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ヴェネツィア ときどき イタリア

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サンマルコ広場の豆売り・禁止

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「伝統」か「理性」か?

今日、2008年5月1日より、ヴェネツィアの観光の中心地、サン・マルコ広場での鳩の豆売りが禁止になった。イタリア語ではgrano(麦、穀類のこと)と言っているので、正確には「豆」ではないのだが、日本語は鳩とくれば豆のほうが落ち着くので、ここではあえて、以下「豆」と書くことにする。

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天敵がほとんどいない状況で、増加し続けるヴェネツィアの鳩の扱いに、市はもう何年も前から頭を悩ませていた。問題はその、ふんと巣作りによる、文化遺産、建築物に与える損害。そして、衛生的にも問題があるとして、実際、ヴェネツィア本島内ではすでに鳩用のエサを売ることを禁止していた。
例外はサン・マルコ広場。鳩の豆売りは、市内の、他のすべての屋台、みやげもの屋などと同様に、市の認可を得て商売をしている。いわば正規の販売者を一方的に締め出すとは!ということで、とりあえずサン・マルコ広場だけはいったん除外された。
今回は、そのサン・マルコ広場も禁止にする、というもの。販売業者たちは地裁にかけこんだが、地裁は衛生上、文化財保護上の必要措置、とする市の主張を支持。禁止条例が施行されることになった。

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既得権の侵害については、そうそう一筋縄にいかないこの国のこと。販売者たちのの失業に対する猛烈な抗議(それなりの補償が出るはずではあるが)。ほかの、みやげもの屋などへの転向という提案に対しては、既存のみやげもの屋たちの猛反対。それから自然愛護主義者からこれがヴェネツィアの伝統だとする文化人や、「べつにいいんじゃないの?」という観光客まで。
仕事を失う人の抗議は、わかる。だが、広場にいる鳩をすべて抹殺しようとか、そういう話ではない。かわいそうだから、とか、現実を見据えずにただやみくもに反対するのは無責任ではないだろうか?
テレビのニュースを見ていたら、今日は販売者たちが屋台をつなげて抗議運動をしていた上に「売ってはいけないけど、配るならいいんでしょ?」と、豆の袋をタダで配る姿が映し出されていた。販売者の1人は、「(販売者は)たったの19人だというけど、それだけじゃない。オレなんて自分だけじゃない、奥さんと息子と娘と、孫たちだって養わなきゃならないんだから!」と。・・・60は確実に過ぎているであろう白髪の彼、思わずテレビに「息子さんや娘さんはいい歳なんだから自分で働けば」と突っ込んでしまった。もちろん、実際にはちゃんと別の仕事をしていることを彼らのためにも期待するが・・・。鳩の豆売りだけで、ほんとにそれだけの大家族を養っているとしたら、それはそれでやっぱりどうかと思う・・・。

夕方、祝日のために観光客でいっぱいのサン・マルコ広場に行ってみた。残念ながら、豆売りさんたちは完全に姿を消していたが、まだたった1日のことで、もちろん広場は鳩でいっぱい。そして、禁止条例を知ってか知らずか、パンをちぎって鳩にやる観光客たち・・・。
鳩は、フン害が激しいばかりか、病原菌を運んでいることは、日本では常識の範囲だろうと思うのだが、ここでは誰も知らないのだろうか・・・いや、知らないのだろう、きっと。
こうして写真を撮ろうと近づくだけで、すでに病気になりそうな気がするのに、小さな子供、乳幼児まで一緒に鳩を触らせているのを見て、びっくりしてしまう。

ヴェネツィア市の闘いは当分続きそうだ。

(上から2枚めの写真は先月のもの。左端に写っているのが豆売りさんの1人)

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1° maggio 2008
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by fumieve | 2008-05-02 04:43 | ヴェネツィア
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