Palazzo Madama, Torino
www.palazzomadamatorino.it
トリノの市立美術館、パラッツォ・マダマが改装を終えて大々的にオープンしたのは数カ月前。トリノに行ったら、一度は見に行かなくては、と思っていた。もっともトリノは何度か行っている割に、いくつかある美術館・博物館のほとんどをまだ見ていない。
紀元前1世紀のローマ時代の城門を基礎とする建物、展示面積が6779平方メートルという巨大な美術館、いつものごとく時間の限られる中では、とても全部回れるものではない。
入ってすぐのゴシック~ルネッサンス時代の絵画、彫刻をざざっと見て、あとは見たいところを決めて直行することにする。バロック絵画は飛ばして、装飾美術(工芸品)のある最上階へ。ところが間違えて、塔の一番上まで出てしまった。あいにくの雨だが、晴れていれば、ぐるりと回りを囲む山がきれいに見えるという。
寄り道をしてからたどり着いた2階、真ん中の大広間には陶磁器のコレクションが展示されている。全面改装した際にも、おそらく展示ケースは既存のものをそのまま使ったのだろう。
木製の枠にガラスの入った、重厚でクラシックなスタイルのケースが、広間いっぱいに並んでいる。生産地別に並んでいるのだが、ガラスに刻んだ地名がケースの上に乗っていて、おしゃれ。
バロック期のマヨルカ焼き、日本や中国からの輸入磁器、はもちろん、ナポリのカポディモンティ、ジノリの前身と言えるフィレンツェのドッチャ、そしてウィーンにスイス・・・とイタリア内外の名門窯の磁器が並ぶ。
うーーん、いかん・・・しばらく眠っていた磁器好きの目が覚めてしまう。この部屋だけでも1日いられそう。しかもここ、かなり気が利いていて、裏側などがよく見えるようにケースの中に鏡が多用されている。
奥にある少し暗い部屋は、織物の間。
12世紀のシルクの模様織、
15世紀のビロード、
17世紀のレース、
すみれやエーデルワイスのような野の花の刺繍の美しいバッグ。
布が、金や宝石と同じように貴重品だった時代の、そのかけらたち。
これまた私の趣味の世界・・・幸いなことにこちらは展示数が少なくて、かえってホっとする。
順路からいえばおそらく逆なのだが、もう1つの小さな部屋が、ガラス、象牙、七宝など。
ガラスも、エジプト時代(発掘品)、ルネッサンス期ヴェネツィア・ムラーノ等々、ほんとに数は少ないが、ここはなにしろ展示がいい。ガラスは白いカーテンを下げた窓際に置かれているが、その向こうの、トリノの町並みが透けて見えている。
今度はバロックも見学しつつ、もう1度、特に陶磁器の間をもっとじっくり時間をかけて見なければ・・・。
18 maggio 2008