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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第71回ヴェネツィア映画祭・3〜組織犯罪

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「生きる」難しさは、アメリカもまた変わらない。

フロリダ州オーランド。「アメリカン・ドリーム」を絵に描いたような、裕福な郊外型住宅街。
だが、ここでもまた、生きていくために、いや、その理想的な生活を保つためにはやはり、「悪」に手を染めなくてはならない、らしい。彼らにとってはそれは「悪」ですらなく、「ビジネス」ということなのだろうけど。
簡単に言うと、住宅を担保にローンを組んでいるのだろう、それにしても、不動産屋が連邦政府の肩代わりと称して、ある日、警察を従えて家を差し押さえにくるのだから恐ろしい。



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映画祭オープニング上映の「バードマン」に出演していたエマ・ストーンと、「スパイダーマン」共演以来、実生活でも交際中、とゴシップ先行のきらいのあったアンドリュー・ガーフィールドが、若い(未婚の?)父親役を好演。最初は正直のところ「収入に見合わず、ムリなローンを借りたのだろう」などと思って見ていたが、それ以上に、詐欺まがいの手口で次々と家を取り上げていく仕組みに唖然・・・。
正直に地味に生きたいと思っても、油断も隙もあったものではない。前後左右、あらゆる方向からの攻撃や罠に最大限注意していないといけないらしい。
ぎらぎらの成功者、ほとんどマンガみたいな悪徳不動産屋を演じるマイケル・シャノンも◎。昨年のように、最優秀男優賞のダブル受賞というのもアリかもしれない。

99 Homes、米、112’
Ramin Bahrani監督
Andrew Garfield, Michael Shannon, Laura Dern, Noah Lomax

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上記とうってかわってこちらはイタリア南端部、カラブリア州の半ば打ち捨てられた山間の村。かつて、父親を犯罪組織によって殺されたというルチアーノは、山でヤギを飼ってひっそりと暮らす。末弟ルイージは地元の「組長」として組織を仕切っている。上の弟ロッコはミラノでその支店というのか、支社的な役割を担当。麻薬取引で潤い、羽振りのいい伯父たちが、堅物ルチアーノの息子、レオにはかっこよく見える。

そもそも、全員が強面のうさんくさい男軍団、中でも主役だと思ってマークしていた人があっという間に消されてしまい、こちらも動揺。
1978年に、コッラード・スタヤーノ(Corrado Stajano)というカラブリア州アフリコ(Afico)出身の作家が、50年代の同地を舞台にした同題(Anime Nere、黒い魂)の小説を映画化。だが、現代に置き換えても全く違和感がない。
南イタリアの犯罪組織とそこで暮らす女たちを描いた、テーマとしては特に目新しいものではないが、誰もが主役であり、誰もが主役でない、多角的な視点で描かれているために、見ているものもいつの間にか巻き込まれていく。
最初に殺されてしまったルイージ役のマルコ・レオナルディ(Marco Leonardi)は、「ニュー・シネマ・パラダイス」のトト、あの少年ではなく青年役と知りビックリ!
また、存在感抜群の彼らの老母は、2年前にDaniele Ciprì監督の「息子だった(è stato il figlio)」でも強烈なおばあちゃん役を演じたアウローラ・クアットロッキ(Aurora Quattrocchi)。この映画、ほぼ全編、カラブリア方言でしゃべっているのだが、パレルモ(シチリア)出身の彼女は最初、カラブリア語でセリフをつけるのを拒否したという(笑)。その頑固さが、あの映画でもこの映画でもいい味を出している。

Anime Nere、伊、仏、103’
Marco Leonardi, Peppino Mazzotta, Fabrizio Ferracane, Anna Ferruzzo, Barbora Bobulova

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もう1つ。
2012年に「ピエタ」で韓国初の金獅子賞を射止めたキム・キドク監督、「作家週間」部門のコンペ外、オープニング上映で登場した。
文字通り、闇の中での犯罪、残虐な復讐。
これもまた、このままではどうにもならない、どうにかして這い上がりたい人々とそれを搾取する、目に見えない存在。
残虐なシーンも、加害者に同情せざるを得ない状況を暗示し、見る側の負担を軽減してはいるのだが。ただ、それも彼の手法であり特徴の1つなのだろうが、やや繰り返しが多く間延びする印象を免れない。昨年の「ピエタ」のほうが、正直のところよかった。

ONE ON ONE、韓国、122’
Kim Ki-Duk 監督
Don Lee, Kim Young-min, Lee Yi-kyung, Cho Dong-in, Yoo Teo

31 ago 2014
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by fumieve | 2014-08-31 20:35 | 映画
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