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ヴェネツィア ときどき イタリア

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お屋敷美術館Geelvinckのサプライズ、アムステルダム

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Museum Geelvinck Hinlopen Huis, Amsterdam

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かつて、運河こそが通りの役目をはたしていた当時、メインの運河沿いにお屋敷を建てるのが、ステータスであったことには、ヴェネツィアもアムステルダムも変わらないらしい。
迷宮のように入り組んだヴェネツィアのそれと違い、弧を描くようにすっきりと並行に走る3本の運河のうち、一番内側がHerengracht(紳士の運河)。Albert Geelvinck, Sara Hinlopen夫妻は1680年、この運河に面した土地を購入し、家を建てる。

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アムステルダムの午後、中途半端に時間が余って、ふらりと寄ってみたのは、「18世紀の裕福な住民の暮らしをかいま見る」と紹介されていた同美術館。現在の美術館入り口は、「紳士の運河」に並行して走るKeizersgracht(皇帝の運河)にある。ちなみにもう1本はPrinsengracht(王子の運河)。
花咲き乱れる中庭を取りぬけて、本館へ。

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入って右側は図書室。ここは残念ながら、天井も肝心の本棚も比較的新しく直したものと思われる。興味深いのは、このアンティーク風なフローリング材は、かつて船で使われていた材木の再利用なのだという。
どんな堅い木を使っても、船としての木材の寿命はせいぜい30-40年。それで、廃船、解体になった船をばらし、木材はかんなをかけなおし、当時、こうして室内利用などにリサイクルされたらしい。さすが商人の町、アムステルダム、目の前の資源を古材とはいえ、みすみす無駄にはしない。同じく海運・商業の町であったヴェネツィアはどうだったのだろう?
個人的には、そこに飾られていた、ガラスのワイン(リキュール?)ピクニック・セットに目が釘付け。

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隣は、通称「中国の間」。

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壁一面、シノワズリー(中国趣味)・ロココな模様に覆われた、まだ見ぬ東洋にあこがれた彼らの、今の我々からみるとかなり妙なエキゾチック趣味。だが、暖炉の上にならぶ中国磁器を模したデルフト焼き(だと思う)は十分に魅力的。
書斎に比べ天井が低いのは、こちらがふだんの居間にあたり、より心地よく暖かいしつらえになっているためだそう。

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反対側、「青の間」は、クラシックなルイ16世スタイル。すっきり無駄のない部屋の壁に牧歌的な風景画が5つ、描かれている。1788年、オランダの画家、Egbert Van Drielstによるもので、案内してくれたガイドさんの解説によると、これらはオランダ人の「夢の風景」なのだそう。確かに17世紀以降、オランダでは肖像画と並んで、静物画や風景画がたくさん描かれるが、本来のオランダの風景はまったくの平原であり、こうして起伏に富んでいることはない。
ただし1枚、小さな橋を描いたものは、船でアムステルダムに入る際に必ず通るGiethoorn(?)というところの模写で、見る人はみな、「ああ、あそこだ」とわかったらしい。

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その続きが、「赤の間」。

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入ったときに、コンサートがあると言われて、確かに音が聞こえてはいたのだが、当時のオランダ女性風の衣装に身を包んで、その古楽器を弾いていたのは、井上加奈子さんという方だった。
小さなサロンの、楽器の周りに椅子を並べての演奏会、決まったプログラムはなく、長い午後の間、ハイドンやモーツァルトを随時演奏。加奈子さんがその珍しい楽器について説明したり、聴衆も自由に質問したり、楽器に触ってみたり、という楽しい催し。

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楽器は、ピアノの前身、フォルテピアノの中でも「テーブル・ピアノ」と呼ばれるものだそうで、というのも、全部ふたを閉じると、完全にテーブルのようになるため。加奈子さんいわく、この楽器の特にめずらしいのは、右端の小さなふたの部分を、右の膝を上下して開けるようになっているところで、これは通常、現代のピアノなら左足の右ペダルにあたるものらしい。(写真、手で上下してみせてもらったところ)

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ユトレヒトの音楽院を卒業し、拠点をアムステルダムに移すところだという加奈子さん。
またどこかでお会いできることを願いつつ、今後のご活躍を大いに期待したい。

ちなみに、9月以降、毎週日曜日の午後、地下のサロンでさまざまな室内楽のコンサートがあるらしい。

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Museum Geelvinck
Keizersgrachet 633, 1017 DS Amsterdam
www.museumgeelvinck.nl

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30 agosto 2009
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by fumieve | 2009-08-31 08:26 | 異国の旅
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