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ヴェネツィア ときどき イタリア

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Erwartung/ Francesca da Rimini

Erwartung/ Francesca da Rimini
Teatro Fenice, Venezia
ヴェネツィア、フェニーチェ劇場

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Erwartung
作曲 Arnold Schönberg
台本 Marie Pappenheim

恋人(愛人)を殺した女が、森の中でその死体を発見する、というモノローグ。
20世紀初め、いや、二つの大戦の間のなんとも不穏な空気、女、サイコ・ゲーム・・・まず、舞台背景を見ただけで時代が浮かびあがってくる。そしてそのストーリー。
・・・のはずなのだが、ともかく周りがうるさくて、(開演後の出入り、足音、おしゃべり、・・・)全く集中できなかった。この曲は、もともと無名な上に、始まりが何やらもにょもにょもにょしていて、始まったことに気付かれていないのでは?と思ったほど。
1つ、「男」の死体(裸体)がほんとにシーツの下から出てきたのは、余計。あまりにもグロテスク、と思ってしまうのは私だけだろうか?その「体」を発見した衝撃は、歌(と演技)で表現されるべきだと思うのだが・・・。あれを見せてしまうと、こちらの想像の余地が全くなくなってしまう。それ以外の背景がなかなかよかっただけに、大変残念に思った。
いずれにしても、この作品はもう見なくても(聴かなくても)いいかも。

リミニのフランチェスカ
作曲 セルゲイ・ラフマニノフ
台本 Modesto Čajkovskij
Francesca da Rimini
Sergej Rachmaninov

こちらはご存知、ダンテ「神曲」の第5歌、悲恋のフランチェスカとパオロのお話。
軍人で無骨な夫、ジャンチロットを愛することができず、その弟、文学青年のパオロと恋に落ちてしまうフランチェスカ。この作品では、ジャンチロットがランチロットという名になっているが、これはロシア語では「ジャ(gia)」の音が、「ハ」のような音になってしまい、発音しにくいから、だそう。
ラフマニノフの3作目にして最後のオペラ。いわゆる「グランド・オペラ」の後の時代で、1時間少々の短い作品。
数日前の新聞の講評では絶賛されていたのだが、曰く「ロシア出身の歌手の時代」と。・・・というかつまり、ロシア語の作品だから、やはりどうしてもロシア人のほうがうまいだろうな、という感じ。
こちらも、まず舞台背景がともかくうるさい。まず、序曲の間、暗い森の中をびゅんびゅん飛んでいくような映像が流れるのだが、これが全く不要。ダンテがウェルギリウスの案内で地獄の輪をめぐっているときに、(確か)顔だけでぐるぐる回り続けているフランチェスカとパオロに出会う、それが言いたいのだろうと思うが、これではそのまんま。
ラフマニノフは、もうそれだけでドラマチックで感傷的で悲劇的なのだから、音楽だけを聴かせてくれれば十分では?目が回って酔いそうになり、途中から目をつぶっていた。
幕が開いてからも、L字型の鏡を迷宮のように使ってあるのは非常にいい、と思うのだが、そう思っているとそれ以外の演出がごちゃごちゃ出てきて、その効果すら半減している。「ロ、ロボコン???」と思うような変なものが途中で出てきては消えたり・・・何だったのだろう、あれは?
ついでに衣装も、悲恋の美男美女(であるはずの)カップルが、薄いブルーとグレーのジャージ・パジャマはないと思う。あいまいな体形がかえって変にあわらになっていて、「何かに似ている、何かに似ている・・・あ!ドラえもん!!!」・・・。
私はもともと、耳よりも目からの情報がどうしても勝ってしまうので、(だからオペラが好きなのだけど)こうなるともう、気が散りすぎて音に全然集中できない。
まあ確かに、フランチェスカ役のソプラノ(Iano Tamar)はよかった。ロシア語のオペラはたぶん初めて聞いたが、意外と音がやわらかくて、聴きやすく感じた。(もちろん私は全くわからないので字幕を読んでいたが。)

ラフマニノフ。とはいえ彼の場合、やはりピアノが1番いいかもしれない。
でもこの作品は、演出を変えて、もう1度見て(聴いて)みたいと思う。

監督が表現したかったのは、前者が「地上の地獄」、後者が「天上の地獄」だそう。だが、どちらも悲劇なのはわかるのだが(音からして)、あまりにもゴチャゴチャしすぎていて、残念ながらその対比が伝わってこなかった。

22 marzo 2007
by fumieve | 2007-03-23 21:44 | 聞く・聴く
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