ブログトップ

ヴェネツィア ときどき イタリア

fumiemve.exblog.jp

ボローニャ、織物博物館

a0091348_5581964.jpg

Museo Storico Didattico della Tappezzeria
Via Casaglia, 3
Bologna
Tel. 051 6145512

a0091348_621772.jpg
絹、麻、綿、毛・・・天然の繊維から作られた織物は、その有機的な性質ゆえに、いずれは朽ち果てる運命にある。数世紀を経て我々の手に残るものは、それだけで奇跡。貴重な財産の命を、せめて少しでも永らえて後世に伝えなければ、というのが私の指導教官の言葉。
ボローニャ中央駅からバスで20分ほど。ヴィッラ・スパーダという美しい公園の中の建物を使ったこの織物博物館には、イタリア全国各地からさまざまな寄贈品が届くという。

a0091348_6375.jpg
衣類から壁紙、家具や祭壇幕、と、本来の役目を終えた布たちの終の住処として、寄贈者も安心して任せられるのだろうか。長年の埃を払われ、洗浄や、場合によっては修復され、あるいは補強され、心地よい温度と湿度に保たれた、静かで薄暗い棚にそっと収められる。そうして時々、展示されることもあるのだから、半永久の命を与えられて、舞台裏で出番を待つスターに蘇るところ、というべきだろうか。

a0091348_613439.jpg
正確には、タッペツェリア歴史・教育博物館という。タッペツェリアは、壁紙や家具に貼る布地、あるいはそれを扱う店や職人のこと。日本語でいうと、ファブリック、だろうか?
この博物館は、現館長の父親、騎士称号を持つ織物職人であったヴィットリオ・ヅィローニ氏が、戦後直後より、博物館創設のための材料集めを開始したところから始まったと聞いて、まあ、ファブリックの商品見本などを集めた博物館であろう、と、正直のところちょっと甘く見ていた。それでも、数世紀前のものならば、現代のものとは比べものにならないほどの価値があるけれども。
ところが実際は、「織物博物館」と言って余りある本格的な博物館だった。

a0091348_5523681.jpg
最初に見せられたのは、奇しくもヴェネツィアから届いたという、元・壁紙。いや、壁に貼ってあった絹のダマスク織なのだが、それがきれいにロールに巻いてあるばかりか、なんと裏打ちされていたという。改装のためだろう、壁に貼ってあった絹地をきれいにはがし、それに裏地をつけて巻いて持ってきたのだから、寄贈者もたいしたもの。
館全体、あまりにもたくさんのものが展示されていて、目移りがして困ってしまうのだが、展示室は、織物の技法種別に分かれている。

a0091348_5555372.jpg

まずはビロード(Velluto)。


a0091348_5532092.jpg
同じビロードといっても、さまざまな異なる手法を組み合わせた豪華なビロードが所せましと並ぶ。単色で模様の効果を出したもの、「ジャルディーノ」(庭)と呼ばれる、ヴェネツィアの多色遣いのもの・・・15世紀から18世紀まで、模様の変遷も楽しめる。






a0091348_5535785.jpg

続いて、縦糸・横糸をそれぞれ2種以上使うことによって模様を浮き上がらせるランパッソ(lampasso)、そして金襴錦、ブロッカート(broccato)。重厚で威厳のあるビロードと比べ、色鮮やかに模様もより自由になり、明るく華やかに。


a0091348_5543683.jpg


間の大広間には、分類しきれないさまざまなものが。祭服やレース、それからダ・ヴィンチの最後の晩餐で使われていることで知られるペルージャの白いテーブル、あるいはファッション・ドールと呼ばれる人形なども。

a0091348_654691.jpg


a0091348_663721.jpg


a0091348_67744.jpg


a0091348_558553.jpg

a0091348_559248.jpg











シリアのダマスカスが語源とされるダマスク織は、実際に織機と、図案、完成品が一緒に展示されている。織機の上には、ジャカールという機械が乗っかっている。これは18世紀にフランスで発明されたもので、複雑な模様を編みだすための仕組み。図案を、細長い金属の板に少しずつ写し取り、穴をあけることによってオン・オフになるということらしい。これまでは手と頭で行っていた作業が、自動になったのだから、機織り界の大革命だったといえる。

a0091348_60291.jpg



a0091348_5571916.jpg
もう1つ特筆すべきは、コプト織のコレクション。コプト(Copto)は、北アフリカ、特にエジプトにおける初期キリスト教信者のこと。
コプト織の特徴は、2色または多色のものもあるが、その多くが、麻の生成に茄子色で模様を入れていること。そして、織機で織った織物ではなく、タピストリーを織る手法を用いていること。
エジプトの極度に乾燥したその気候が幸いして、1500年も前の織物が数多く現代にも残され、世界各地の美術館に保管されているが、この博物館のコレクションもかなり充実している。
最上階には、保存・修復のための設備を備え、ベテラン修復士がフル回転で働いている。

a0091348_661324.jpg


課外授業で、説明を聞きながらではとても全部満足に見学しきれなかった。もう1度自分でゆっくり見に行きたい。
興味がある人には必見の博物館。

a0091348_69720.jpg


23 maggio 2008
[PR]
by fumieve | 2008-05-24 07:51 | 見る・観る
<< 「旅するみどり」 シンポジウム「1868 イタリ... >>