「倉」をテーマにした今年の日本館。
日本の建築家やデザイナーはイタリアで高い評価を得ている上、それを裏付けるようにこのビエンナーレでも過去の受賞回数が圧倒的に多い。そのため、ヴィジターの期待値も高いのだろう、内覧会(6月4〜6日)期間中、いつのぞいても常に人でいっぱいだった。
建築展に欠かせない、模型や図面、写真はもちろん、建築家たちの調査メモ、古い建材のかけらに専門誌。それらが、博物館然とすべてケースに収まっているのではなく、手にとって、パラパラとページをめくったり、写真を繰ったりできるのもあるものだから、皆ついつい、何かいいものがあるのではないかと思って、真剣に「何か」を探し始める。
この熱気、このまなざし、何かに似ている・・・そうそう、骨董市とかがらくた市とか、そういう雰囲気。
もっとも顕著だったのが、青焼きコーナー。
言ってみれば、日本の建築家たちの設計図といえば、これはもう建築関係者にとってはまさにお宝。もしもし、売りものじゃありませんよ?と声をかけてあげたくなってしまうくらい、奪い合い寸前の様子に思わず笑ってしまった。バーゲン会場と違うのは、男性が圧倒的に多かったことぐらいだろう。
偶数年に開催されるこの建築ビエンナーレと、奇数年に開催される美術ビエンナーレと、通常は総合ディレクターの決めるテーマとは別に、国別のパビリオンは独自に、自由な展示を行なっている。ところが今年は、ディレクターであるコールハース氏が、各国に Absorbing Modernity: 1919-2014 という共通のテーマで、つまりこの100年の各々の建築の歴史を振り返る展示を行なうよう呼びかけた。
その結果、各館がどうしても、年代別、様式別の建築物の写真や模型を並べた似たような展示になってしまうきらいのあった中、日本館は、1970年代を日本の建築の転換期として軸に据え、ここから過去を振り返り、また、国際的レベルで注目の的である現在の日本建築への道のりを、単純な線上の発展ではなく、多くの(雑多な)要素の集積として示した。羅列的でなく、お宝発見的なインタラクティヴな会場作りが、より、多くのヴィジターの関心を惹きつけたことは言うまでもない。
・・・上には、ミラーボール、下には・・・
丸太のミニ講演室。
Padiglione del Giappone
In the real world
Commissario : Kayoko Ota (太田佳代子)
Commissari aggiunti : Keiko Tasaki, Manako Kowata, Yoko Oyamada
Curatore : Norihito Nakatani (中谷礼仁)
Curatori aggiunti : Hiroo Yamagata(山形浩生), Keigo Kobahashi(小林恵吾), Jin Motohashi(本橋仁)
8 giu 2014