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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ローマの中世初期美術館

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地下鉄B線のはじっこの方、Eur Sportから歩いて5分ほど。お役所の並ぶ新市街というと、何やらかっこいいスーツの男女がさっそうと歩いているのではないかと期待するが、実際は平日の昼間というのに、巨大な建物の間の道路に、車がものすごい勢いで走っているだけで、人はほとんど見かけない。
EUR(エウル)という地区は、ローマの中でも決して好んで行きたい場所ではないが、実は、いくつもの博物館が並ぶエリアがあって、巨大な民族博物館(Museo delle Art e Tradizioni Popolari)と、巨大な先史博物館(Museo Nazionale Preistorico Etnografico “Luigi Pigorini”)にはさまれるように、中世初期美術館(Museo Nazionale dell’Alto Medioevo)もある。




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1967年にオープンしたというこの博物館は、ローマの歴史の中ではつい忘れられがちな、中世初期、つまり、西ローマ帝国崩壊後から「中世」といわれる時期の形成に焦点をあてている。
先日紹介した、ライオンやトラの「オプス・セクティレ(Opus Sectile、石の象嵌)」は、ここの最後のハイライト。

入ってすぐの第1室は、ローマの皇帝たちの頭像で、これはまさに、ローマの名残り。中央のガラスケースに入った「黄金の留め具(fibula d’oro)」は、板の部分の長さがせいぜい7-8cmだろうか、よく見ると十字の周りをぶどうの蔓が埋め、その渦の中に葉や鳥が描かれている。ビザンチン(東ローマ)の高級役人のものとされるが、同時期の彫刻装飾などと共通するモチーフなのが興味深い。

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それに続くのが、イタリア中部、ノチェラ・ウンブラ(Nocera Umbra)およびカステル・トロジーノ(Castel Trosino)で発掘された、ロンゴバルディ族の埋葬品一式。ロンゴバルディ族は6世紀に北東部からイタリア半島に侵入、北部〜中部にかけて各地で公国を作って統治するが、さすがにローマには彼らの力は及ばず、ローマ近郊ではその遺跡・遺産がないからだろう、現地のものは現地で展示が原則のイタリアにはめずらしく、ここローマで展示されている。(現地にもあるのかもしれない。)

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ロンゴバルディものの量で言うと、圧倒的にチヴィダーレの国立考古学博物館のほうが多い。とくに、死者の胸に縫い付けたという金の十字架は、模様入り、貴石入り、とあちらのほうがヴァリエーションも断然豊か。

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それでも、やはり、凝りに凝ったバックルやブローチなど、金銀の工芸の細かさに感嘆、中にはチヴィダーレでも見たことのなかったようなものも、存在する。
とくに、マルケ州アスコリ・ピチェーノ(Ascoli Piceno)に近いカステル・トロジーノの方は、アドリア海に近いため、ビザンチン(東ローマ)の影響を受け、より豪華で派手好みらしい。東ローマ帝国の金貨を、ガラスのビーズと合わせそのままパーツに使ったネックレスもあった。

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続いてはローマ郊外、ヴェイオのサン・コルネリア(S. Cornelia presso Veio)、ボッチェア通りのサン・ルフィーナ(S. Rufina sulla Via di Boccea)から。おなじみの、このブログで勝手に「ビスケット彫刻」と名付けている幾何学模様を中心としたレリーフ。

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そして同じサン・ルフィーナから、この美術館内で唯一の、床モザイクも展示されている。

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忘れてはならないのは、エジプトの織物。エジプトにいるキリスト教徒のことをコプトと呼ぶために、とくにこの時期の織物をコプト織りと呼んでいるが、独特の茄子色と、細かい織り模様が特徴で、古代ローマからキリスト教、そしてイスラムへとさまざまな文化と宗教が行き来したエジプトらしく、実際は図像のヴァリエーションも豊かで、1つ1つ見ても飽きない。

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余談だが、この美術館、入るときに写真を撮っていいか聞いたら「少しなら」と言われ、嫌な予感がしたのだが、入ったとたんに、監視の女性がものすごくうるさくて閉口した。最初の1枚で騒ぎ始め、3枚ぐらい撮ったところで、責任者(らしき人)を呼んでくる始末。さらにあと2枚くらい撮ったところで、今度は「あなたの行動はすべて監視カメラで撮影しているから」と・・・。

ところが、途中で、パシャパシャパシャという音に気がついて振り返ると、アメリカ人学生らしき数名のグループが、みんな片っ端から写真を撮っている!・・・しかも、悪いけど、どう見ても中身に興味がありそうな感じではない。監視は?と探すと、都合良くなぜか姿を消していた。
禁止なら禁止、完全許可制なら許可制にはっきりしてくれれば、従うのに・・・。
それなら、きちんとしたカタログがあるかというとそれもない。

なので、今回、撮りたいものが全部撮れていないのがほんとに残念。
イタリアでは、マニアックな行動をとると、どこかから人が出てきて、ふだんは見られないものを見せてくれたり、親切にされることは多々あるのだけど、稀にこういう人もいる。

せっかくいい博物館なのに、ほとんど宣伝もされていないし、この日もおそらく、入場者数合計10名もいないのでは?14時閉館、入場は13時までと公式サイトにも明記されているのに、13時ごろ、中にいるのがふたたび私1人になってしまうと、ものすごい圧力で追い出しにかかり、13:20に出たとたんに扉をきっちり閉めていた。

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Museo Nazionale dell’Alto Medioevo, Roma
http://archeoroma.beniculturali.it/musei/museo-nazionale-dell-alto-medioevo

16 gen 2014
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by fumieve | 2014-01-16 19:54 | ほかのイタリア
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