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ヴェネツィア ときどき イタリア

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‘800. カノーヴァから第4身分まで

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ローマ、スクデリエ・デル・クイリナーレ
6月10日まで

Ottocento. Da Canova al Quarto Stato
Roma, Scuderie del Quirinale
29 feb – 10 giu 2008
http://www.scuderiequirinale.it/canale.asp?id=781

1861年、紀元後5世紀に西ローマ帝国が崩壊して以来始めて、イタリア半島は約1400年ぶりに1つの王国として統一する。ナポレオンの侵攻に始まり、国王の暗殺で幕を閉じるイタリアの19世紀は、近代化と近代国家の確立へ向かうための大きな社会変化を伴った世紀だった。

展覧会の入口で我々を迎えるのは、幻想的な風景の中、天使たちに見守られながら子に乳を与える母の姿を描いた、プレヴィアーティの「母性」(1890-91年)。そして、メイン会場へと向かう広いスロープ階段の壁にかかるのは、ペッリッツァ・ダル・ポルペドの、イタリア人ならおそらく誰でも知っている「第4身分」(1896-1902年)。が、ここは順路の最後に戻ってくることになっており、年代順から言っても、最後にじっくり見るのがいいだろう。
上階に上がって最初の展示は、カノーヴァの彫刻。ネオ・クラシック主義と呼ばれる、端正で理想的な美を追求した作品は、前世紀の名残りともいえる。が、ナポレオンに重用され、彼のためにも多くの作品を残した。一方、絵画でもナポレオン賛歌な主題からこの世紀は明ける。
やがて、ロマン主義と称される時代、ナポレオン侵略の反動で、各国で民族回帰の意識が芽生え、過去、特にルネサンス以前の「中世」を「発見」し、歴史や伝説に題材を求めるようになる。特に他国の支配下にあったイタリアでは、マンゾーニによる小説「いいなづけ」やヴェルディ作曲のオペラ「ナブッコ」など、時代は違えど、他民族の圧政に苦しむ民族がやがて立ち上がる、そんな作品がイタリア独立のシンボルとして書かれる。
絵画の世界で特筆すべきは、ヴェネツィア出身の画家ハイエツ。ネオクラシックの流れを汲む美しく理想的な画法で、歴史的・伝説的場面を多く描いた。1859年に発表された、あまりにも有名な「接吻」は、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世と、ナポレオン3世の「結婚」による新しい国家の誕生を暗示しているという。

その上の階では、イタリア統一後、すなわち19世紀後半の作品が紹介されている。
ロマン主義は姿を消し、画家たちは新しい国の、国民の現実に目を向け始める。外の厳しい労働、あるいは家の中の、女性たち。そして風景。
テーマの変遷と同時に彼らはまた、色を混ぜて使うという、従来のテクニックにも疑問を覚える。色を細かい原色の粒や線に分け、視覚の効果で色を「混ぜる」、マッキャイオーリ(macchaioli)、ディヴィジオニスム(divisionismo, 色彩分割描法)が生まれる。
一方で、当時の芸術の中心地であったパリへと向かう画家たちも。

1つ気になったのは、ここ数年、マッキャイオーリや19世紀をテーマにした企画展が続き、いくつかの代表的な作品に関してはあちこちの展覧会で続けて目にしているように思えること。デジャブとまではいかないが、なんとなく、企画展としてあまり目新しさを感じなかった。ほかと比べると、テーマが広い分漫然としてしまっている点も否めない。ただ、これだけを見れば、とりあえず19世紀のイタリアを代表する画家は一通り揃うだろう。

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28 aprile 2008
by fumieve | 2008-04-29 09:36 | 見る・観る
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