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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「天上の舞、飛天の美」、サントリー美術館

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イタリアでキリスト教美術をかじっているというのに、日本の、とくに仏教美術についてはほとんど何も知らない。
サントリー美術館は好きな美術館だし、今回も何となく面白そうだと思ってとくに前準備もなく飛び込んで、入ったとたんにそんな重大な事実に気がついた。
情けないことに、作品タイトルを含むさまざまな用語も、そして図像、その表現されているものについても、自慢じゃないけどほぼ知識ゼロ。

導入の解説によると、

空を飛び、舞い踊る天人は「飛天」と呼ばれ、インドで誕生して以来、優美で華麗な姿で人々を魅了し続けてきた

・・・らしい。だが、知らない=慣れていないから、何をどう見たらいいのかわからず焦る。



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ところが、これは案外、西洋美術、キリスト教美術ともよく似ているような気がしてきた。
しょせん宗教的なものというのは自ずからかたちが定まってくるのか、あるいは、直接・間接に美術表現が影響し合っているのか。そこのところがまた無知なまま恥ずかしげもなくこれを書いているので、もしご存知の方、間違いに気付いた方はぜひご指摘いただければ・・・。

たとえば、ガンダーラの仏伝浮き彫り。2-3世紀とあるが、丸彫りに近い浮き彫りで、重要な「場面」がリアルに生き生きと表現されているのは、まさに同じころのローマの石棺と似ている。

そして、7世紀になると、浮き彫りも浅く滑らかになっていくのと同時に、掘り出された仏三尊が完全に正面を向き、それぞれ左右対称に描かれているのも、やはりちょうど西ローマ帝国崩壊後の中世イタリアにおけるビザンチン風のキリストや聖人像を思わせる。

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後光を伴う、12世紀の阿弥陀三尊像は、救世主キリストを中央に2人の聖人が囲む、ゴシック様式の三翼祭壇画のよう。背側の細かい透かし模様も、これまではほんとうによく見たことがほとんどなかったのだが、ここの中にもよく見ると飛天が埋められていたりして、これも天使や大天使が上から見守っているのと一緒。

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そして、この展覧会のハイライト、平等院鳳凰堂の修理落慶に先立つ特別公開だという国宝「雲中供養菩薩像」と、同じく国宝「阿弥陀如来坐像光背飛天」。

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雲に乗ってさまざまな楽器を手にする飛天たちは、 これまたキリスト教の祭壇画などに登場する「音楽を奏でる天使たち(Angeli musicanti)」とそっくり! それもなんとまた軽やかで楽しげなこと。やわらかな表情と自然なポーズ、今にも美しい音が流れ出してきそう。日本の仏教美術がこんなに華やかなものだったとは。 イタリアで特に流行するのは、ラファエロやジョヴァンニ・ベッリーニなどで知られる通り、ルネサンス(15世紀)以降だけど、こちらは12世紀だから300年も早い。
それにしても、堂内の彫刻装飾は、ふだんはなかなかこうして間近で見ることができないけれど、こうした機会にじっくりと、目の高さで見ることができるのはありがたい。

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もっと日本のことを知らなくては、と大いに反省させられた。

(画像はすべて、公式サイトより拝借した)

平等院鳳凰堂平成修理完成記念 天上の舞、飛天の美
サントリー美術館
2013年11月23日〜2014年1月13日
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2013_5/index.html

8 gen 2014
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by fumieve | 2014-01-08 19:37 | 日本事情
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