これまで何度か、いや、何度もトライして、一度も予約が取れたことがなかった。
魚介を中心に、伝統の味にアレンジを加えた料理が評判というオステリア・アッレ・テスティエーレ(Osteria alle Testiere)。
昨日、連休翌日でぐんと静かなヴェネツィアを歩いていて、ふと、こんな日のお昼なら入れるのではないか、と思い立った。
そろそろキッチンが閉まってしまうであろう、ぎりぎりの時間。20席ほどの小さなお店だが、幸い、観光客らしき外国人が1組、あとは地元らしき人々が1組、ゆったり食事を楽しんでいた。そしていかにも、おいしそうな匂い。やった!
どれもおいしそうで、迷いに迷った末に選んだ前菜がこちら、
モエケ(moeche)のマリネ
モエケは、ヴェネツィア名物で、脱皮したばかりの小さなカニのこと。殻が硬くなる前のやわらかいところを、そのまんま丸ごといただいてしまうというもので、春と秋のある一時期しかない旬の味。
調理する数時間前に、元気な姿のまま卵(の黄身)の中に入れ、満腹になった彼らをあわれそのまま・・・揚げて人間サマが食する、というのが伝統的なレシピ。ここでは、いったん揚げられた彼らが、さらにマリネになっていた。
(ちゃんとおいしく全部いただきますので、許してね!)
ふだんはパスタ食いの私が、パスタの代わりにオーダーしたのが、魚介のスープ。
これがもう、期待通り、というのか、それ以上というのか、思わず声をあげてしまいそうなおいしさ。なんてことのない、手長エビ、ホタテ、アサリ、ムール貝と、白身のお魚。ところがこのスープのだしが、あ、こういう味ってしばらく食べていなかった、と断言できるもの。それだけでクラクラなのに、粒胡椒とレモングラスがアクセントに。おいし~~~い!!!
実はふだん、イタリアはやっぱり肉のほうがおいしい、と思っているのだが、これはほんとに文句なくおいしい。
添えられたパンで器がからからに乾くほどふき取ってきれいに食べてしまった。
たらふく食べたパンのおかげもあって、既にお腹いっぱい。だが、ここまで来たら、デザートも試さないわけにはいくまい・・・。ティラミスから各種タルトまで、すべて自家製という中で、基本中の基本のようなパンナコッタ。ただし、柿のソース添え。
これも、上にかかったチリチリ(おそらくカラメル)が食感にもいい刺激を与えていて、いつものパンナコッタの100倍おいしかった。
本日のおシゴト分、全部つっ込んでしまう勢い(カゲゴト師か、私は)の、行き当たりばったりなゼイタク。経済的にはプラス・マイナスで辛うじてプラス(かな?)、今日は歩いたからいいか、と思ったがどう考えてもパンナコッタ効果でカロリー的には完全にプラス(泣)、そしてなんといっても、おいしくって満足度100%、シアワセも大いにプラスで3プラス。
ちょっと高めだが、十分見合った内容、そして(ヴェネツィアにしては)オシャレ度も上々で、何か特別な日に行きたいお店。
(・・・と言いつつ、また食い意地に負けてフラリと行ってしまうんだろうな・・・)
メニューはすべて日替わり。
Alle Testiere
Castello, 5801 (Calle del Mondo Novo)
Tel. 041 5227220
10 dic 2009