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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「灰の水曜日」のためのコンサート

「灰の水曜日」のためのコンサート
Concerto per le Sacre Ceneri
Venezia, chiesa di Santa Maria Formosa

Ensemble Oktoechos
Schola Gregoriana di Venezia
指揮 Lanfranco Menga

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昨日がマルテディ・グラッソ(martedì grasso、脂の火曜日)、すなわちカルネヴァーレ最終日なら、今日はメルコレディ・デッレ・チェネリ(mercoledì delle ceneri、灰の水曜日)、四旬節の初日としてキリスト教徒はこの日から禁欲生活に。まあ、現代においてイタリアでも厳密に守っている人はそう多くないと思うが、肉食を避けたり、といっても菜食になるのではなく、代わりに魚を食べる、あるいはアルコールを控える、など。これから復活祭までの40日間ずっと続けるのは現実的ではなく、この日と、それから復活祭直前の聖金曜日だけ魚にする、というあたりが妥協路線といったところ。
信者でない私の生活は特になにも変わらないが、教会で、この日のための多声音楽のコンサートがあるというので、行ってみた。

プログラム
Madia vita in morte sumus
Pange melos lacrimosum
Misereris omnium
Bonum est confidere
Kyrie <>
Dirigatur oratio mea
O homo considera/ O homo de pulvere surge / Filiae Jerusalem
Processio in die veneris sancti
Dí, por qué mueres en cruz?
Dios te salve, Cruz preçiosa

美術史をやっていると、キリスト教(カトリック)というのはつくづく目に訴えることによって成功した宗教だと思うけれども、一方でこの宗教の基本は何よりも「言葉」であり、その「言葉」を効果的にするのにメロディーも使ったことも忘れてはならない。
キリストの犠牲までの一連の行事の中で、嘆き、祈るために歌われた、中世のテキストや聖歌。無料のコンサートだった割に立派なプログラムが配布されて、歌詞も全部掲載されていたのには感心した。
人間の声は、最も原始的な楽器でありながら、その音程や響きに「言葉」を含むことによって最も高度な楽器であることを証明するかのような、美しいコンサートだった。

21 febbraio 2007
by fumieve | 2007-02-22 08:20 | 聞く・聴く
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