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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第14回ビエンナーレ国際建築展、開幕〜イタリア世界

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6月4日朝、ねぼけ頭にいきなり飛び込んできたのは、ヴェネツィアの可動式堤防「モーゼ」の工事に絡み、現職市長をはじめ35名が収贈賄の疑いで逮捕、というニュースだった。
イタリアでも日本でも、大規模な公共工事でのこういった不祥事は、残念ながら珍しいこととはいえない。だが、この日はよりによって、ヴェネツィアの重要なイヴェントの1つ、建築ビエンナーレの内覧会初日。なのに、なのか、だから、なのか、ともかく第14回建築ビエンナーレの内覧会は、祝祭的な日にふさわしい晴れ渡った青空の下、こうしてヴェネツィアにとって不名誉な事件とともに幕を開けた。



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今年の総合ディレクターは、ロッテルダム出身の建築家、レム・コールハース(Rem Koolhaas)氏。ジャーナリストから建築家に転身したという異色のオランダ人建築家が選んだテーマは、fundamentals 。
そして、その総合ディレクターが直接管轄する、アルセナーレ会場のうちコルデリーエ(Corderie)とよばれる前半部分では、Monditalia (モンディタリア、イタリア世界)と題した企画展を展開。イタリア各地とそれを囲む国々、ヨーロッパを対象にした41のリサーチ・プロジェクトでイタリアという国の現代の問題を浮き彫りにした。

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この「ビエンナーレ」という国際展は、もともと、現代美術の国際展として19世紀末にスタートし、これまでに映画、音楽、ダンス、シアター、そして建築が独立した経緯があるが、今回はここに、そのそれぞれの部門の参加を促したのも大きな特徴の1つ。

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地中海の古地図を大きくプリントした布をうねるように会場全体を貫かせた様子は、まさに地中海に突き出すイタリア半島を思わせる。広いというよりひたすら長い、どちらかというと使いづらい会場の特性を生かした大胆な展示、さらに、両脇に映画のスクリーンを並行に垂らし、ところどころに「舞台」を配置してアクセントをつける。

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映画は82本、舞台は6カ所。いわゆる建築展でよく見られるように、設計図と模型、写真を徹底的に見たい人にとっては、ひょっとしたら物足りないかもしれない、そのくらい、あらゆる要素が混在しているが、統一感のある一方、長い長い会場を歩いていても全く飽きない見事な展示だと思う。

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そして、航海の海に乗り出すような、その大胆な展示の中身はなかなか厳しい。

2009年にイタリア中部をおそった地震の震源地近く、多くの犠牲者も出したラクイラ(L'Aquila)の現在。

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その年、本来はイタリア・サミットが予定されており、そのための大コンベンション・センターが建設されるはずだったサルデーニャのマッダレーナ島では、建設途中で放り出されたそのモノは、決して完成されることはなく、そして解体されるでもなく、むなしく、そこに無惨な姿をさらしている。

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そう、イタリアは中断した大規模公共工事の多いことでも知られる。
ヴェネツィアの逮捕劇を予見したかのような展示に思わず苦笑する。

廃墟といえばイタリアには、ポンペイという世界遺産もある。そう、ローマ、ギリシャ時代から綿々と、イタリア各地に残る歴史・文化遺産。重要な観光資源であるそれらをもっと大切に、そしてもっと有効に活用すべきなのではないか。

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そうして浮き上がってくるのは、「建築」物にも寿命があって、どんなものでも永遠・永久ではないということ。もちろん、メンテナンスや修理、修復作業によって、その命を長らえることはできる。だが、モニュメント含め、建築物が何らかの用途を持って作られるものだとすると、果たしてその用途が、何十年、何百年先までほんとうに必要なものなのかどうかも考えなくては。
何世紀も越えて、「世界遺産」になっているものはまあ、いい。だが、イタリアに限らない、人間はこの100年の間にずいぶんとたくさんの「巨大廃棄物」を作ってきたものだと実感する。

こればっかりは、やはり写真ではうまく伝わらないのだけど、考えさせられる、面白い展示だった。

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ヴェネツィア建築ビエンナーレ、昨日6月7日に開幕、11月23日まで。

Mostra Internazionale di Architettura
fundamentals
7 giu - 23 nov 2014
www.labiennale.org

8 giu 2014
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by fumieve | 2014-06-08 15:11 | 建築ビエンナーレ2014
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