8月10日、聖人ロレンツォに捧げられたこの日は毎年、流れ星がたくさん見られる、ということになっている。「サン・ロレンツォの夜」というと、タヴィアーニ兄弟による同題の映画を思い出される方も多いかもしれない。
奇しくも今年は、満月が一段大きく見えるという「スーパームーン」と重なって、明るすぎる空で星が果たして見えるのかどうか心配だったけれど、そんな心配をよそに、地元の有志団体による「サン・ロレンツォの夜、スペイン料理スペシャル」によんでいただいた。
この日のテーマは「赤」。何か赤を纏ってくるように、全身でも、一部でもよし、とのことだったのだが、老いも若きも、男性も女性も、結構しっかりと「赤」を着こなしているのはさすが。ゴージャスな赤珊瑚のネックレスは当たり前、男性は赤シャツ、女性は真っ赤のワンピース(というかドレス)率も高くて感心する。もちろん、チーフ1つ、大輪の髪飾り1つでもいいのだけど、なんにしても、そういうものが似合う人たちだと思う。
(いっそ、ちゃんと撮らせてもらうのを前提に、カメラを持っていけばよかった・・・残念)
本日のシェフは、ブラジル出身、スペインでも仕事をして、現在はヴェネツィアにいるというエドアルド氏。
まずはスペインといえば定番のトルティーリャ、そして、具だくさんのポテトサラダに、細かいフライドポテトを合わせた、Salpicónというサラダ。ガスパチョよりもっと「強い」という、Salmorejoという冷たいスープは、刻み卵と干しぶどうを添えて。
揚げたてアッツアツのコロッケ、とろとろの中身は鶏と黒ビール。
そしてそして、もちろんスペインといえば、のパエリアは、トマト味でもサフラン味でもなく、鶏とムール貝の味がしっかりしみ込んだ、スペシャル。
(写真ブレブレ・・・涙)
デザートのチョコレート・タルトは、軽くてさくさくの生地に、あま〜いチョコレート・ソースがとろ〜り。
フルーツたっぷりのサングリアのほか、パイナップルのカクテル、
白ワインは、Cava de Terano, Tinto de Terano 。
ブッフェとはいえ、本格的なごちそうを、ただ食べるだけでないのもまた、面白いところ。
ところどころで、女優のヴァレンティーナさんによる、スペイン20世紀初頭の詩人、ガルシア・ロルカの詩の朗読あり。もちろんテーマは、星や夜、ヴェネツィアにちなんだもの。
Garcia Lorca
Le stelle
Le stelle non hanno fidanzato.
Tanto belline, le stelle!
Aspettano un rubacuori che le porti ad una sua ideale Venezia. Tutte le notti s’affacciano
alle grate - oh cielo di mille pieni! - e fanno segnali lirici ai mari d’ombra che le circondano.
Ma attente, ragazze, perché quando morirò vi rapirò una dietro l’altra sul mio cavallo di nebbia
(http://digilander.libero.it/fatabuna/garcialorca.htm )
星 ガルシア・ロルカ
星たちには恋人がいない
なんて美しい、星たちよ!
いつか誰かに心奪われ、
あこがれのヴェネツィアへと連れていってくれるのを待っている。
毎夜、格子窓に向き合って
おお、一面に輝く空!
まわりを取り囲む闇の海の中で、詩をささやいている。
だが気をつけて、君たち、僕が死ぬときには、1人、そしてもう1人とさらって、僕の霧の馬の背に乗せていくから。
(上記イタリア語訳より、拙訳)
やはり空が明るすぎたのか、残念ながら流れ星は確認できなかったけど、お腹と心の満たされた、すてきな夜だった。
帰り道に出会った猫と、
月。
10 ago 2014