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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ベッロッティ展、カ・レッツォニコ

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「ヴェドゥティズムのアーカイヴ。もう一人のカナレット」と、かなりモノモノしいタイトルがついているけど、18世紀にヴェネツィアで大流行した風景画、ヴェドゥディズモ(vedutismo)のうち、あまり知られていない画家たちを紹介していこうというもので、その第1回めがピエトロ・ベッロッティ(Pietro Bellotti)ということらしい。



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ヴェドゥティズモといえばまずなんといってもカナレット(Canaletto)だが、ピエトロ・ベッロッティは、そのカナレットの甥にあたり、兄ベルナルドも画家として知られる。

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遠近法を忠実に利用し、精密に、まるで写真のように描いたのがヴェドゥティズモ。これらを、英国の裕福な家庭、おもに貴族の子弟が、まあ一種の個人豪華修学旅行とでも言うべきか、総合教養の一環としてイタリアの名所旧跡をめぐるグランド・ツアーと呼ばれる旅が流行した際に、旅の思い出に、そして「おみやげ」として競って買い求めたが流行の発端。周遊先は、ローマ、ナポリ、フィレンツェにヴェネツィア。一昔前なら絵はがき、今なら自分で撮る写真の代わりに、彼らはヴェネツィアの風景を描いた油彩画を持ち帰った。
ちなみに、その人気に目をつけて、ヴェネツィアでグランド・ツアーの若者たちを待ち受けているだけでなく、カナレットらを直接英国で売り込んだのが、当時、ヴェネツィアに駐在していた英国大使ヨセフ・スミス(Joseph Smith)。なので今でも、ヴェドゥティズモの作品は、英国に多く存在する。

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18世紀の館をそのまま利用したカ・レッツォニコ美術館の常設、入口からはいって最初の3室を利用した展示、まず最初はヴェネツィアの風景。ほんとうに建物はほとんど今と変わらず、変わっているのは人と船。ゴンドラにまだ屋根というか駕篭がついており、モーターボートや水上バスがなく、パラッツォ・ドゥカーレの前にはドージェ用の豪華船が。
精密なのはもちろんカナレットも一緒なのだが、なんというか、より「線」が強調されているというか、すっきりとやや冷ための印象。あとで上階のカナレットを見て思ったのは、カナレットはきっちり精密なようでいて、案外「色」の要素が強いことに気がついた。同じ建物を描いていても、壁のシミや汚れのようなものまで表現されていてよりリアルであたたかいというのだろうか・・・。
第2室はヨーロッパの旅。アムステルダム、ロンドン、ドレスデン、ブダペスト、ウィーン・・・と羨ましいくらいにヨーロッパの各都市を回っているのだが、彼のこの「冷たさ」のせいだろうか、近代都市の町中の風景は、左右対称、線はあくまでもまっすぐで、あまりにも整いすぎてあまり魅力を感じない。今行くといずれも、それらがすでに歴史を重ねているためか、とても魅力的なのに・・・。
そう思うと、完全に人工的に作られた都市とはいえ、自然の摂理にさからわず、蛇行の潮の流れに従って建てたヴェネツィアは、どこを見ても直線だけで構成されていることはなく、変化に富んでいる。なぜヴェネツィアの風景がこれだけ人を引きつけるのか、あらためてわかったような気がした。
第3室は、これもやはり英国子弟たちの好んだ遺跡廃墟。「つわものどもが夢のあと」シリーズを私は勝手に名付けているが、田舎の風景の中に、古代の建築物と思われる大理石の廃墟がぽつんとたたずんでいるもの。
さらにカプリッチョ(capriccio)と呼ばれる、一見本物のようだけど、実は合成したり空想の産物であったりと実在しない風景画。

・・・と、ヴェドゥティズモの再確認をしつつ、久々に訪れた同美術館で、カナレットはもちろん、ティエポロの天井画やピエトロ・ロンギのヴェネツィア風俗画など、18世紀ヴェネツィアをあらためて堪能した。

(画像はすべて、公式サイトから拝借)

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ベッロッティ
ヴェドゥティズムのアーカイヴ。もう一人のカナレット
カ・レッツォニコ18世紀美術館
4月28日まで

Archivi del vedutismo.
Pietro Bellotti. Un altro Canaletto
7 dicembre 2013 - 28 aprile 2014
Ca’ Rezzonico
http://carezzonico.visitmuve.it/

2 feb 2014
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by fumieve | 2014-02-02 18:22 | 見る・観る
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