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ヴェネツィア ときどき イタリア

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困った人たち

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イタリア半島のつま先のつま先、レッジョ・カラブリア。シチリア島につまづきそうなところにある町の博物館にある「リアーチェの戦士」と呼ばれるブロンズ像がある。

レッジョ・カラブリアに程近いリアーチェ海岸沖で、1972年8月16日、あるダイバーによって偶然発見された。男性の裸体ブロンズ像、2体。1人は若者、もう1人はもう少し上、その体格や、格好から、「戦士」と呼ばれている。
誰が何のために作ったのか、なぜ海の底に沈んでいたのか、は、わかっていない。が、そのスタイルや科学的調査から、紀元前5世紀ごろのものと推定される。
イタリア人ならば、おそらく誰もが教科書でも一度や二度は、目にしているであろう、あまりにも有名なブロンズ。

初めて本物を見たときのことは忘れられない。

堂々と、しかし、すらりと伸びた脚、自然なポーズながらすっきりと張った胸。等身大よりも少し大きめだから、すごい迫力なのだが、同時に、思っていたよりも、つまり、写真で見ていたよりも、案外、スマート。例えば、ミケランジェロのダビデ像などに比べると、うんとやせ型といえる。
体の、ひとつひとつのパーツの美しさと、全体のバランスの美しさ。皮膚の下に、筋肉と血管が見えそうなまでにリアルな表現。
黙って、目を見開いて、口をぽっかり開けて、ただひたすら、ときどきまわりをぐるぐると回りながらながめてしまう・・・。

このブロンズ像たちが、現在イタリアで話題になっている。



先週末、ローマにおけるG7(首脳国蔵相会議)での、某国の財務相の「泥酔」疑惑は、イタリアでも今日になってテレビのニュースなどで取り上げられ始めた。日出る国、サムライの国ニッポンですらあえぐ、世界金融不況と、その危機感からあまりにも遠いお気楽な姿は、なにかとまじめでないようなイタリア人にも、かなりインパクトを与えているよう。

そういえば、もう1つの某国の首相(以下Bさん)は、オバマ米国大統領誕生に際し、「日焼けしてかっこいい」とのたまい、世界をビックリさせたっけ。

思えば、ふだんあまりにも遠いような日本とイタリアだが、政治家の質とレベルでいうと、似たりよったりといえるかもしれない。



今年はサミット開催国であるイタリア。さきの蔵相会議がそのスタートであったわけだが、肝心のサミット(先進国首脳会議)はこの7月、サルデーニャの小さな島、マッダレーナ島で開催される。Bさんのおひざ元ともいえる真夏の高級リゾート地での首脳会議、これはまあ、いい。離島は地上に比べて、圧倒的に警備が簡単だから。
ムラーノ島で、個人的におみやげの仕入れ。これも、いい。どうぞご自由に。

ところが、ビックリしてしまうのが、なんとこの会議のために、レッジョ・カラブリアの国立博物館に保存・展示されているこの「リアーチェの戦士たち」を、サミット会場に飾りたい!とおっしゃっているらしい。
理由は、参加各国の首脳陣をビックリさせて、イタリアの力を見せつけるため。

ものすごい思い付きだと思う。金と権力にあかせて、欲しいものはすべて手に入れ、かつ、それをまわりに顕示する・・・まるで、古代から中世、近代の絶対君主。さすが「帝王」。
どうしてよりによって、このブロンズ像に目をつけたのか、そのアイディアの発生自体は、すごい、とある意味感心する。
・・・が、それにしても・・・。
確かに、壁からはがれおちそうな壁画でもなければ、それ自体、ぼろぼろと崩壊しそうな板絵でもない。なにしろブロンズだし、もちろん、海から引き上げ後、何年もかけて、修復、さび止めなどの処置はされている。それでも、この博物館の中で、専用に作られた部屋の中に、イタリアにしてはめずらしく、特別に、耐震構造を備えた展示台に厳重に固定されているものだというのに。
まあ、簡単にいえば、日本なら、広隆寺の弥勒菩薩を、サミットだから洞爺湖に持っていこう!・・・と首相が言い出したらどうだろう?

信じられないことがやっぱりおきるイタリア。
泥酔疑惑も、ローマだったからこそ、なのかも・・・!?

(写真、ウェブでかき集めてみたが、残念ながらこればっかりは、絶対に写真では伝わらない・・・)

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16 febbraio 2009
by fumieve | 2009-02-17 08:06 | 日常生活
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