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ヴェネツィア ときどき イタリア

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「のだめ」ソ連崩壊編!?「イル・コンチェルト」

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Il Concerto(仏、2009年、122’、原題はLe Concert)
監督 Radu Mihaileanu
出演 Alexeï Guskov, Dmitry Nazarov, Francois Berleand, Miou-Miou, Mélanie Laurent, Valeri Barinov

数日前、ヴェネツィアの町がカルネヴァーレの人であふれる中、その人ごみをかきわけて、あまのじゃくらしくひっそりと映画を見に行った。それも、旧ソ連、80年代初頭にブレジネフ政権下で抑圧されたユダヤ人音楽家の話・・・という、もういかにも重苦しそうな。

ところがこれ、笑える映画だった。




確かに、重く悲しいテーマを扱ってはいるのだが、ありがちなお涙ちょうだいのストーリーに、あり得ないマンガチックな展開、そこに音楽の愛と奇跡と、「ハーモニー」を加えた、そう、共産政権崩壊後の人種抑圧問題の行く末、「のだめ」仕立て、といったところ。
イタリアのことで、相変わらず全部吹き替えなのだが、最初、登場人物たちのイタリア語がみな、いかにも東欧、スラヴ系の人のアクセントを感じるそれ。モスクワに住む、れっきとした「市民」だけれども、どこか「異質な人」であることを、それよっても示唆しているのだろう。吹き替えそのものについてはいろいろと考えるところがあるが、イタリアの声優さんたちの、こういううまさには毎回感心する。

舞台は、体制崩壊後、20年たった現在のモスクワ。
不遇の、かつての天才「指揮者」。30年前に指揮棒を置いたきりだった彼が、あることをきっかけに、再興をめざす。そんな彼のもとに集められる、とんでもない音楽家たち。そして、目指すは・・・憧れのパリ、これも偶然ながら「のだめ」と重なる。監督、まさか「のだめ」は読んでないと思うが・・・。
が、ストーリーそのものは「のだめ」とは全く違うのでお楽しみに。とはいっても、繰り返すが、お話は単純で、最初っから結末が見えてしまうところはアバター以上(笑)。ところが、途中の展開は、これもしつこいようだがマンガ。えええ~おいおい、いいのお?・・・ありえなーーーい!!!の連続。あまりにもばかばかしく、なのにリアル。
・・・そして、なんだろ、そこは音楽のマジックに、うん、乗せられてもいいかな、と思ってしまう。で、のだめ、のだめ、としつこいが、この面白さはドラマよりはマンガの「のだめ」に近い。(映画は見てないので、なんとも・・・)

テーマであり、ストーリーのキーともなっている、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が見終わったあとも耳に残る。そして、チャイコフキーのコンチェルトを(できれば生で)聴きたくなる。
感動の名作、大傑作ではないかもしれない。だが、楽しめる映画。
いつもは、クレジットが出始めた途端に室内に明りがついて、どんどん帰ってしまうのが当たり前のイタリアの映画館で、最後までクレジットを見つめている人々もいたのが印象的だった。

このサイト↓に、トレイラーだけでなく何本かの映像あり。

http://trovacinema.republica.it/film/il-concerto/381755

イタリア語のタイトルは、Il Concerto(イル・コンチェルト)。「コンサート」を意味するコンチェルトではなく、「協奏曲」のほうのコンチェルトかと思ったが、原題を見ると、やはり「コンサート」が正しいのか・・・?

17 febbraio 2010
by fumieve | 2010-02-18 07:19 | 映画
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