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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第71回ヴェネツィア映画祭・13〜女性、欧米(大国)不在

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映画祭(コンペ部門)を席巻していたのは、悩めるおじさん(おじいさん)とけなげな少年。女性不在が顕著だった今年、欧米もまた希薄な存在だった。




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審査員特別賞
ルック・オブ・サイレンス
The Look of Silence
デンマーク、フィンランド、インドネシア、ノルウェー、英、 98’
Joshua Oppenheimer監督
http://fumiemve.exblog.jp/20146528/

最優秀男優賞
アダム・ドライバー
Adam Driver

最優秀女優賞
アルバ・ロルバケル
Alba Rohrwacher

Hungry Hearts、伊、109’
Saverio Costanzo監督
Adam Driver, Alba Rohrwacher, Roberta Maxwell
http://fumiemve.exblog.jp/20157301/

最優秀新人賞
ロマン・ポール
Romain Paul
Le dernier coup de marteau、仏、82’
Alix Delaporte監督
Romain Paul, Clotilde Hesme, Grégory Gadebois, Candela Peña, Tristán Ulloa
http://fumiemve.exblog.jp/20168944/

最優秀脚本賞
Ghesseha (Tales), イラン、88’
Rakhshan Banintemad監督
Fatemeh Motamedaria, Peiman Moadi, Baran Kosari, Farhad Aslani, Mohammadreza Forootan, Golab Adineh, Mehdi Hashemi, Atefeh Razavi, Habib Rezaei, Hassan Majooni, Mehraveh Sharifinia, Shahrokh Forootanian, Rima Raminfar, Babak Hamidian, Negar Javaherian

http://fumiemve.exblog.jp/20146528/

審査員特別賞
シバス
Sivas、トルコ・独、97’
Kaan Müjdeci監督
Dogan Izci, Çakir, Ozan Çelik, Muttalip Müjdeci, Ezgi Ergin, Hasan Özdemir, Furkan Uyar, Okan Avci, Hasan Yazilitas, Banu Fotocan
http://fumiemve.exblog.jp/20168944/

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金獅子賞を取ったスウェーデン、北欧はもちろん大きくは欧州の一部であるが、フランス、ドイツ、英国、オランダ、ベルギー・・・といった「クラシックな」ヨーロッパからすると新しい存在。銀獅子賞のロシアは、日本からするとヨーロッパの一部に見えるかもしれないが、ヨーロッパ、少なくともイタリアではヨーロッパとカウントしていない。

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審査員大賞、「ルック・オブ・サイエンス」のオッペンハイマー監督は、米国人でデンマークを拠点としており、製作はデンマークほか、だが、題材も舞台も、完全にインドネシアである。

辛うじて食い込んだのは、各俳優賞。
最優秀女優賞を取ったイタリアのアルバ・ロルバケルは、個性的で演技派、毎年のようにヴェネツィア映画祭に参加して女優賞候補と言われていながら、これまで無冠だった。今回、コンペ部門でこれだけ女性の存在が薄いのは、彼女に女優賞を取らせるためのセレクションなのではないか?疑ってしまったほど。実質、彼女と、中国作品「Chuangru zhe (Red Amnesia、闖入者)」のLü Zhongとの一騎打ちとなったが、最終的にアルバに軍配があがった。

最も納得がいかなかったのは、最優秀男優賞。
女優賞のアルバ・ロルバケルと、「ハングリー・ハーツ」で若い夫婦役を演じたアダム・ドライバーが、いわば同作品としては「ダブル受賞」。が、女優はともかく、男優は今回、熱演のイケメンが続々、よりどりみどりだった中で、彼が、群を抜いていたとも思えない。

そして、最優秀新人賞を得たのは、フランスの15歳の少年、ロマン・ポールくん。この部門は今回激戦で、ほかにトルコ映画Sivasの少年、ロシア映画Postman の少年。
個人的には、「野火」の森優作くんを密かに応援していたのだが・・・。

評価の高かった割に無冠に終わった「バードマン」よろしく、悩み、苦しみ、それを考えずに淡々と暮らす、ちょっと疲れた男性はもはや、かつてのようなスーパーヒーローではありえず、弱々しく頼りない存在。そんな男性たちをはねのけ、来年は、元気で楽しい女性が登場してスクリーンを賑わせてくれるといいなと思う。
また、不遇な環境の下で、素直にのびのびと育つ少年は、将来への光そのもの。地球はまだ、捨てたものでもないのかもしれない。

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9 set 2014
by fumieve | 2014-09-10 06:44
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