ブログトップ

ヴェネツィア ときどき イタリア

fumiemve.exblog.jp

モザイクの旅・番外編〜トリノのサルヴァトーレ教会跡

a0091348_9464665.jpg



トリノ。大きくて立派なドォーモ(Duomo、大聖堂)の隣にひっそりと、なにやらガラスのピラミッドのようなものが貼り付いている。

このドォーモの場所には、もともと3つの教会が寄り添うように建っていて、面白いことに3つ合わせて司教座教会としての役割を果たしていたらしい。
一番北側にあったのが、サルヴァドーレ教会(Chiesa del Salvatore)で、紀元後4世紀末と思われる、バジリカ(長方形)型3廊式聖堂の、東側の後陣の部分が現ドォーモの地下で見つかっている。

a0091348_947143.jpg


a0091348_9464174.jpg


ピラミッドの中にあるのは、このブログでしばしば紹介しているような4-5世紀、つまりローマ時代後期のモザイクではなくて、もう少し時代が下って12世紀のもの。
サルヴァトーレ教会は、11世紀の改装工事でクリプタ(cripta、地下祭室)が作られ、さらに12世紀に、聖職者席を拡張した。
これは、その部分の床モザイク。
1909年に偶然発見されたあと、一度ははがして美術館に移動されていたものの、1989年に当初発見された位置に戻されている。
・・・それはいいのだが、このピラミッド型のガラス、どうにもこうにも見づらい。建物の外、広場の一角にあるから、雨風をしのぎつつ、誰もが見学できるようにきっとこういうことになっているのだろうけど・・・う〜ん、端っこはともかく、興味深い真ん中の方とかがほとんど見えない・・・(涙)。

a0091348_9475891.jpg



描かれているのは、「幸運の擬人像」。中央にいる「幸運」が「人の運を支配する輪」を回している。(・・・のはずなのだが、この肝心の「幸運」が、そう思ってみればそうかも、という程度・・・涙・・・この上の写真と、一番下の写真のみ、www.museotorino.it より拝借。)

a0091348_9465576.jpg


その周りには動物たちが描かれているが、彼らは、「波=大洋」の輪に囲まれ、さらにブリテン、スコットランド、オークニー、トゥーレ(?)の島々が見える。

さらに四隅からは「風」が吹く。つまりそれは、「世界地図」。

a0091348_9473644.jpg


a0091348_9464239.jpg


a0091348_947113.jpg


a0091348_9472633.jpg


a0091348_9475173.jpg


教会の中、それも聖職者席などのより重要な部分に、キリスト教とも旧約聖書とも直接関係のなさそうな、人間の営み一般や空想上の動物など、「世界」を現すような図像が描かれているのは、まさにこの時代、ロマネスクと呼ばれる教会建築の特徴。
これまで紹介してきた中でモザイクでいうと、ほぼ完璧に現存するプーリア州オートラントの大聖堂をはじめ、ポンポーザの修道院付属聖堂(写真なし)、あるいは床からはがされてしまっているけど、ラヴェンナのサン・ロレンツォなど、ローマ時代の鮮やかで写実的なモザイクに比べると、少ない色数、こどもの絵みたいな、ひとふでがきみたいなつたない表現がなんともいえない味わいを醸し出していて、楽しい。

a0091348_94749100.jpg


Torino, Chiesa del Salvatore

a0091348_9475453.jpg


17 feb 2014
[PR]
by fumieve | 2014-02-18 10:02 | モザイクの旅
<< ポルディ・ペッツォーリ美術館の... サンタ・キアーラ修道院の回廊、つづき >>