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ヴェネツィア ときどき イタリア

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まるでホリモノ見本市、ルッカの教会群

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一週間前の月曜日の朝。ルッカの町は、まだようやくベッドの中でまどろんでいるような、静けさが支配していた。ヴェネツィアと同じように、ここは各戸前に出されたゴミを、清掃員が収集してまわるらしく、車といえばそのミニ収集車と、ときどき自転車だけが通り過ぎた。スクーターすら、ほとんど出会わない。
そんなに早朝という訳でもないのに、この人の少なさは・・・と思ったが、どうやらここでは、月曜日は休みの店が多いらしいことに、歩きながら気がついた。

駅から不思議な入口を通って入った城壁の中、すぐ目の前に見えていたのが、やはりドォーモだった。ただ、入場は10時から、とあって、ぎりぎりまだ入れない。
あとで戻ることにして、静かな町の中をふらふらと歩いていく。

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大きな教会に出る。サン・ミケーレ・イン・フォーロ教会(Chiesa di San Michele in Foro)。
白と、緑と、ピンクの大理石の装飾。ああ、トスカーナだ、と思う。白、は基本として、ピンクの石は、お隣ウンブリア州ならアッシジ産のものが有名だし、ヴェネツィアのあるヴェネト州ならヴェローナの石がおなじみ。だから、白とピンクの華やかなツートンは案外あちこちであるのだが、この、濃い緑が入ると、とたんにトスカーナ~フィレンツェっぽくなる。フィレンツェの花の大聖堂はもちろん、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会、サンタ・クローチェ、サン・ミニアート。

ところが、よく見ているうちに、とんでもないことに気がついてしまった。
色は似てるけど、これ、フィレンツェの教会とは全然違う!!!
まず、その緑・白の装飾、フィレンツェの教会はどこも、幾何学パズルのような無機質な模様になっていて、それがいかにもルネサンスらしいのだが、この教会、一見その仲間のように見せつつ、実はフリーズの部分が細かく、現存、あるいは想像上の動物や怪物の模様の象嵌になっている!・・・美しい・・・。象嵌好き、かつ、模様好きの私にはたまらない。

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さらに、昔風のウエディング・ケーキのような、飾りアーチ、よくよく見ると、柱が1本1本、ちがう!!!
ヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂の外面は、第4回十字軍の際にコスタンティノポリ(現イスタンブール)から略奪してきたお宝で飾り立てられているのだが、ファサードには堂々と、まるでインテリア・ショップの石見本よろしく色とりどりの大理石が並ぶ。
それだって十分すごいのに、ヴェネツィアのはしょせん、全部ふつうの円柱だ。
ところが、これ、石の色だけでなく、そもそも細工が違う。柱そのものに彫刻が彫り込まれているもの、象嵌、その両方の組み合わせ、そして組み紐みたいなものまで。それも動物や怪物が巻きついているものもあれば、抽象的な模様も。うわっ・・・おもしろい!!!こういう、よりどりみどり的装飾に弱い私。楽しい・・・。
言うまでもなく、柱頭も全部違う。
なんでもかんでもごちゃごちゃ盛りだくさん、百科事典・絵巻趣味はまさに中世の特徴。
合理的な幾何学模様で合理的な美を追求したルネサンスに比べると、うんと泥臭く、うっかりすると悪趣味の一歩手前。だが、このプリミティブな愛らしさが、実は私は大好き。
動物の象嵌も、柱の模様も、ほんとうはその1つ1つに、きっとそこにいる意味があるはずなのだが、残念ながらそれを調べている根気は私にはない。見た目だけで表面的に楽しむので勘弁してもらうことにする。
そうやって見とれているうちに、いつの間にか青空が広がり、ファサードも真っ白に輝き始める。首が痛くなるほど上を見上げて観察し、とりあえず「お気に入りの1本」を決める。(さて、どれでしょう!?)

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ファサードの豪華さに比べると、中は質素だ。3廊式の細長い空間。ここもかつてはフレスコ画による装飾で覆われていたのだろう。ほんの少し、壁にそのあとが残る。

ちなみに、まじめにガイド(Guida d’Italia Toscana, Turing Club Italiana)の解説を引用すると、同教会は、1070年から12世紀中盤にかけて建築された、ロマネスク・ゴシック折衷のピサ・ルッカ様式を代表する建物。(いかにも!)ファサードは13-14世紀に取り付けられた。ピサ風の装飾は地元ルッカの職人によるが、ロンバルディアの影響が見られる。ドォーモを設計したジュデット・ダ・コモが同じくこちらも担当した可能性もある。
てっぺんに君臨するのは、もちろん大天使・聖ミカエル(San Michele、サン・ミケーレ)。

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そう、最初は遠くから見ただけだったから迂闊にも気がつかなかったのだが、町の大聖堂、ドォーモのファサードもまた、このヨリドリ柱と動物象嵌で覆われていた。
ファサード建造がはじまったのは、12世紀末。1つめのロッジャに1204年ジュデット・ダ・コモの銘記があるらしい。
彫刻や、動物の模様が、フィレンツェよりはむしろパルマの洗礼堂などに近いと思ったのも、あながち間違いではなかったようだ。

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ルッカ、まだまだ終わりません・・・。

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16 marzo 2009
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by fumieve | 2009-03-17 06:55 | ほかのイタリア
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