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バレエ「コッペリア」の楽しい夕べ、ミラノ・スカラ座

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Coppélia
振付 Derek Deane
音楽 Léo Delibes
指揮 David Coleman
Swanilda Serena Sarantaro
Franz Antonino Sutera
Teatro alla Scala

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思っていた以上にうんと楽しい夜となった。
ミラノ・スカラ座は、10年くらい前に旅行できたときに観たオペラ「トスカ」以来。ずっと、来たいと思っていながら、なかなかチャンスがなかった。

今日はオペラでなくバレエだったが、明るく楽しい「コッペリア」は好きな演目の1つ。

前日にオンラインで予約したのは、3階ボックス席のうちの1席。ボックスの後ろ側は舞台が見えにくいのでどうかと思ったが、実際行ってみると案外そうでもない。少しでも中央寄りにしたおかげで、舞台の枠はしっかり見えているし、何より、ボックス内6席のうち、一番後ろの2席は椅子が高くなっていて、なかなか気が効いている。

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同じボックスに現れたのは、女の子2人を連れたお母さん。その親子が、なんとも感じがいい。通いなれているらしいお母さんが、2人に、劇場のあれこれを説明する。「私はいつも、もっとあっち(上の)ほうの席から見るんだけど。」「そこでよかったのに!」「今日は初めてのあなたたちに、いい席で見せてあげたかったのよ。」
8歳と10歳、スカラ座のバレエ学校に通っているらしい。長い髪をアップにはせずに垂らしていたが、細長いきゃしゃな体に、ぴったりとTシャツ素材でチュチュのようにちょろっと裾に短いひらひらのついたワンピースにスパッツ、おそろいの姿はいかにもそれらしい。

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そこへ、6人席のうちのあと2人、フランス・アヴィニヨンから来たという50-60代のご夫妻がやってきた。フランス語ができるお母さんは、娘たちにせっつかれて彼らに話しかける。バレエ用語は、アン・ドゥ・トロワ・・・とか、パ・ド・ドゥとかフランス語だから、彼女たちもちょこっとだけフランス語がわかる、と言いたい。(でも、それが言えない。笑)

幕あいにはにわかフランス語教室が始まったり、ポーズをとって写真を撮ったり。
お母さんは(もちろん毛皮だったけれども)いつもは上のほうの席を取る、ということは特別なお金持ちというわけでもないだろうし(もちろん、そうは言っても全体におしゃれだったけれども)、とりたててステージ・ママという風でもない。子供たちも、はしゃぎすぎず、といってかしこまり過ぎず子供らしい好奇心もいっぱいで微笑ましい。
せっかく説明を受けた貴賓席ボックスに、なんともさえない(失礼)ふつうの格好のしかも男性2人が座っているのを見ては、「ちょっと!そこに座るなら、やっぱりちゃんとせめてスーツにネクタイをしないと!私のほうがずっといいカッコじゃない!」(ミッキーマウスの大きな顔が胸いっぱいにプリントされてたけどね・・・)
「ぶた」をフランス語でcochon(コション)と言うと聞いて、「あ、わかった、coscione(コショーネ、大きな太もも)だから!?」にはこちらも思わず爆笑。
無理のない自然な親子で、こういう子供たちがバレエ学校に通っているのかと思うと、なんだか嬉しい。

かわいくて純真で、だけど焼きもちやきで、ちょっといたずらな女の子スワニルダが、人形になりすましておこるドタバタは、まさにこんな女の子たちの「初スカラ」にぴったり。
観劇中も、ときどきこそこそと、「あ、フランツよ!」とかやってたけど、そういえばこのボックス席というのは、こうして子供連れで来たりするにも便利にできている。

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スカラ座は、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場と比べて、思っていたほど大きくはなかった。せいぜい一回りくらいだろうか・・・ただ、パステル・カラーでふりふり・ひらひらな装飾のフェニーチェと違い、赤が貴重のインペリアル調のこちらは、格調高いというか、若干威圧的な感じはする。
ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスがなにしろ巨大で、オーケストラの音がずいぶん遠く感じたが、ここは、音も、それから舞台も案外近い。
面白いのは、ボックスの外側に荷物を置くための専用のボックスがあること。
一方、ホールの雰囲気などは、色合いとシャンデリアと鏡のためか、フェニーチェと似ている。が、フェニーチェでは休憩時間はバールに人が殺到して、飲み物1つ頼むのも容易ではないのに、ここはみんな落ち着いてゆったりしているのはなぜだろう?
バレエとあって、さすがにそれらしき女の子連れの観客が多い。

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肝心のバレエも期待通り十分楽しんだのだが、それ以上に、気持ちのいい夜を過ごした。

いつか、あの女の子たちをステージの上で見ることができるだろうか?

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1° marzo 2009
by fumieve | 2009-03-02 08:46 | 見る・観る
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