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ヴェネツィア ときどき イタリア

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(ヴェネツィアで)卒業おめでとう!

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ヴェネツィアの町の中を歩いていて、コスプレのような奇妙な姿や、寒空の下に下着一丁とかで、まわりにわいわいはやし立てられたりしている様子を、目にしたことがある方も中にはいらっしゃるのではないだろうか?

ここでも何度か紹介しているのだが、日本とイタリアで根本的に違って、とてもわかりにくいのが、大学の卒業がみな一斉でないということ。

卒論を期限内に提出すると、しばらくして、「卒業討論カレンダー」が張り出され、そこに、今回卒論をめざす学生の名前と卒論のタイトル、担当教授、そして日時、場所が指定されている。
卒業討論は、提出から1-2カ月後。これはつまり、卒論に関する口頭試問なのだが、これを受けて、そこで評価が下って、これまでの成績と合わせて、はい、めでたし、めでたし、卒業!となる。この期間は2-4週間くらいある上、そもそも卒業討論の期間が年に3回とかあるから、それまでの試験の進み具合等々で卒業のタイミングは同級生でもどんどん時期がずれていく。

もう1つ、日本から見るとびっくりなのは、この卒業討論がたいていは公開で、もちろんだからといってどこかの知らない人がわざわざ見に来ることは皆無だと思うが、同級生や友人、両親・兄弟・姉妹はもちろん、親戚一族郎党にご近所さんまで、たくさんの人が「応援」にかけつける。
とまあ、卒業の仕組み自体は、おそらくイタリア全国、ほぼ似たようなもの(のはず)。もっとも、最近はヴェネツィアでも簡素化・世界標準化(?)がすすみ、学部などによってはもう少し合理的な方式になっているらしい。

百歩譲って、ここまでは、制度の違い、文化の違い、ということで、そんなものか、と慣れることはできる。



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どうしても、何年たっても理解できないのは、「卒業おめでとう!」の際の悪ふざけ。

Aちゃんの卒業見込みにあたり、自称・親友たちはずいぶん前から準備を始める。まずは、「パピーロ(papiro, パピルスのこと)」と呼ばれるポスターの用意。白い大きな紙の真ん中に、Aちゃんの似顔絵(カリグラフィー)を描く。たいていは顔だけ似せて、体はエロ・グロ系。ポスターのタイトルには、Aちゃんのフルネームと、大学名、卒業学部・学科名などを大きく記入。そして、似顔絵の周りには、Aちゃんの生い立ちや、これまでのエピソードなど、これもあることないこと、おひれをつけたり、誇大化したりしてびっしり書き込む。
これ、彼らにとってはなくてはならないもので、本来は友人たちが用意するものなのだが、たまたま誰も絵がかけない、なんてこともあるから、「パピーロ作成請け負います」のアルバイトをやっている友人もいるくらい。

当日。緊張して討論を終え、点数をもらって無事に出てきたAちゃんを待ちうけているのは、「卒業おめでとう」のはやし歌。「卒業しやがって、こんちくしょー」・・・的な内容だが、これ、お下品すぎてとてもとても翻訳できない(というか、私も歌詞を正確に把握していない)。
そして、Aちゃんは、有無を言わさず、彼らの用意した変な格好にすぐさま変身させられる。コスプレあり、セクシー系あり、半裸あり・・・。そうそう、一応「卒業」生らしく、月桂樹の大きな輪っかを首にかけられる。
そしてその格好で、みんなの取り囲む中で「パピーロ」を読み上げる。ちょっとつまづいたり、読み間違えたりすると「イッキ!イッキ!」・・・で、片手に握ったワイン・ボトルからワイン(もちろんラッパ飲み)を促される。
途中、なにかと、粉(小麦粉)をかけられたり、生卵をぶつけられたり。
これ、みんな大学前の広場や路地でやっているから、世界遺産なヴェネツィアで、公共の場を汚してはならぬ、と禁止条例まで出る始末。なので最近は、後片付けが簡単なように、大きなビニールシートを敷いた上でやっている(笑)。・・・ていうか、そこまでしてやる!?
下手な学生コンペの罰ゲームさながらで、不思議なのは、友人たちはともかく、親戚一同までがニコニコと楽しそうに見守っていること。

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写真は、先日、パドヴァで出会った光景。かつてはあのガリレオ・ガリレイも教鞭をとり、世界初の解剖学教室を持つ、古い伝統を誇るパドヴァ大学も、その卒業生は容赦なく餌食になる。

これ、ヴェネツィアやパドヴァでは当たり前の行事だが、いくらイタリアといえど、こんな馬鹿げたことをやっているのは、ほんとにこのあたりだけらしい。
同じヴェネト州のヴェローナでやっているが、隣の州、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州のウディネやトリエステでは、おそらく以前はやっていなかったのが、人の交流にしたがい、最近はやる人が増えてきた、とも聞いたことがある(調べたわけではないので詳細は不明)。
「宴」のあと、大学や住んでいるところ、バイト先などに「パピーロ」が張り出されていることもあるから、ヴェネツィアやパドヴァ、ヴェローナで大きめの変な張り紙を見たら、それと疑ってみてもいいかもしれない。

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26 ottobre 2009
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by fumieve | 2009-10-27 08:14 | ヴェネツィア
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