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ヴェネツィア ときどき イタリア

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リド島にて、「プリモ・レーヴィに捧ぐ」

~ユダヤ人作曲家たち、イタリアとアウシュビッツの間で

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LidoMusicAgosto
Omaggio a Primo Levi. Compositori ebrei tra Italia e Auschuwitz
Chiostro di San Nicolò, Lido di Venezia

ソプラノ Giulia Peri
ピアノ Gregorio Nardi

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ヴェネツィアの向こうに沈む夕日を横目に、向かった先はサン・ニコロ教会。
ここは、真夏のビーチ・リゾート、あるいは国際映画祭の会場として知られる、ヴェネツィア・リド島。
サン・ニコロ教会の回廊(Chiostro)で、LidoMusicAgosto(リド、音楽、8月)と題した4回シリーズのコンサートがあるのを知って、行ってみることにした。
今日は、そのシリーズの2回目。ユダヤ系イタリア人で一度はアウシュビッツに送られながらも奇跡的な生還を果たし、戦後、作家として活躍したプリモ・レーヴィをしのび、彼にささげるというテーマの今日は、当時の、やはり厳しい弾圧を受けたイタリア人作曲家たち、そして、ナチ政策の犠牲となって命を失ったドイツ人作曲家たちの曲が、プログラムに並ぶ。

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20時半の開始5分くらい前に着くと、200近くあるかと思われる席がほぼいっぱい。もっとも、リド島住民は入場無料なので、みなさん結構楽しみにしているのかもしれない。

はじめに、今日のプログラムの説明。レーヴィの「奇跡の生還」。一般にイタリア人は法律を守らないから、ユダヤ人排斥の法律ができたときも、わりとみんなユダヤ人たちを見て見ぬふりをして、結果として匿った・・・などなど。実際、今日の作曲家の中には、収容所行きを免れた人もいるという。
ファシスト政権下で、確かにユダヤ人迫害はあったけれども、でもイタリアはドイツほどじゃないよ、というのはイタリアでよく聞く話。それよりも、自分たちだって被害者、という意識が強い。例外はあるにせよ、国を挙げて迫害をしたのは事実、同じ穴のムジナなのに、日独伊同盟だったくせに・・・となんだかあまり聞いていい気分はしない。

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そんなモヤモヤも、だが、その第一声を聴いて丸ごとふっとんだ。

そして、声もすばらしいのだが、この回廊、響きすぎず、吸収しすぎず、音の反響がちょうどいい。
2年前には、嶋本昭三さんのパフォーマンス会場となった回廊が、今日は、カンペキなコンサート・ホールにさまがわり。

ソプラノのGiulia Peri(ジュリア・ペーリ)さん、ほっそりとした体に、丸顔で黒髪のきれいな人だが、声はもうダンゼンその見た目以上に美しい。
帰ってきてから改めてプログラムを読んだところ、フィレンツェ生まれの彼女は、ピサの大学をラテン文学専攻で満点卒業。一方、フィエゾレの音楽専門学校でヴァイオリンを学び、いくつかのコンクールで受賞歴があるほか、オーケストラでの演奏活動歴も。
歌は個人で指導を受け、なかでもバロックのレパートリーを極める。ソリストとしてズビン・メータを始め、国際レベルの指揮者の下でも歌っている。
今日のピアニスト、Gregorio Nardi(グレゴリオ・ナルディ)さんらとともに、20世紀の音楽、特に、ユダヤ人作曲家のレパートリーを持つ。
・・・やれやれ、天は1人にたくさん与えすぎ。

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一方の私はと言えば、国語・算数・理科・社会、夏休みももうそろそろ終わりだというのに、一番重要な宿題はほとんど全部残ったまま、1つでいいはずの自由課題を、あれもこれもやり散らかしている、そんな状態・・・。ああ・・・

だが、コムズカシくとても悲しい、政治や歴史も、自分の目の前の現実も、このひとときは何もかもさっぱり忘れて、満天の星空の下、ただひたすら、目の前にある音の美しさを楽しんだ。

プログラム

Giulio Alberto Fano- Quattro canti op.3
James Simon – Dämmerung op.6 n.2
Leo Kopf – Unter di grininke Beymelekh
Leone Sinigaglia – da Trentasei vecchie canzone popolari del Piemone op.40. Cecilia – il grillo e la formica
Aldo Finzi – Barque d’or
Mario Catelnuovo–Tedesco – Pan ed Eco
Kurt Weill – Tango-Ballade per pianoforte
Pavel Haas - da Šest písní vlidovém tónu op.1:
da sieben Lieder op.18, su poesie di Frantisek Ladislav Celakovsky:

Vittorio Rieti – la danseuse aux lions
Felice Boghen – da Tre melodie per una voce e pianoforte. Canzone
Viktor Ullmann – Drei yiddische Lueder or.53
Martin Roman - Kaurssel

アンコール1曲のあと、聴衆たちのほとんどは、自転車で三々五々帰っていった。

次回は、26日(水)、最後は30日(日)に予定されている。
プログラムなど詳細は、www.archiviofano.it で確認できる。

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23 agosto 2009
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by fumieve | 2009-08-24 09:19 | 聞く・聴く
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