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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第71回ヴェネツィア映画祭・7〜神は存在するか

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むかしむかしあるところに、アルシネとルシネという名の、かわいいふたごの姉妹がおりました。二人は、町でかじ屋を営むお父さんと、やさしいお母さん、おじさん、おばさんや従兄弟たちと一緒に、しあわせにくらしていました。
・・・




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人は極限状態に置かれたときに、どうするのか。
これは「野火」の中でも問われ続けたテーマだし、今回の映画祭では、コンペティション部門、少なくとも前半は「生きるために」どこまでできるのか、どこまでするのか、を問う作品が多かった。
現トルコ南東部、マルディン(Mardin)という町に住む双子の一家に異変が起きたのは、1915年のことだった。第一次世界大戦が開戦し、オスマントルコ帝国は民族主義に傾倒していく。ふたごの一家ら、アルメニア人も、それまでは町の中でトルコ人と分け隔てなく暮らしていたのが、ある日、男たちが全員、召集と称して否応なく連れ去られていく。強制労働に駆り立てられた彼らはのちに、女子供たちもまた町から追われ、身一つで徒歩で、強制移住をさせられていることを知るのだった。
仲間を、そして兄弟を失った双子の父、ナザレは間一髪のところで虐殺を逃れ、妻と娘達を求めて一人、旅に出る。 かつては教会に通い、強制労働の下で与えられた貧しい食事の前にも感謝の祈りを忘れず、命と引き換えに改宗を求められても信仰を捨てなかった彼もやがて神を信じられなくなるほどの壮絶な日々。 過酷な環境の砂漠の中をさまよう姿は、数日前に観た「Loin des hommes」を思いださされる。イタリアのメディアがギリシャ神話に例えて「アルメニア人のオッデュッセイア」と評していたので、てっきりせいぜい地中海沿岸をさまようものかと思っていたら、大西洋も越えてしまうのでちょっとビックリ。実際、その後のストーリーがやや冗長になりすぎた感あり。その前で止めておけばよかったのに・・・と、ちょっと残念だった。

The Cut、独・仏・伊・ロシア・カナダ、ポーランド、トルコ、138’
Fatih Akin監督
Tahar Rahim, Akin Gazi, Simon Abkarian, George Georgiou

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上記の、アルメニア人虐殺という悲劇については、トルコ人とアルメニア人という民族の対立と同じくらいかそれ以上に、イスラム教とキリスト教の対立が引き金となっているのだが、では、宗教とは何かを、世界各地の映画監督に、それぞれの国の宗教をテーマにした短編を作らせ、オムニバスとしてまとめた作品がこちら、「 Words With Gods」(コンペ外、特別招待)
日本からは「リング」シリーズを中心とするホラー映画で知られる中田秀夫監督が参加。震災で家族を失った一人の男の姿を描いた。仏教の「四苦八苦」をテーマに据えつつ、神社にも手を合わせている姿はやはり不思議で、彼らの目にはどう見えたのだろうか。
カトリック、イスラムなど、厳しそうな宗教の話が逆に比較的笑いを取るような作品になっていたりするのが興味深かった。それだけ宗教と生活が切り離せないということかもしれない。

Words With Gods、メキシコ、129’
総監督 Guillermo Arriaga
参加監督 Emir Kusturica, Amos Gitai, Mira Nair, Warwick Thornton, Hector Babenco, Bahman Ghobadi, Hideo Nakata, Álex de la Iglesia
出演 Yaël Abecassis, Masatoshi Nagase, Pepon Nieto, Emir Kusturica, Damian Bichir, Yilmaz Erdogan, Chico Diaz, Miranda Tapsell, Ram Kapoor

4 set 2014
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by fumieve | 2014-09-05 08:07 | 映画
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