっている装束といい、タメイキをつきながら行きつ戻りつつ、何度も観た覚えがあるので・・・。
ほかに、ローマにあってこちらでなかったのは、数点の肖像と、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの「書斎の聖ヒロエニムス」、ドレスデンの「聖セバスティアン」。前者はやはりすばらしい作品だけれども、今回のほかの作品との関連からすると外してもいいかなと思われ、また後者は、キュレターが図録の中で「(ローマの前の修復で)全然別の作品になってしまった」とこき下ろしている。

唯一の難点といえば難点は、思っていた以上の大混雑、とくに行ったのが土曜日の午後だったせいかグループ客が多くて、1つの作品に少なくとも常に1グループはいるくらいの状態。絵の前にしばらく立ちふさがっているのが申し訳ないくらいだった。(そうは言っても、観たいものは十分に立ちふさがって観たけど。)

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後半のハイライトにあたる、おそらくアントネッロの作品の中で最も有名なパレルモの「受胎告知」を観て、最後に、初期の作品、同行の友人が「秋田小町」と名付けた「受胎告知(を受けるマリア)」のところに戻ってくるようになっているのはなかなか気が利いている。立ち位置によっては十分に両方が視野に入るので、あらためて見比べることができる。

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(館内撮影禁止のため、画像はすべて http://www.artribune.com/ から拝借した。)

アントネッロ・ダ・メッシーナ
ロヴェレート、Mart
2014年1月12日まで

Antonello da Messina
Mart, Rovereto
5 ott 2013 - 12 gen 2014
www.mart.tn.it

4 dicembre 2013
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by fumieve | 2013-12-05 05:11 | 見る・観る
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