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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第71回ヴェネツィア映画祭・10〜スウェーデンに初の金獅子賞、ロシアが銀

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この映画祭、とくにコンペティション部門の作品を片っ端から見ていると、「なんじゃこりゃー!?」と思う作品がたいがい、1つ2つはある。
今回は比較的、映画としてわかりやすく、全体に粒ぞろいな作品がひしめき合う中で唯一、「なんじゃこりゃー!?」と思ったのがロイ・アンダーソン監督の「存在について考えながら枝に止まる鳩」。上映後になぜか地元メディアの反応が異常によく、評価が高かったのでマズいな〜と思っていた。昨日、9月6日に授賞式が行なわれ、案の定、この作品が金獅子賞(最優秀作品賞)を取ってしまった。




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奥さんらしき人が台所で料理を用意している間、ワインの栓を抜こうとしてふんばって、心臓麻痺を起こして倒れてしまう男性。フラメンコ教室で、若い男性の体をなめるようにさわりまくるセクハラおばさん講師。笑えない「お笑いグッズ」を売り歩く暗い男2人組、または、ふつうのバールに騎馬正装で突然現れるスェーデンのチャールズ13世がいきなりウェイターを連れ去ってしまう・・・。
笑えるような笑えないような、エロでもグロでもなく、シュールなのかブラックユーモアなのかよくわからない場面が淡々と続く。わけがわからない、という意味において哲学的といったらいいだろうが・・・。

斬新というほどでもないけれど、コンペ作品20本の中で、まったくダントツに個性的で独自の存在が際立っていたのは確か。 受賞後の挨拶で、「最も好きで影響を受けたのは、ヴィットリオ・デ・シーカ監督の『自転車泥棒』」とコメントしていて、ますます訳がわからなくなった。
もう一度観て、今度はそのよさがわかるかどうか試してみたい。

En duva satt på en gren och funderade på tillvaron (A Pigeon Sat on a Branch Reflecting on Existence)、スウェーデン・独・ノルウェー、仏、101’
Roy Andersson監督
Holger Andersson, Nisse Vestblom

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「今どき、誰が手紙なんて書くものか」。
ロシア北部の、湖のほとりの村の老いた郵便配達員。本人が映画の中でつぶやくように、実際に彼が配達する郵便物は、そう多くない。だが彼は毎日、小さなモーターボートで町へ渡り、郵便物とともに、頼まれた買い物をし、それを届け、ついでに村に住む老人たちの家を一軒一軒訪ねては彼らの顔を見、声をかけてまわっている。
明るい光を受け、ひっそりと、青い水をたたえる湖の風景が驚くほど美しい。
ひっそりと静謐な、ほとんど時が止まったかのような世界の中に、カラフルにはずむゴムボールのように動きを与えるのは、配達員が密かに心を寄せる女性の息子。

そう、ここでもまた、物語を司るのは、おじさんと少年だった。(今年、女性はいったいどこへ行ってしまったのだろう???)
だがその静かな暮らしの中で、ある日事件が発生する。自らの足であるボートの、モーターが何者かに盗まれてしまう。彼はモーターをなんとか獲得するため、いろいろと画策するのだが・・・。
たった1人の郵便配達員のみが現代社会との接点になっている、現世から隔離されたような人々のふつうの生活を淡々と描いたこの作品、出演者のほとんどが、俳優でなくほんとに現地に暮らす人々らしい。

斬新ということはないが、映像の美しさでは群を抜いていたこの作品が、今年の銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した。

Belye nochi pochtalona Alekseya Tryapitsyna (The Postman’s White Nights) 、ロシア、90’
Andrei Konchalovsky監督
Aleksey Tryapitsyn, Irina Ermolova, Timur Bondarenko

7 set 2014
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by fumieve | 2014-09-07 19:36 | 映画
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