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ヴェネツィア ときどき イタリア

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第71回ヴェネツィア映画祭・14〜イタリアの影と光

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ヨーロッパの核をのぞいた周辺から、そうっとこぎれいな作品を選んだ感のあったコンペティション部門と異なり、オリゾンティ部門は、見事にアジア&中東オンパレード。期間中、この部門はほとんど観られなかったのだが、講評を聞いて、ぜひ観てみたいと思った。
とくに、同部門で最優秀賞を獲得した、インドのChaitanya Tamhane 監督作品Court は、「初監督作品賞」も同時受賞。初監督のみとはいえ、コンペを含めた全部門にまたがって審査される。




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ひょっとして、東南アジア&中東映画祭?かという中で、唯一食い込んだのが、イタリアのフランコ・マレスコ監督の「ベッルスコーネ あるシチリアの物語(Bellusucone. una storia siciliana)」。
同国の某・元首相が、いかにシチリア、パレルモの庶民の心を掴み、圧倒的な支持を得るようになるのか。
資金不足はもとより、途中、さまざまな形の妨害に遭い、完成が危ぶまれたというドキュメンタリーは、当初の監督の意図とずいぶん違ってしまったとか。何層もの入れ子構造になっているため、ややわかりづらいのだが、観ているうちに慣れてくる。
意外というのか、目から鱗なのが、彼らも、誰も説明できない「ネオメロディック(neomelodico)」なる歌の存在。まさに昭和の演歌か歌謡曲のような、聴きやすく心にしみわたりやすいメロディーに、ケータイだのフェイスブックだのと現代の要素を取り入れた歌詞を乗せて歌う彼らは、お茶の間ならぬ、パレルモの広場の大アイドル。そう、ラジオでもさんざんかかる上に、広場の仮設スタンドでのライヴに、一生懸命メイクしたティーンエイジャーたちのみならず、肩車の子どもや、おばちゃん、おばあちゃんまで絶叫。そこでなんと、「ベルルスコー二に会いたい」みたいな歌が熱唱されるのだから、そりゃあもうビックリのなんの、って・・・。

マフィアと政治の癒着の、事態の複雑さ、深刻さを強烈に感じさせられつつ、それでもこんな映画が作られ、国際的な映画祭という場で上映されるイタリアは、まだまだ救いがあるのではないかと思った。

期間中に見られなかったので、現在公開中の映画館で鑑賞。ほかにもう1本同じようなテーマの作品があったのだが、それも残念ながら見逃してしまった。こちらもまた劇場公開時を楽しみに待ちたいと思う。

受賞結果(続き)

「未来獅子賞」(初監督作品賞ルイージ・デ・ラウレンティス)
COURT
Chaitanya Tamhane監督、インド
 
オリゾンティ部門
最優秀作品賞
COURT
Chaitanya Tamhane監督、インド

最優秀監督賞
THEEB
Naji Abu Nowar監督、ヨルダン、アラブ首長国連邦、カタール、英国

審査員特別賞
BELLUSCONE. UNA STORIA SICILIANA
Franco Maresco監督、イタリア

最優秀俳優賞 
Emir Hadžihafizbegovic
作品 TAKVA SU PRAVILA (THESE ARE THE RULES)
Ognjen Svilicic監督、クロアチア、仏、セルビア、マケドニア
 
最優秀短編賞
MARYAM
Sidi Saleh 監督、インドネシア

今年のヴェネツィア映画祭については、ひとまずこれでおしまい。

11 set 2014
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by fumieve | 2014-09-12 05:12 | 映画
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