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ヴェネツィア ときどき イタリア

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仮面をとるために仮面を~カルネヴァーレ2009閉幕

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14日から始まったカルネヴァーレも、今晩で幕を閉じる。

24日21時時点の公式発表で、今日も来場・滞在者数は10万人を超え、11日間の合計は100万人に達するらしい。

人も多かったが、今年ほどたくさん衣装や仮面で着飾った人々を見た、こんなに美しいカルネヴァーレは、私も初めてだったように思う。

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今年はまず、日程に恵まれた。移動祝日である復活祭(Pasqua)が今年は4月12日と遅め。それにしたがって、パスクワ(Pasqua)前の40日間、四旬節に入る直前の火曜日が今日、マルテディ・グラッソ(martedì grasso)でカルネヴァーレ最終日。ヴェネツィアでは例年、週末を2回はさんだここまでの10日間をカルネヴァーレ期間としている。
例えば1月中に始まってしまった去年は、長いクリスマス休暇の直後で、圧倒的に盛り上がりに欠けたのに比べ、20日も遅い今年は、「待ちに待った」感があった。
しかも、初日の土曜日はヴァレンタイン・デイ。日本とは全く趣きの異なるこの日は、恋人たちの日。まあ、日本でいえばクリスマス・イヴみたいなもの。2人でロマンチックに過ごしたいカップルたちがヴェネツィアのカルネヴァーレに押し寄せた。

そして天候。1日とあかず雨が降り続いたこの冬、これでもか、これでもか、というくらいアックア・アルタもあった。
ところが開幕前日から太陽が輝き始め、あとは毎日、毎日、嘘のような晴天。昨日、少し曇りがちになったくらいで、11日間、雨の一滴も降っていない。イタリア全国では、中部~南部で大雪が降ったりしていたにもかかわらず、まるでここだけ、空で女神が微笑んでいるかのように。

始まる前は、国際的な経済危機の影響が多いに心配された。
ところが、ふたを開けてみると、期間中ホテルは平日も含め満室御礼。そんなときだからこそ、せめて楽しむときはしっかり楽しもう!という人であふれかえった。

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時代もの風の本格的な豪華衣装、コスプレや着ぐるみ、といった、全身変身型もあれば、帽子やマント、仮面1つ、あるいはそのセットでの部分仮装。お手軽な顔のペインティングやネコ耳。絵のように美しい、幻想的な姿もあれば、奇をてらったへんてこりんな格好も。
仮装の人が多いから、連鎖的に仮装しようと思う人が増えるのだろう。
サンマルコ広場はもちろん、路地や小さな広場に、スーパーでもバールでも、どこへ行ってもなんらかの扮装をほどこした人に会い・・・それがいつのまにか、「普通」になっていた。去年などは、仮装の人を探して写真を撮らねばならないほどだったのに。

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カップルやらファミリー、グループあるいはシングル・・・と、仮装の人々はみな、楽しそうなのが特徴。確かにどこへ行っても人がいっぱい、細い路地や橋はしばしば人渋滞を起こしたり、一方通行になっていたり、不便も数限りなくある。だが、全体に醸し出しているのは、なんというのか、極めて「平和」な雰囲気。実際、それだけの人が集中しているにも関わらず、殺傷はもちろん、一切の暴力的な事件や事故が発生していない。

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唯一、大きな問題が起きたらしいのは、鉄道の便。例年ならば週末の夕方から深夜にかけてなど、臨時便が出るのだが、今年は一切の増便、車両追加なし。これまでその費用を負担していた市が払うのをやめたためらしいが、国鉄のコメントが「サービスは、それを必要とする人が払うもの」。・・・え!?乗客は電車の切符を買って乗っているのだが・・・。
結果、運転席まで乗客がぎゅうぎゅうに乗り込んだと聞くと、安全面は大丈夫なのか、と疑ってしまう。やはり不思議の国イタリア・・・。

虚構?そう、まさに虚構なのかもしれない。先行きの見えない不況に、世界のあちこちでは絶え間ない戦争や内戦。一方、足元のイタリアはとふりかえると、なにやら凶悪犯罪やいわれもない暴力事件が日々増えるばかり。

そんな不安や憂鬱を、吹き飛ばそう、せめて仮装でもして楽しもう。
女装に男装、白塗りや金髪にリボンのかつら、あるいは、創造力をふんだんに働かせたオリジナル衣装。残念ながら今の世の中では、ふだんなら白い目で見られてしまう、怪しまれてしまうような格好だろうが何だろうが、ここではすべてOK。他人にメイワクをかけさえしなければ、何をやっても自由。いや、それどころか、目立てば目立つほど、みんなの注目を浴び、ひっきりなしにカメラを向けられる。
そう、ここでは、衣装と仮面に身を包めば、日ごろはお世辞にも美しいとはいえない方々だって、みんな貴婦人に貴公子。誰もが主役になれる。

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それでいろいろなウップンを少しでもはらしたり、忘れたりすることができるのなら、ずいぶん安上がりなのではないか。
もちろん、これを楽しみに、衣装作りに1年間かける、という人も中にはいる。あるいは、豪華衣装一式をレンタルすれば何百ユーロもかかる。だが、手作りだったり、または家に既に一式持っていれば、それを引っ張り出して埃をはらうのに、そうたいしたお金はかからない。
観光客ばっかりが多すぎて、といつもなら嘆いているヴェネツィア市民も、今年は衣装を引っ張り出して一緒に楽しんだ人が多いのでは。

「人は、自らの仮面を取るために仮面をつける。」開幕イベントに登場した、喜劇俳優ダリオ・フォーはそうコメントした。

ヴェネツィアが、本来の力とお役目を取り戻した、そんな風に見えた。

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24 febbraio 2009
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by fumieve | 2009-02-25 08:27 | ヴェネツィア
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