あの白い花は、山ブドウだったらしい。・・・背が低めで、ちょっとアジサイのような小さな白い花。
気がつくと沿線はいつの間にか、赤紫の茎から黒々とたわわに実をつけた横広がりな房に、びっしりと囲まれていた。
電車は走っているとそれなりに早いから、写真にはうまく写らないのが残念。
梨やりんご、ざくろなどが葉陰に、ぽつぽつと丸い実をちらほら見せ始めている。が、川べりに近い、これはひょっとすると野生種なのだろうか?桃と思われる、まだ青いが大きな実をつけた木もたくさん。ちょうどガクン、と、何でもないところで電車が止まって、なかなか動かないから不安になって、様子を見ようと窓を開けたら、避暑地の森のような、水をいっぱい含んだ緑の香りがした。
先週、みんなの期待の夏休みを前に、ようやく本格的な夏の暑さを迎えたと思ったら、週末いっぱいまで続いて、昨日の夕方には激しい雨が降って、また涼しくなった。
畑の実りは、遠目には順調に見える。
トウモロコシ、ブドウ、ブドウ、トウモロコシ、ブドウ、トウモロコシ、トウモロコシ、トウモロコシ・・・。
ヴェネツィアに近づくにつれ、雲が薄く軽くなって、やがて強烈な太陽を顔を見せ始めた。(あとからこうして写真を整理しているだけで、紫外線にやられそうだ・・・)
5分、10分の遅れも数えたら、毎日トラブルのない日がないと言っていい国鉄だが、ヴェネト州からフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州にかけての、一方を山で縁取られた車窓の風景は悪くない。
メストレ駅(Mestre)を過ぎて、ふと、空気の色が変わったと思ったら、水の上に出ていた。
・・・ただいま、ヴェネツィア。
4 agosto 2009