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ヴェネツィア ときどき イタリア

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プラリア修道院、パドヴァ郊外

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プラリア・サンタ・マリア・アッスンタ・ベネディクト修道院
Abbazia Benedettina Santa Maria Assunta di Praglia

http://www.praglia.it

15:30から18:00まで、30分おきに無料ガイドがあると聞いて、着いたときにはものすごい人数が次の回を待ちかまえていた。予約をとっているわけでもなし、番号札を配っているわけでもなし、いったい全体、無事に見学できるのだろうか・・・と疑っていたが、入るところこそ、ちょっとぎゅうぎゅうで心配になったものの、案内されたのは広い建物の中。まったく問題にならなかった。

最初にここにベネディクト会修道院が建てられたのは12世紀にさかのぼる。以後、(後述する一時閉鎖期をのぞき)今に至るまでベネディクト会修道院であり続ける。
現在の建物は、主に16世紀のもの。内包する4つの回廊が、まず第一にこの修道院を特徴づけている。
案内された1つめの回廊は、もともとは回廊ではなかったらしい。4つの辺の最後の1つが閉じられて、「回廊」となったのは18世紀になってから。

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2つめの回廊は、現在は手入れの行き届いた美しい緑の庭になっている。1810年のナポレオン占領、続く1866年イタリア王国統一による接収で、いったん閉鎖を余議なくされた修道会が再びその役目を取り戻したのが、1904年。その際に植えられたヤシの木が証人としてそこにたたずむ。建物は15世紀後半、ヴェネツィア・ゴシック様式の典型。花形の2連窓と、縁飾りが美しい。

回廊の端から、階段を上がって上に抜ける。と、そこに3つめの回廊が。回廊の階が違うのは、もともとの地形を利用しているためだそう。エウガネイ丘陵地帯(Colli Euganei)の谷間に建てられてた修道院だが、この回廊のある位置がまさに、12世紀、最初に建てられた修道会の建物があったところらしい。そしてこの3番めの回廊は、修道院のあるべき回廊の姿を示しているという。

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1つには、完全に4辺が閉じられた空間であること。chiostro(回廊)はもともと、chiuso(閉鎖)を意味する。
そして、完全な正方形であること。完全な正方形は、われわれ人間の人生を表すという。
3つめの特徴は、中央に正八角形の水甕を持つこと。8という数字は、初期キリスト教時代から完璧な数字として、洗礼盤をはじめ好んで使われてきた。また、かつては屋根をつたって落ちる雨水が、すべてここに溜まるように、といと溝がきちんと設計されていたのだが、今は使用していない。

そして、修道院施設内の主な建物がすべて、この回廊に面している。教会のほか、
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会議室にあたる聖堂参事員室(Sala Capitolare)、








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そして食堂(Refettorio)。
19世紀まではここで日々食事をとっていたが、現在は使用していないという。理由は、暖房施設がなく、寒いから。






全80席、一番奥から年配の修道士、そして手前に一番若手が座った。室内装飾は典型的な16世紀のもの。座席の上を飾る木製彫刻は18世紀、一方、現在壁にかかる油彩は、もともと図書館(後述)用に描かれたゼロッティの作品。2度にわたる接収および盗難などにより、美術品も古文書も、より貴重なものはほとんど残されていないという修道院だが、一旦接収されたのちに返却されたものらしい。

今日のハイライトは、「欧州遺産の日」で特別公開になっている旧図書室。(biblioteca antica)。同じベネディクト会修道院でも、学者たちのいた町の中にあるサンタ・ジュスティーナ(Santa Giustina)と違い、農業従事者がいたという、ここ、今でも畑に囲まれたプラーリアの修道院の図書室は決して大きくはない。
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が、目をひくのはその天井画。ジョヴァンニ・バッテイスタ・ゼロッティによる一連の油彩は、規模はずっと限られるものの、ヴェネツィアの現・国立マルチャーナ図書館、サンソヴィーノの閲覧室(Sala sansoviniana)を思い起こさせる。実際、当時注目の7人の画家に競演させたとされるマルチャーナに、ゼロッティ自身も参加しているから、意識するところはあったに違いない。

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中央が「信仰の勝利」。
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まわりには旧約聖書のエピソード、4すみには女預言師。

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ゼロッティが、ヴェネツィア近郊のヴィッラで手掛けた多くのフレスコ画は、いずれも、共同制作者でありライバルであったパオロ・ヴェロネーゼを超えない。ほかではたいてい、ヴェロネーゼに比べるとより暖色の強い、明るい色彩が印象に残るのだが、この図書室の絵は、構図といい、色や表情といい、ヴェロネーゼをそのまま忠実に引用・踏襲しているように思える。
入口から見ると、一見、ミニ・マルチャーナなのだが、中に入って見上げると、むしろ同じくヴェネツィアにある、ヴェローネーゼによる天井・壁面装飾の美しいサン・セバスティアーノ教会を思わせる。大のヴェロネーゼ好きとしては少々複雑な気分だが、遠目には結構いい。
この1つ下の階が、現在の図書室になっている。

本日特別公開だった旧図書室をのぞき、ふだんから案内つきで中を見学することができる。また、体験入室と言おうか、修道院の生活を実際に見てみたいという人は、数日間宿泊も可能。
・・・ガイド役の修道士さんの説明がたいへんわかりやすく、ほぼそのままここに紹介させていただいた。

温泉施設で知られるアバノ・テルメから4km、緑に囲まれたすばらしい立地だが、交通の便が悪いのが難点。車で一緒に連れていってくれた友人Mちゃん、Aくんに感謝したい。

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28 settembre 2008

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by fumieve | 2008-09-29 08:00 | ほかのイタリア
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