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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ポルディ・ペッツォーリ美術館、須賀敦子さんのエッセイより

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最近なんとなく、須賀敦子さんの本を読み返している。

どれも何度も読んでいて、だからほぼ暗記しているようなつもりなのだが、それでもたまにこうして読み返すと中には、ああ、こんなエピソードもあったか、とか、あらためて、ああ、そうそう、と思ったりするものもある。



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全体の話としてはこれもよく覚えていたのに、あっ!と改めて思い出したのは、「ミラノ 霧の風景」の2つめ、「チェデルナのミラノ 私のミラノ」というエッセイ。少女時代に、大伯母の遺産でスカラ座の桟敷を受け継いだという著者の本から、須賀さん自身があらためて思い出したミラノのあれこれを軸に展開するこのエッセイは、須賀さんにはめずらしく、彼女自身はほとんど直接触れることのなかった、だが実はすぐそばにあった「きらびやかな」ミラノが登場する。
その遺産のもとがミラノの一美術蒐集家であったこと、彼の館と収集品が現在は美術館として公開されていること、著者チェデルナも、小さいころから先生に連れられて美術館に通っていたこと・・・
ミラノのスカラ座にほど近い、ポルディ・ペッツォーリ美術館が、遠い昔の化石のような「博物館」ではなく、実際につい数十年前に生きた人々のぬくもりの残る生きたコレクションとして目の前に現れる。

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・・・チェデルナによると、これは侯爵が1879年(明治12年)に遺言によりミラノ市に寄付したもので、彼が生涯をかけて蒐めた美術品に加えて、爾来、市が年々コレクションをうけついで現在にいたった。著名な評論家で美術蒐集家であったバーナード・ベレンソンによると、この美術館はロンドンのワレス・コレクション、ニューヨークのフリック・ギャラリーと共に(そして当然、ベレンソンは自分の居宅であったフィレンツェ郊外のヴィッラ・イタッティを数えていただろう)、「あたまをつかって蒐めた」という点で、世界有数のコレクションに数えられるという。
(「ミラノ、霧の風景」、チェデルナのミラノ、私のミラノ、より抜粋)


そう確かに、私も1997年に初めてミラノにきたときに、まっさきにこの美術館を訪れたのだった。イタリア美術にまったくうとかった当時はやはり、大好きな陶磁器やタピスリー、ガラスなどに目をみはったように思う。

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時が経つうちに、イタリア美術をかじったりしているうちに、ここの絵画コレクションのすばらしさをあらためて気付かされることになった。

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この珠玉のコレクションが、今、日本で公開されていると知ったら、須賀敦子さんもどんなに驚かれたことだろう。

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もはや遠く、決して戻らない(古き良き)ミラノの社交界の香織と、同時に、今もこうして受け継がれているミラノの財産とを、東京と、月末からは大阪で多くの日本のみなさんに体感していただけるようになるとは、まさに隔世の感ありき、といったところだろうか。

今回の写真は、日本に出品されていない、留守番部隊たちを中心に。

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展覧会を見て、今回は出ていない作品はもちろん、入口の螺旋階段やダンテのモチーフの書斎をはじめ、現地でしか味わえないものを観に、またこちらにも足を運ぶ方が増えたら嬉しい。


ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション
東京展 2014年4月4日(金)〜5月25日(日)
大阪展 2014年5月31日(土)〜7月21日(月)
http://www.poldi2014.com/

Museo Poldi Pezzoli, Milano
www.museopoldipezzoli.it

13 maggio 2014
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by fumieve | 2014-05-14 00:39 | 読む
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