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モザイクの旅・番外編〜リミニ市立博物館

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「外科医の家」が再現されているリミニ博物館は、もちろんそれだけではなくて、先史時代の発掘品からローマ時代、そして絵画館も充実のかなり大きな博物館なのだが、全部は紹介しきれないので、ここではいっそモザイクに集中。

ローマ共和国時代から帝政時代へ、ともに発掘された日用品などとともに、大小の床モザイクが展示されている。まだキリスト教が公認される前のことで、こうした邸宅の床モザイクはいずれも、日常の生活や神話の一場面を描いたものが多い。



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空に浮かぶヴィーナスは、こうして壁にかかっているせいもあって、ポンペイの「ヴィーナスの家」を思わせる。(このモザイクは床模様)

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ヴィーナスも美しいのだが、メダルの中のメドゥーサは、カラヴァッジョの絵を思い出される方も多いのでは?だがこれは、ナポリ国立博物館にもやはり床モザイクで似たようなものが展示されている。

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残念ながら、上半身が残っていないものの、お祭りか何かの行列の絵。ローマ帝政時代でも後期にあたるのだろう、周囲の縄模様がかなり凝っている。

ヴィーナスは比較的大きなパネルだが、いずれも、床いっぱいに人や場面を散らしているのではなく、幾何学模様で比較的細かく分割された中にこれらの「絵」が埋められており、そのバランスが絶妙。

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テーマとして興味深いのは、「ナイルのモザイク」と呼ばれている、こちら。(写真左)

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白地に、大きくいくつも人物というか動物像を配しているのも、上記に対し例外的だが、どうやらエジプトの神々と思われる像が描かれている。

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もともとは、ギリシャの神々を始め、多神教であったローマ人は、エジプトの文化への憧れや敬意を込めて、こんな図像も楽しんだ。リミニからはファラオ像も見つかっているらしい。まあ、外国文化や旅行好きなイタリア人が、なんとなく曼荼羅などを部屋に飾ったりするのと同じことかもしれない。

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そして、「外科医の家」と並ぶハイライト。
すべてモノクロで描かれた、「ヘラクレスの間」と呼ばれるこの部屋のモザイクは、肝心のヘラクレスは中央に小さく君臨しているものの、ローマ人の好んだ彼のテーマ、猛獣との戦いなどの生々しいシーンは一切現れず、全体はむしろ質のいい織物(カーペット)のようになっている。

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現在ディオレッターヴィ館(Palazzo Diolettavi)と呼ばれる建物のある場所で見つかったもので、紀元前2世紀末から1世紀初めごろのドムス(邸宅)で、紀元後3世紀後半に火事で崩壊したことがわかっている。

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そして、海の町リミニらしいのがこちら、ずばり「海のモザイク」。「ヘラクレス」と同じドムスから発見されたモザイクは、これまたモノクロで、港の活動の様子が描かれている。線で描かれた一見シンプルな絵なのだが、これが近くで見れば見るほど、その表現力に感心する。

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たとえば、人1人のサイズはせいぜい10数センチ(推察)、テッセレの数にして120くらい(数えました!)。腕や足はそれぞれ横幅テッセラ2つ、胴体で5-8くらいというラフさにもかかわらず、なんと生き生きと人の体と動きが写し出されているのだろう!ふくらはぎや太もも、おしりのふくらみ、手の指はちゃんと10本、極細のテッセレで現し、顔だって、横顔の目鼻を作ることによって、ちゃんとそれらしく見える。そしてなんといってもこの体の動き。はっきり言って、私が鉛筆でデッサンするよりうまい・・・(当たり前か?)

もちろん、海洋史学的に言うと、この船の形なども立派な参考資料であろう。

これまで(モザイク的に)全くノーマークだったリミニで、思わぬ大収穫だった。

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Museo della città, Rimini
http://www.museicomunalirimini.it/musei/museo_citta/

10 maggio 2014
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by fumieve | 2014-05-10 16:45 | モザイクの旅
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