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ヴェネツィア ときどき イタリア

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好きなものは好き!、カンディンスキー展、ミラノ

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好きに理屈はいらない。

カンディンスキーは私が初めて、積極的に好きだと思った画家。小学校から高校まで、美術は特別に興味があった方とは言えない私が、「いいな」「きれいだな」とかでなく、「ものすごく好き!」と思ったのは、学生時代に国立近代美術館で見たカンディンスキー展で。そんなわけで、見る前はカンディンスキーの名前もろくに知らなかったはずで、デパートの展覧会はときどきのぞいていたけれども、なぜそのとき、わざわざ初めて近代美術館に足を運んだのかも思い出せないけれど、今から考えるとあれはまさに人生を変える出会いだったかもしれない。
もっとも、その直後に急に熱心な美術ファンになったわけでもないけど、それでも、絵を見る楽しさを知り、徐々に世界が広がっていったのはやはりそこからだと思う。

今でも、あちこちの近現代美術館や展覧会で、カンディンスキーの作品に出会うと、おお〜相変わらず健在なのね、と、旧友に会ったかのような、嬉しなつかしな気分になる。もちろん、最初に東京で見た作品だけではないが、どれもこれも大好きで、ニタニタしてしまう。

ミラノで開催中の、カンディンスキー展はだから、それはもう期待に違わず、やはりすてきだった。



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愛は盲目。・・・と言っていいのかどうか、作品はこんなに好きなのに案外、ワシリー・カンディンスキーという人についてはあまり気にしていなかった。モスクワ生まれの彼は最初、法律を勉強して、その道にすすんでいたらしい。絵を始めたのは、30歳のとき。天才少年とはまた違うところに、なんとなく親近感を覚える。もっとも彼は、大器晩成、いや大晩成するのだけれども。
父方はロシア系だが、母方はドイツに近い地方の出身ということもあり、若きワシリーはドイツの文化にも親しんでいたという。そして1896年にミュンヘンで絵の学び始めてからは、ドイツが彼の心の地となった。
ところが、第一次大戦が勃発、1918年にロシアへの帰国を余儀なくされる。
終戦後、1921年にバウハウスへ。はじめは学生として、だがその翌年には教える立場に。ところが、33年にはナチによりバウハウスが閉鎖。追われるようにパリへ。だが彼は最後まで、ドイツへの帰還を願っていたという。

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ミュンヘン時代。
見る機会が少ないけれど、初期の作品はすべて風景画、ほとんど印象派と言っていい。海岸や、旅先のチュニジアの路地を描いたもの、どれも小品だが、やはりどうしてだか、どれも好き。紙にテンペラで描いた作品には、なんとヴェネツィアも!

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「騎士」を経て、そして「抽象へ」。ミュンヘン時代に始まった「色」と「形」の研究から、有名な「インプレッション」シリーズが生まれる。そのための多くの習作。その中には、抽象というよりもファンタジーな挿絵のよう。

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戦時下のロシアでもその研究が続くが、ふたたび戻ったドイツの、バウハウス時代は、幾何学的な形、その中でも正円を好んで描くようになる。
きっちりとした幾何学模様だけなのに、不思議と日本画のようだったり、逆に完全に「抽象」だったり。
その中で、今回あらためて、音声ガイドを聞いてはじめて気がついたのは、実は舟と櫂のようなモチーフを多用していること。

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(↑ははっきりと、ゴンドラでないけど、汽船のモチーフが・・・)

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そういわれていると、あちこちにゴンドラやヴェネツィアの橋、水面で揺れる櫂や杭の影がちりばめられているようにも見える。ヴェネツィアは旅行で来ただけのようだが、ほかの多くの画家に大きなインスピレーションを与えたように、彼にもやはり何か影響するものがあったのだろうか。

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ナチスの台頭、バウハウスの移転にともない、ヴァイマールからエッサウ、そしてベルリンへ。そこも追われフランス、パリへと向かう。
「色」と「形」。パリではその集大成をなしているように見える。やがてパリも、ナチの支配下へ。だが彼の絵はもはや、まわりの影響を受けない。いろいろな体験と思いが昇華して、見れば見るほど、楽しく、明るく、祝祭的になっていく。

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そして、いつかドイツへ戻りたいという希望は、ついに叶うことがなかった。

カンディンスキーの絵は、どちらかというと音楽との関係で説明されることが多いが、こうしてあらためて彼個人の歴史をたどっての展示もよかった。(・・・というか、そんな理屈ぬきに、絵を見るだけで、頭に血がのぼって胸がどきどきして、うわああああ〜っとなってしまうから、どちらにしてもやはり好きなものは好き、なのだけど。)

(画像はすべて、http://www.tripartadvisor.it/ から拝借した。

カンディンスキー、ポンピドゥー・センター・コレクションより
ミラノ、パラッツォ・レアーレ
4月27日まで

Kandinsky
La collezione del Centre Pompidou
Milano, Palazzo Reale
17 dic 2013 - 27 apr 2014
http://www.kandinskymilano.it/

27 feb 2014
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by fumieve | 2014-02-27 15:23 | ほかのイタリア
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