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ヴェネツィア ときどき イタリア

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2009年 08月 10日 ( 1 )

「テッラ・マードレ」、エルマンノ・オルミ監督

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テッラ・マードレ(Terra Madre)。直訳すると、「母なる大地」だろうか。ただ、ここでいうTerra Madreは固有名詞で、スローフード協会の活動の1つ。 
www.terramadre2008.org グローバルな経済活動の側からのみの視点を問い正し、地元の気候に即した、地元の農業をいとなむ小さな生産者を保護し、支援する。
その活動を、エルマンノ・オルミ監督がドキュメンタリーとして追ったのがこの作品。

2004, 06, 08年、トリノの食の見本市、サローネ・デル・グスト会場での、テッラ・マードレの大会の様子が映し出される。昨年、見本市自体には行ったのだが、時間等の都合で、テッラ・マードレのほうはほとんどのぞくことができなかった。こんなに盛り上がった大会が行われていたとは、知らずにいたのがかえすがえすも残念。(昨年のブログを参照:2008年10月24日, 25日
これを見ると、テッラ・マードレの活動は、そのスローガンとは裏腹に、いい意味でグローバルな規模で広がっていることがわかる。参加国150以上というから、まさに食、いや、小農業のオリンピックといえばいいだろうか。

皮肉なことに、イタリアでは昨年の国際経済危機以来、「地元産」が大きく見直されることになった。インフレの続いた後の経済危機は家計を直撃し(注:現在はインフレが一気に鎮静化)、生活のコストを減らすには、結局、輸送等のコストがかからない地元のものが一番、というわけで、「ゼロkm」などと呼ばれて、地元の生鮮食品から、地元の小麦のみを使ったパンなどに注目が集まった。
それでも、スーパーに行けば、アルゼンチンやチリ産のりんご、南アフリカのグレープフルーツが所せましと並んでいる。南米やアフリカの果物が悪い、というわけではない。だが、やはりイタリアまで生鮮食品を運んでくるには、いずれもあまりにも遠すぎる。

途中、ヴェネツィアから1時間ほどのところで、周囲をすべて拒否して、電気も水道もガスも電話ない、すべて自給自足で隠遁生活をしていた人のエピソードが挿入される。
例えば、今の私たちに、そこまで返ることは実際のところ不可能だ。
ただ、それで、40年以上もやってきたというのは、完全にまねっ子はできないまでも、それが可能だということは、参考にはなる。

言葉が強いメッセージを持つ前半に対し、映像と音のみで綴る終盤の美しさは圧巻。ドキュメンタリーがドキュメンタリーを越えて、まるで作られたフィクション映画のよう。

テッラ・マードレのテッラ(Terra)は、語感から「大地」と訳したが、イタリア語としてはそれだけでなく、「地球」であり「土」であり、また「クニ」でもある。

ほんとうにおいしいものが食べたくなる映画。

9 agosto 2009
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by fumieve | 2009-08-10 08:59 | 映画