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ヴェネツィア ときどき イタリア

fumiemve.exblog.jp

2008年 06月 05日 ( 1 )

Gomorra(ゴモッラ)

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www.mymovies.it/gomorra

薄汚れてくたびれた室内、壁のところどころがくずれかかったアパート。ぶらぶらと、何をしているのかわからない人々。まるで第三世界のドキュメンタリーを見ているかのよう。これが現代の、しかも同じ国に存在する現実なのだろうか?

先月、フランス・カンヌ映画祭でグランプリを受賞した、マッテーオ・ガッローニ監督「ゴモッラ」。ナポリに拠点をおく巨大犯罪組織、通称カモッラ(Camorra)を題材にした、ロベルト・サヴィアーニによる同名のノンフィクション小説は、イタリアでもベストセラーになったほか、世界各国に翻訳されている。(原作小説邦題は「死都ゴモラ」)

カッコだけで、暴力の世界にあこがれる若者。「他人の後始末をするために」とけろりと罪を重ね続ける男。いわれもない暴力に屈していく良心。まじめにコツコツとやってきた男のちょっとした反乱。お金につられて何でもやる、小さな子供たち。裏切りと復讐。
廃墟の混じる低所得層アパートを中心に、5つのストーリーが展開する。5つのストーリーはところどころ交錯しながらも、それぞれ独立して進んでいく。共通しているのはただただ、救い難い、ということ。
女も子供も、社会的弱者も、被害者であるだけではない、いつのまにか、意識的に、あるいは無意識に加害者へと加担していく。
まるで悪い夢を見ているような映画だが、はっと目を覚まさせるのはそれを取り囲む事件。産業廃棄物の違法投棄。おそらく不法移民なのだろう、劣悪な労働環境に文句も言えない黒人労働者たち。就労中の事故。競争の厳しい製造業と、がむしゃらな中国人(マフィア)の攻勢の脅威。
どれもこれも、今日、今晩のニュースをにぎわせているものばかり。これが悪夢ではなくて、限りなく事実に近いのだと意識させられる。

では、いったいどうしたらいいのか、どこから手をつけたらいいのか、全く解決の糸口が見えない。繰り返すが、救い難い。が、安易にハッピーエンドにくくるのではなく、それを観客に考えさせる手法は映画として秀逸。
登場人物がナポリ弁でしゃべっているために、ほぼ全編、イタリア語の字幕つき。誰も彼も、ホンモノ?というくらいうまい。

途中、ヴェネツィアが2回登場する。それは、あの世界と現代と、あるいはあの世界と一種の「夢のような」世界とのいい対比を生み出していて効果的。2回目はほんのちらりと劇中劇で、実はヴェネツィア映画祭の場面が映る。これはひょっとすると映画祭に対するオマージュなのかもしれない。いかにも映画祭向けの映画という感じもした。

4 giu 2008
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by fumieve | 2008-06-05 18:19 | 映画