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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ローマ円形闘技場、カターニア

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Anfiteatro Romano, Catania

ローマの古代遺跡と、それを取り囲むルネッサンスやバロック建築、そして坂道をせわしなく行き交う車やバス。
ローマでは当たり前の風景、ここはシチリアの港町、カターニア。
古くはギリシャの植民都市として発達したことで知られ、フェニキア人、ローマ人、アラブ人、ノルマン人、スペイン人にフランス人・・・と、多くの外国人の支配を受けたこと、苦い歴史とともに、現代のわれわれにとっては、その異文化の融合こそがシチリアの魅力と映る。実際、シチリアの州都パレルモは、町の中にアラブ~ノルマン的要素を今も強く残す。
が、シチリア第2の都市、ここカターニアはシチリアのローマ、といった風情がある。

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ドォーモ広場(Piazza Duomo)から、町一番の目抜き通りエトネア通り(Via Etnea)をまっすぐ歩き、しばらく行くと車の通りの多い広場(Piazza Stesiscoro)にぶつかる。その広場の中、向って左側にあるのが、ローマ円形闘技場(Anfiteatro Romano)。
「入場無料」と書いた門から下をのぞくと、日本の町中にある小さな公園くらいの広さのところに、黒っぽいがれきがころがっている。・・・いや、強烈な太陽と暑さにくらんだ目と頭をしっかりさせてよく見ると、厚い壁にしきられた迷路のようなものが見える。ローマのコロッセオの中に入ったことがある方ならおわかりいただけるだろうか?観客用の通路、あるいは、見世物に出演する、剣闘士(あるいは罪人)や猛獣たちの控えの通路だろうか。

下に降りてみる。

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今までに見たローマの遺跡と徹底的に違うのは、例の、黒い溶岩石が基本的な構造および装飾に使われていること。17世紀、エトナ山の大噴火は、この町に地震と噴火で大変な被害をもたらしたが、同時に建築に適した黒い溶岩石をも提供した。さすがローマ人、それよりも1500年くらい前に、この地元特産の石をしっかり利用していた。





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この闘技場が作られたのは、紀元後2世紀中盤とされる。ここに見えているのは、その全貌のわずか一部のみ。楕円形の長径71m、短径が51m、大きさで言うとこれを超えるのはローマのコロッセオのみ、収容着席観客数は少なくとも15000人で、ヴェローナのアレーナに次いで3番目の規模だという。コロッセオもアレーナも、現在、われわれの目の前にそのな巨大な全貌をさらしているから、そう言われると驚く。

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ほかの多くの古代ローマ遺跡同様、キリスト教の台頭とともに、異教の野蛮な文化の象徴である闘技場は、5世紀の皇帝テオドリコ時代には完全に打ち捨てられる。










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その後、10世紀の大聖堂建築、16世紀のローマ法王カルロ5世による城壁建築のために、多くの石が持ち去られた。遺跡が「発見」されたのは、1695年の大地震による。その後、断続的に発掘調査が行われているが、なにしろ、その遺跡の上に、数世紀にわたって教会やいろいろな建物が立っており、いまさらそれを取り壊すわけにもいかない。ほんとうにごくごくその一部が、現在はこうして日の目を見ている。



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全体に、地元特産・黒溶岩石を使いつつ、貴族席にはわざわざカッラーラから取り寄せた白大理石を用いているあたりも、さすがローマ人。









廃墟から見上げる「歴史的な」建造物、これもまた趣きがあって「絵」になるから、理屈はともかく、ついつい写真を撮ってしまう。

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白を基調とした威風堂々たるローマのコロッセオ、ヴェローナの、地元産のピンク色の石を効果的に使って、ちょっと軽やかで華やかなアレーナ、そして溶岩石を生かした白黒ツートンのここはまた、カターニアらしい美しい闘技場であったに違いない。

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再現のかなわないからこそ、空想力を最大限働かせなければならないのも、遺跡めぐりの楽しみでもある。

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23 ago 2008
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by fumieve | 2008-08-24 15:41 | ほかのイタリア
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