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ヴェネツィア ときどき イタリア

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カストラディーナ(Castradina)、聖母サルーテ祭の料理

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寒さの特異日、とでも言ったらいいだろうか?
暖かめの秋でも、小春日和のあとでも、この日はともかく、一段と冷えるのがまるで決まりのように、毎年必ず、しっかりと冷える。それでいて、11月に多いはずの、雨もアックア・アルタも、今までこの日にぶつかったことがない気がする。
その代わりというか、絶対に欠かせないのが霧。それも、一寸先も見えないほど、深ければ深いほど、寒さもより極まっていい。
聖母サルーテの祝日。

見通しがきかないというほどでもない、暗闇とともにうっすらとかかった霧。見事なまでに、数日前から突然冷え込んだ寒い夜、広場の奥の明かりの中に入っていくと、そこには別世界が広がっていた。
・・・いや、広がっていた、というのはあまり正しくないかもしれない。縦に細長い部屋に、いっぱいいっぱいの縦長の木のテーブル。そこで、赤いビロードの昔の衣装を着た人々が、ろうそくの火にゆられながら、何やら議論を繰り広げていた。
ここはどこ?・・・まるで不思議の国のアリスのような気分。よくできたお話らしさをより強調するのは、異次元の別世界のようでありながら、辛うじて言葉がわかること。

実は、このサルーテのお祭りの日に食べるという料理を、みんなで食べる会があるというので、友人に誘われてのこのこやってきたのだが、場ちがいもはなはだしい。といって、出て行くわけにもいかず、末席で小さくなって、議論に耳を一応傾ける。
・・・いくつか、この会の運営等にかかわる件に関しての議論、そして挙手による多数決がとられたあと、本日のハイライト。どうやらこの会の、代表者の任期が完了するにあたり、次の代表者を選ぶ、ということらしい。ときどき、軽い野次や冗談はヴェネツィア弁も飛び交っているが、司会や、それぞれの発言中は厳格なイタリア語。あくまでもまじめである。
自他薦含め、現職1人のみの候補者となったが、にもかかわらず、というのか、なんと投票が行われた。もちろん無記名、専用の投票用紙は、ちゃんとカラーで飾り模様がついているという凝りよう。
1人1人記入後、専用の木箱にいったんおさめ、それを1枚1枚読み上げながら開票する。
欠席者もあったらしく、有効投票数を確認し、無事、現職代表の再選が決まった。
そして、乾杯と挨拶。
・・・だが、この不思議な会については、またいつか、改めて紹介したいと思う。

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はじめから、1時間半くらいたっていただろうか?ようやく、ようやく、出てきた本日の(少なくとも私にとっての)ハイライトはこちら。

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カストラディーナ(Castradina)という料理、名前はカストラート(castrato、去勢した)から。去勢した雄羊の肉、モントーネ(montone、つまりマトンのこと!)と、ヴェルツァ(velza)というしわしわキャベツを、ことこと煮込んだスープ。ほろほろのお肉にキャベツたっぷり、いかにも体によさそうな、やさしい味。体が温まって、おいしい。
ペストの終焉を神に感謝するために建てられた聖母サルーテ教会(Chiesa di S.Maria della Salute)の祭日のメインは、ペスト菌を持たないという去勢雄羊肉を使った料理で、18世紀から続く伝統料理。金持ちから貧乏人まで、貴族から商人まで、みなが食べたというスープは、確かに祭日の料理というにはうんと素朴で、むしろ病人にもよさそうなのはそのためだろう。

本来は家庭料理だろうが、この時期、特別にメニューに加えるレストランもあるので、味わってみたいかたはぜひチェックを。

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21 novembre 2008
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by fumieve | 2008-11-22 09:18 | 飲む・食べる
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