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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ヴェネツィア暮らしのススメ


空港からヴェネツィアまで乗ったバスの中で、ラジオで「ヴェネツィアの人口が60000人を切った」というニュースをやっていた。

今日の新聞に、ヴェネツィア市長の「59,999人も60,000人も本質的には何ら変わりはない」というコメントが載っていて、思わず笑ってしまった。いいぞ!さすが、哲学者市長!!!
コリエレ紙全国面(!)の記事によると、10月21日付の市の統計課記録で、59,984人になったというのだが、60,000を切ったといっても、その数値自体にそれ以上の意味があるわけではない。

私もつい先日「よくあんなところに住んでいるよね」と言われた。ま、好みは人それぞれであるけれども・・・。

ヴェネツィアに住んでいる、というと、たいていはびっくりされ、イタリア人には特に「不便じゃないの?」「物価が高いでしょう?」と言われる。
が、物価については、日用品を買うチェーン・スーパーは、ヴェネツィアの中も外も同じ値段だし、小売店でも、日常生活をしている範囲では、そうびっくりするほど、ほかの町より高いわけではない。確かに、町の中では、ローマよりは多少高いと思うが、ミラノのほうがもっと高いように感じる。
平方メートル当たりの家賃は、イタリアのほかのどの町より高いかもしれないが、たとえばアパート1軒、ルームシェアの1部屋、という単位で考えれば、それぞれ部屋が狭かったり天井が低かったりすることはあるが、おそらくほかとあまり変わらない。

幼稚園から小学校、中高はもちろん全部あり、大学は4つ(総合、建築、音楽、美術)。ヴェネツィア大学にはたとえば医学部はないが、それはすぐ近くのパドヴァにはあり、イタリア全国、どの総合大学も、たいてい周囲の何校かと補い合っているのが普通。(たとえば、ミラノの大学には美術史を専攻する学科がない)むしろ、大学がこれだけある町は実はイタリア全国でも数えるほど。

なんだかんだと、大きな展覧会やイベントの数や質は全国でもトップレベルだし(今年のビエンナーレは、ぶっちぎりで2009年イタリアの特別展入場者数トップを独走)、音楽についても、毎日どこかでいくつもの演奏会が行われている。オペラ・ハウスだって、これも年間10演目前後の公演があるのは、せいぜいミラノ、ローマだけ。

病院事情は、これもイタリア全国、似たりよったりで、ヴェネツィアがほかより優れているとは決して思わないが、特別に劣っていることもないだろう。

そして、何が便利かって、これらすべて、たいていは徒歩10分から、せいぜい30分ぐらいの範囲内にすべてが収まっていること。

車がないから交通事故はないし、バイクによるひったくりなどの犯罪も皆無。

いつも言っていることだが、夜中の1時2時まで飲んだくれて、女1人、平然と歩いて家に帰れるところなんて、世界でもあんまり類がないのではないだろうか?(注:観光客のみなさんはマネしないよう願います。)

アックア・アルタ(高潮)はあるが、その代わり(?)、地震も洪水もない。

もちろん、町中のいたるところには、運河を渡る橋がかかって階段の上り下りがあるし、古い建物の中の住居にはエレベーターがないところがほとんど。確かに、小さな子供がいたり、体の不自由なお年寄りがいたり、そういう家庭にとっては厳しい環境かもしれない。

ただ、ふつうの町に住んで、週末に車で巨大なショッピングセンターに日用品を買いに行く、ガソリンも高い、車の維持費だってかかるそんな生活が、トータルでヴェネツィアの徒歩暮らしよりコスト安だとは正直あんまり思えない。

私の家から徒歩20分(水上バスなら15分)のバス・ターミナル(ローマ広場)、空港へはバスで20分。さすがに日本直行はないが、これでもイタリアでは発着数第3位で、国内、および欧州内各都市、NYへはひとっとび。
同じく徒歩25分(水上バス17分)の鉄道駅からだって、これもイタリア国内はもちろん、パリやウィーン、ブダペストまで直行列車がある。
移動の多い仕事をしていると、実は下手にどこかに動くより、ヴェネツィアにいたほうがよっぽど便利だったりする。

・・・この快適さは、住んでみないとやっぱりわからないだろうな。

24 ottobre 2009
by fumieve | 2009-10-25 08:31
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