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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ボローニャ中央駅にて

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2日前の31日(月)。ブック・フェアに行こうと午前10時過ぎにボローニャの駅で電車を降りて、降りてから車内に携帯電話を忘れてきたことに気がついた。
ヴェネツィア・ボローニャ間の普通快速電車、ここが終点だからひょっとしてまだホームに止まっているかも、とあわてて戻ったが、列車はすでにいなくなった後。乗るといつだって遅れるのに、なんでこんな時に限ってさっさといなくなっちゃうんだ!!!と自分のせいを棚に上げて心の中で悪態をつく。
とりあえず目についた警察に飛び込んで事情を訴えると、「まず先に顧客サービスに行って、車掌に連絡をとって探してもらうこと。それで見つからなければここで紛失届を作ります。」
顧客サービスに行くと、「わかりました、すぐに探しましょう」。が、しまった・・・と舌うちしたいような気分になった。目の前の女性職員、新人なのか、列車の番号だの、連絡先などを台帳から調べ始めたから。そして1つ1つ、えーっとこれは・・・と同僚に尋ねている。不安でいっぱいの私の心を救ったのは、1人置いて座っていたもう1人の女性職員。見るからにベテランだったが、私の話を横から聞いていて、「さっき着いたヴェネツィアからの列車なら、車番XXXX。清掃に向かっているから、清掃責任者に連絡して!内線はめったに通じないから、外線でね!」。
そうして結局、「探して、折り返し連連絡するから」ということになった。ここで待つこと、待つこと・・・30分は軽く過ぎる。あああ・・・ケータイ自身のポイントで得た、それ自体はほとんど価値のないケータイだけど、なにしろ、ポケットやバッグに入れていれば、ケータイだって簡単にすられる国。混雑していた電車だし、きっと誰かが持っていっちゃっただろう・・・これがもっと南だったら、もう置いた途端に手品のように消えていても驚かない。でも、南なら、他人でもみんなが口ぐちに「おねーさん!!!ホラ!ワスレモノ!!!」と注意してくれるのもまたアリ。だいたいなぜ、同じボックスで私より後に降りた女の子たちは、何も言ってくれなかったんだろう・・・やっぱり冷たいわ、北の人は。・・・とか、いろいろな考えが頭によぎる。
一通り他人のせいにした後は、やっぱりケータイをなくした(であろう)ことへのショック。新しく買うための臨時出費、あの中にしか連絡先が入っていない人々・・・届け出れば、電話番号は同じものを使えるんだっけ・・・???等々。

椅子に座って、しばらく悶々としていたのだが、ふと、ここの雰囲気がずいぶん違うことに気がついた。まず、遅延の場合の払い戻し申請「ボーナス」の用紙と封筒が、整然と棚にぎっしり入っている。(たいていの駅は、棚だけあって空のことが多い)棚には他に、簡易時刻表やパンフレットなど。私の座っている椅子自体、そのボーナスの用紙を書きこむための机と椅子。たった1客だが、イタリアのお役所その他で、利用者が用紙を書きこむために座れる椅子を見たことがあるだろうか・・・。
そう思って見ると、横長の低いカウンターの向こうに職員が座っていて、とてもオープン。しばしばつま先立ちでカウンターに無理やりしがみつき、ガラスの向こうで上から見下ろす職員がいる、そういう窓口が多いほかの駅とはかなり違う。
そして、何が違うって、職員たちが非常にキビキビと、しかし楽しそうに応対していること!カウンターに座る2人または3人、交代もしながら、立っている職員も含めて、ひっきりなしに入ってくる利用客に、向こうから声をかけている。
実はこうして改めて観察していると、ずいぶんいろいろなお客さんがいる。わざわざホームを聞きにくる人が多いのにもびっくり。マイナーな駅からマイナーな駅への、日曜日の時刻表を教えてくれ、という人や、「XX行きは何番線?」と聞きに来て、1分後に再び、「XX行きは・・・」と、まったく別の方向を挙げながら質問に来る人。
そんな、いい加減にせーーーい!と思わず叫びそうになるような人々にも、実にニコヤカに明るく応じている。それも1職員ではなく、みんなが。
明るく、楽しそうに働いている職場、というのは結構ある。が、それはしばしば、あなたたちは楽しそうだけど、おしゃべりはたいがいにして、早くやってね、と言いたくなることはある。
ここでは、テキパキといったって、ちょっと途切れれば同僚同士でおしゃべりもしている。が、人が入ってきたとたんに、パッと切り変わって「どうしました?」と言っている。そのキビキビ感がすごくいい。
楽しそうに働いていて、笑顔でお客さんに対応するから、感じもいいし、結果としてどんどん仕事も進む。当たり前のこと、簡単なことのようで、少なくともイタリアでそんなサービスに出会うのはとても難しい。せいぜい、たま~に、よく流行っているピッツェリアやトラットリアなどでは、出会うことがあるくらいか。

しばらく待つうちに折り返しの電話があって、無事に私の携帯が見つかった、とのこと。その中の職員の方が取りに行ってくれて、待つこと合計1時間半でようやく携帯を無事に手にすることができた。
携帯が見つかった安堵が何より一番であったことは疑いようがないが、待たされた時間も悪くなかった。
ボローニャ駅のみなさん、ありがとう!!!お手数をおかけしました。

2 aprile 2008
by fumieve | 2008-04-03 23:19 | 旅先にて
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