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ヴェネツィア ときどき イタリア

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アクイレイア、大聖堂のクリプタ

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アクイレイアの大聖堂について、その最も古い教会の床モザイクについては、そこここで何度も書いているけれど、あらためてさらって見ると、逆にモザイク以外については、ほかにも魅力はいろいろとあるにも関わらず、ほとんど紹介していなかったことに気がついた。




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例えば、大聖堂のクリプタ(Cripta、地下聖堂)。
ローマ帝国でキリスト教が「公認」された直後に建てられた4世紀の教会の床モザイクの、一部を切り取るようにして現在の聖堂が建てられたのは1031年、ポッポーネ大司教による。クリプタはすでに9世紀、マッセンツィオ大司教時代に作られていたが、当初はよりシンプルな長方形だったのを、11世紀に今の形に改築している。天井と壁面に描かれたフレスコ画は、12世紀に入ってからのものとされる。

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描かれているのは、キリスト受難の物語のほか、この教会が聖母マリアと合わせて捧げられている、エルマコラ(S. Ermacora)という聖人の生涯。

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キリスト受難の場面は、嘆き悲しむ人々の表情がドラマチックで、同時代のビザンチン様式とよばれるスタイル。図像的にも、たとえばこれは、聖母マリアが死んでベッドに横たわっているのだが、その脇で見守るのはキリスト。赤ちゃんのようにおくるみにくるまれた、マリアの魂を抱いて、天に持ち帰ろうとしているところで、これはビザンチン教会では必ず登場するが、逆に西洋のローマ教会では珍しい。

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そしてこのクリプタ、聖人たちの装束が、布フェチにはたまらない。

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その昔、織物は金銀に匹敵、あるいは場合によってはそれを上回る高価なもので、寄進にも使われていたから、王侯貴族のみならず身分の高い聖職者も、こうして豪華な衣装を着せて描かれているのが普通なのだが、とくにすごいのがこれ。

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赤地に円をきっちりと埋め、その円の内側が真珠の輪のようになった「連珠文」、その中に動物が描かれているところまで、以前、龍村コレクションで見た古代裂のパターンと酷似している。もちろん、日本から直接ここアクイレイアへ伝わったわけではないが、もともとは中国なのか、あるいはペルシャなのか、大陸で生まれ、発展したデザインが東と西と、それぞれに届いて継承されていっているのかと思うと感慨深い。隙間を埋める唐草模様も手を抜かず凝っていて美しい。

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布といえば、壁の一番低い部分、絵が残っているところが少ないのだが、だまし絵のカーテンに、騎馬の場面が描かれており、どうやら宗教がではなさそう。
この、足元に疑似カーテン、というパターンは、ほかにもイタリアのロマネスク教会で見られる。

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「龍村平蔵 「時」を織る」展
http://fumiemve.exblog.jp/17699693/

アクイレイアの歴史的背景含む、大聖堂解説
北イタリア モザイクの旅 第2回 アクイレイア大聖堂
http://www.japanitalytravel.com/back/mosaici/2011_06/06.html

考古学博物館
http://fumiemve.exblog.jp/11713309/

アクイレイアの孔雀
http://fumiemve.exblog.jp/13875804/

6 ago 2014
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by fumieve | 2014-08-07 08:28 | ほかのイタリア
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