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ヴェネツィア ときどき イタリア

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安藤忠雄設計、プンタ・デッラ・ドガーナ(税関岬)いよいよオープン!

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Mapping the studio
Punta della Dogana, Venezia
10:00-19:00
火曜休館
www.palazzograssi.it

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抜けるような青空を背景に、右手でカエルの片足をつかんで持ち上げている男の子の白い彫像の写真が、今日の朝刊の1面を飾った。
そういえばどうしたかと様子を見にいくと、昼間、もみくちゃにされていたのが嘘のように、そこでひとりで夕日を浴びていた。・・・ヴェネツィアの新しいシンボルとなるのだろうか。

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ここでも何度か紹介してきた、安藤忠雄氏の設計による、プンタ・デッラ・ドガーナ(税関岬)現代美術館が完成した。

外観はそう、以前とほとんど変わらない。

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が、中に入ると一転、新しい現代美術館としての空間があった。

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レンガの壁に、木製の梁が出たままの天井、だだっ広い古い建物が、現代アートにぴったりくるのは、ある意味、ヴェネツィア・ビエンナーレなどの機会で、ここヴェネツィアではすでに経験済。
そこに、鉄とガラスとコンクリートを入れて、美術館として、より機能的にする。
長年の間に空気や水を含んで、そのラインが必ずしも一律ではなくなっている、レンガと木という自然の素材、完全な直線でない枠組みの中に作られた、きっちりと正確で妥協を許さない、鉄やガラス、そして、彼のトレードマークといえる、打ちっぱなしのコンクリート。
タダオ・アンドーだ!と、少なくともここヴェネツィアで期待される建築がそこにある。

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数年前、同じピノー財団が、美術展示場としてパラッツォ・グラッシをアニェッリ財団から購入した際も、安藤忠雄氏の設計で内装工事が行われた。が、そのときはむしろ、一度は壁や天井を覆っていたものを取り去って、18世紀建築当時の建物の姿を見せる、という作業が中心で、どこがタダオ・アンドーなの?というのが正直わかりづらかった。
今回は文句なしに、誰が見てもタダオ・アンドーの「作品」ができあがった。

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二等辺三角形の建物、展示スペースの約2/3は2階建てにしたが、広い導入部にあたる第一室と、途中、中央の部屋を吹き抜けにして高い天井を残した。どの部屋も天井にあかり取りの窓があること、また、2階の小さめの部屋は、実際はガラスを通して下階が見えるようになっており、狭苦しい感じはなくむしろどの部屋も非常に開放的だ。

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それどころか、贅沢なことに、2階の奥の2室は、左右両側から海の光が直接差し込む。そして気がついたのは、ここは実際に「水」をすぐ近くに感じること。大運河(カナル・グランデ)やそれ以外でも、水際に建つ美術館はいくつもある。だが、たいていはもともと貴族や金持ちのお屋敷であったそれらの建物は、1階は空で、2階以上が実際の生活の場であったから、美術館化して展示などに使われるのは2階以上。それも、各階の天井が高いから、実際に運河の水はずいぶん見下ろすところにある。
ところがここは、水が近い。三角形という形のせいもあるかもしれないが、まるで船上にいるかのような錯覚すら起こす。

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ハコばかりの記述になってしまったが、肝心の美術展はMapping the Studioと題した、最新作も含む、ピノー・コレクションからのセレクション。上記パラッツォ・グラッシと合わせて1つの展覧会となっているので、まずはプンタ・デッラ・ドガーナを見学した後、やはりパラッツォ・グラッシも回ったほうがよい。

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一般公開は、6日から。ヴェネツィア住民は、Carta identità かimobの提示で毎週水曜日に入場無料になる。

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3 giu 2009
by fumieve | 2009-06-04 09:24 | 見る・観る
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