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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第71回ヴェネツィア映画祭・5〜そして女は強し

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アル・パチーノの向こうを張って堂々登場したのは、カトリーヌ・ドゥヌーヴ。
いや、アル・パチーノは主演2本引っさげて、だし、ドゥヌーヴは主演でもないから、名優大対決、というわけではないのだけれども、それでもこの2人が同日に登場したのは、さすが映画祭というか、これぞ映画祭だった。最近のスターには敵わない圧倒的な存在感。私は古い映画をたくさん観ているほうではないけれども、それでも、あの年代の大スターというのは威厳が違う。

紅白で言うならば、白組大優勢、ここまで女性の存在感が薄かった作品群の中で、フェミニン・パワーが(ようやく)炸裂したのが、この作品。





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ドゥヌーヴとマルチェッロ・マエストロヤンニの娘、キアーラ・マエストロヤンニと、シャルロット・ゲンズブールが姉妹役、その母親役がカトリーヌ・ドゥヌーヴ様というので、これも話題先行な感あり。
そこへ登場したのはなんと、先日、チャップリンの棺を盗むコソ泥エディを演じたブノワ・ポールヴールド(Benoît Poelvoorde)!
仕事に疲れた中年男役の彼が、この美人姉妹と三角関係に陥ってしまうのだから、これぞ役得、役得。残念ながら彼が不在だった記者会見では、まさにそこのとこ、突っ込まれていた。3美女勢揃い・ドゥヌーヴ様君臨の記者会見が、これまたとても面白かったのだが、話が長くなるので別の機会に。
いや実は、チャップリンの方でも、キアーラと彼はいい関係になっており、かなりデジャヴ感。今、はやりの俳優さんなのだろうか?

パリでないフランスのどこか、薔薇の花咲く洋館(当たり前だが)に暮らす、仲のよい美人姉妹とその母。父親(夫)は不在。運命の出会い、神様のいたずらと、不幸なすれ違い、そして再会。実は姉妹でそれと知らずに同じ男を愛していた・・・と、70年代の少女マンガの匂いぷんぷん。強いていえば、相手が白馬の王子様でない、というくらい。
出番もセリフも、決して多くないのに、母親役のドゥヌーヴ様の存在感が光る。それはある意味、「母」という存在そのものの重みともいえる。

余談だが、あらためて見ると、キアーラが父親のマエストロヤンニにほんとうにそっくり。目元、口元、ちょっとした表情。生き写しとはまさにこのことかと思った。

3 coeurs、仏、100’
Benoît Jacquot監督
Benoît Poelvoorde, Charlotte Gainsbourg, Chiara Mastroianni, Catherine Deneuve

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ドゥヌーヴ様が演じたのが、絶対的、理想的な存在としての母だとすると、母性愛が完全にネガティヴで悲しい方向に炸裂してしまったのが、イタリア人監督サヴィエロ・コスタンツォの、ただしNYを舞台にした英語の映画。

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アレルギー体質ならば仕方がないとして、主義主張としてのヴェジタリアンやヴェガンについては、私は個人的には全く賛同できないどころか興味もないけれど、大人が、それぞれ個人の趣味で実行する分にはもちろん個人の勝手だと思う。(一種のゼイタク病だとも思うが。)だがそれでもやはり、それを育ち盛りの子どもにも押し付けるのは、完全に親のエゴだと思うし、決して肯定できるものではない。
だが、食べ物のことではなくて、たとえば子どもの教育のことだったり、住居のことだったり、生活そのものだったり、どんなに仲のいい夫婦でも考え方が異なることはいくらでもあるだろうし、増して、嫁姑問題は古今東西決して簡単なことではないことは、夫も子どももいない私でも十分に想像できる。

ヴェネツィア映画祭常連、Alba Rohrwacherが、我が子を大切に思うばかりに極端な方向へ向かってしまう神経質な母を、今回も好演。今のところ、女優さんが傑出した作品がないため、最優秀女優賞の超有力候補だろう。うまいのは確かだし、ほぼ毎年参加のヴェネツィア映画祭で、これまでも取っていないのが不思議なくらい。
・・・というか、女優賞を取らせるために毎回、彼女の作品が選ばれているような気すらする。

Hungry Hearts、伊、109’
Saverio Costanzo監督
Adam Driver, Alba Rohrwacher, Roberta Maxwell

1° settembre 2014
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by fumieve | 2014-09-02 05:50 | 映画
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