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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ベッルーノ

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ヴェネツィアからまっすぐ北に向かって、電車で2時間。
すっきりと晴れた青空の下、電車を降りると・・・寒いっ!駅から歩いて町の中心まで10分足らず、市役所の中にあるインフォメーションでもらった地図によると、標高383m、え?たったそれだけ?というくらい、空気は完全に「山」のそれ。ドロミテから流れてくるピアーヴェ川と、アルド渓流に挟まれた、小高い丘の上に開けた町で、大聖堂は崖の上に突き出るように立ち、その向こうには山の連なりが見える。
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大聖堂、現在の建物は1517年からの建造で、トゥッリオ・ロンバルドの設計によるもの。その後、何度も改装など手が加えられているが、内部は基本的に、側廊なし、シンプルな3廊式のルネッサンス様式。明るくすっきりとした構造で、両側には色大理石を使った華やかな祭壇が並ぶ。印象的なのはクリプタ。聖遺物などを収めるクリプタ(地下聖堂)はふつう、地下なだけに暗くてちょっとじめじめしていたりするのだが、こんな明るいクリプタはめずらしい。
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正面に奉られている、「聖マルティーノ」の祭壇画も面白い。聖人の物語を描いた14世紀の絵、中央は例の、聖人が物乞いに自分のマントを半分に切ってやる絵。一番下の段は16世紀以降の絵で補足されている。額縁も、中の1枚1枚の絵を区切っているのがゴシック様式なら全体の枠はルネッサンスで、後から付け加えられたものと思われる。

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広場の真ん中に、美しい姿で立つのは、Palazzo dei Rettori(パラッツォ・デイ・レットーリ、統治者たちの館)1409年より建造、400年近くベッルーノ地方の統治者たちの館であったが、1802年に完全に焼け落ちた、と解説にあるので、現在のものは再現ということらしい。ヴェネツィア風、とあり、実際、ヴェネツィア共和国の支配下に入って直後から建造されているのだが、1階部分をアーケードにして残すスタイルやその大きさは、イタリア中部~北部で、中世の自治都市で作られた市民議会のための館の伝統にのっとっているように見える。その名前も、統治者「たち」と複数形になっているところが、よりそう思わせるのか。

こういう地方都市では、食事も楽しみの1つ。本日の最大目的、ティツィアーノの展覧会の混雑状況を確認し、近くのトラットリア(食堂)に先に向かうことに。
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待つ間に出てきたパンかご、くるみ入りのやわらかい黒パンがおいしい。こういうのはヴェネツィアではほとんど見かけない。前菜は、「スペック(Speck, ヴェネツィア以北で食べる、ちょっと燻製がかった生ハム)と、ゴルゴンゾーラ・チーズとラディッキオ(紫キャベツ)のペースト」。これも、添えてあったパンが固くなりすぎないよう、程良く温めてあってうれしい。ペーストの濃厚具合が見た目以上においしくて、ついグラス・ワインも追加することにする。
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パスタとして頼んだのは、「ビーツ(赤カブ)とカボチャのロール」。オーブンで焼いたグラタン状の、チーズとベシャメル・ソースでいっぱいのものを想像していたら、さにあらず。甘くないクレープのロール・ケーキといったところで、一番外側にカボチャのペースト、内側のほうはビーツを煮て細かく刻んだものが巻いていあるのだが、中のほうはクレープもビーズの色がついていて、鮮やかなピンク色。こんなの初めてみた・・・。ヴェネト州あたりでは、ラザニアをいわゆるパスタでなく、クレープの皮を使って作ることがあるが、これはまた、オーブン焼きでない分また別の印象。見た目とは裏腹に、かなり素朴でシンプルな味。
こういうところはきっと、ドルチェもおいしいに違いないと思いつつも、あまりの満腹ぶりに断念した。
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町の、もう反対側といっていいくらいのはじっこにあるのが、サント・ステファノ教会。15世紀建造、大聖堂と同じ側廊なし3廊式ながら、典型的なゴシック様式で印象がずいぶん違う。地元出身の画家・彫刻家の作品が残る。
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もう1度、大聖堂のほうに戻ると、日が、ちょうどピアーヴェ川に光を反射しながら沈むところだった。
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同じ広場のすぐ目の前にある市民博物館(Museo Civico)は、1階が考古学室、最上階が絵画館になっている。絵画館はやはりベッルーノ出身の画家セバスティアーノ・リッチ、木工彫刻家アンドレア・ブルストロンなど。個人的には、途中階にあった個人の寄贈による銀細工の髪飾りのコレクションがとても気に入った。細い棒の先に飾りのついた、かんざし状のものなのだが、特に先がチューリップやユリ、さまざま花の形になっているシリーズがあるのだが、これは茎のところがバネ(コイル)になっていて、身につけている女性の動きに合わせて揺れるというもの。17世紀(だったと思う)に大流行し、肖像画などにもよく出てくるのだが、こうして実物をみるとなるほどという感じ。

出てきたころには既に真っ暗。日の動きとともに、その色と表情を何度も変える建物の美しさにため息をつきながら、寒さに追い立てられるように帰路についた。

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18 novembre 2007
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by fumieve | 2007-11-18 21:38 | ほかのイタリア
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