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ヴェネツィア ときどき イタリア

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強く、美しく

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電車に乗って通勤していると、イタリアにも思っている以上に桜の木が多いことに気づく。

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ぶどう畑の間に植えられた桜。あるいは、おそらく山桜の類だろう、すぐそこの丘陵地帯に、ぼわっ、ぼわっと白い霞が浮いている。

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そして、線路沿いの住宅地には、大きなお屋敷も、それからお世辞にも立派とはいえない家も、その庭に桜の木が植わっているところが案外多くて、満開を少し過ぎた今は、その花びらを緑の芝生の上に散らしている。大きな庭ならともかく、小さな、猫の額ほどの家庭菜園にまで、立派な桜の木が1本、堂々と植わっているところを見ると、庭木として人気の高いということなのだろうか?それとも、「さくらんぼの木」としての桜なのか、あるいはひょっとすると、食べカスを捨てた中から、芽が出て育ちやすい木なのだろうか?
いや、それにしては、集合住宅の脇や、工場の敷地内、線路わき、と、ずいぶんいろいろなところに植わっている。

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日本の、すべてのエネルギーを美しい花だけに注いだ、ソメイヨシノの華麗で優美な「桜」と違って、こちらの桜は、「桜」というより「桜の木」というほうがしっくりくるような立ち姿をしている。
ひらひらとはかなげな日本の桜の美しさにはもちろんかなわないが、こんな男らしい桜の木も、これはこれでいいような気がしてくる。

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復活祭前の聖金曜日、すなわちイエス・キリストが十字架に架けられた日。

ラクイラでは、地震の犠牲者のための合同葬儀が行われた。
新聞等の報道によると、復活祭にあたるこの日曜日まで、がれきの下の捜索活動を続けるとのこと。多くの人が、あまりにも多くを失ったアブルッツォ州の各地で、ほとんどが、我が町のもとの姿への復旧を望んでいる。イタリア中から集まったボランティアたちが、被災者たちと寝起きを共にし、食事をはじめ、彼らの生活を支援している。大きな被害を受けず、インフラさえ戻れば今すぐにでも活動を再開できる工場もある。家族や家、それぞれが多くを失った社員たちも、そこに、一刻も早く職場に戻りたい、と言う。
「戻りたい」のは、子供たちも、大学生たちも同じ。学校こそ、できるだけ早く復活できるようにしなくてはならない。

ロマネスクやルネサンス、バロックの美しい教会や町並み、かつての写真を見る限り、どちらかというと女性的な美しさと言ってもよさそうなラクイラだが、山間の、厳しい気候条件の中に住むアブルッツォの人々はもともと、頑固で強靭な性格なのだという。
多くの支援は不可欠だ。だが、生活の復旧とともに、1人1人の痛んだ心が少しでも早く、少しでも軽くなるよう今は望むばかり・・・。

今宵は十六夜。
Buona Pasqua a tutti. (みなさん、よい復活祭を。)

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10 aprile 2009
by fumieve | 2009-04-11 08:51 | 日常生活
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