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ヴェネツィア ときどき イタリア

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監督・ばんざい!


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Kantoku Banzai! (Glory to the filmmaker!)

監督・主演 北野武

去年はコンペその他含め合計6作品も日本映画が上映されたのに、今年は2作品のみと随分少ないと思っていたら、北野武監督に、新設の賞が贈られることになり、同名のこの作品が特別上映になった。
タケシ・キタノ、ヴェネツィア(映画祭)が好んできた日本の現代の「巨匠」は、ご本人が「ずっと過大評価されてきた」というように、新しい作品を撮るたびに多大な期待がよせられたいた。が、2年前に「サプライズ」でコンペ対象作品として上映されたTakeshis’は、アイディアを使い尽くした、難しくなりすぎた、と酷評を浴びた。
この監督のすごいところは、それでも映画を撮りつづけていること。そしてもっとすごいのは今回のこの作品、「どうしたら売れる映画が作れるのか?」という監督自身の苦悩がそのままテーマになっている。
前作品では、どんなに酷評されようが、一般大衆にわかってもらえなかろうが、きっと監督ご本人にとっては全くどうでもいいのだろう、という印象を受けた。開き直り、かもしれないが、というよりはむしろ、映画を撮ること自体が、究極の道楽、趣味であって、本人にとって採算は度外視なのだろう、と。
が、製作側はそうはいかないし、出演する俳優さんたちにとっても同じ。それで、(周りをおもんぱかって)「売れる映画作り」に挑戦しようと思ったというのも、いかにも北野監督らしい。
いろんなところに、さまざまな映画や映画監督の引用やパロディーが使われているから、たくさんの映画を知っている人ほど楽しめるだろう。また、映画のみならず、古典的なギャグなどいろんなエピソードが散りばめられていて、「お笑いの人」タケシを忘れさせない。
こちらでは「キュビズム」映画として分析されているようだが、タケシ氏のTV番組のタイトルを考えれば、それも言い得て妙かな、とも思う。オムニバスというよりももっともっと、こまぎれにいろいろな側面から成り立っている。
が、苦悩は続いているらしい。
「さすがキタノ」とまた皆を納得させることが、いつかできるのだろうか。

30 ago 2007
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by fumieve | 2007-08-31 06:38 | 映画

第64回 ヴェネツィア国際映画祭 開幕!

(内容はのちほどアップします!)
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by fumieve | 2007-08-30 15:59 | 映画

日常

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長い夏休みを終えて、今日から通常通りの生活に戻ったイタリア人が多かったらしい。
すぐ近くでやっている内装工事も、きっかり2週間休みだったが、今朝8時からまた工事が再開した。
8月の終わりから9月にかけて、毎週月曜日になると必ずニュースで取り上げるのは、前日のUターンラッシュの映像だけでなく、イタリア9月病とでもいうべきもの。2週間、3週間、あるいは4週間、海辺で毎日だらだら過ごしていて、急に職場に戻って頭痛や疲労感の症状を訴えるというもの。さんざん休んでおいて「疲れ」!?!?!?いったいどういうつもりなのか、それは日本では単なるヴァカンスぼけと呼ばれるのではないか、と呆れるが、かなり深刻で心身に実際に支障が出るらしいところがまた、ほんとうに手におえない。
いったい何のために休んでいるのか、と思うが、彼らの場合、仕事の合間に休みがあるのではなく、休みのために普段仕方なく働いているわけなので、それはまあ、次はクリスマスまでまとまったお休みがないと思うと、一気に具合も悪くなろうというもの。

今年は特別に暑かったこともあり、もう1つ取り上げられていたのは、「冷蔵庫に入っている痛んだ食品は食べないように」というニュース。味の変わったトマトは食べるな、とか、かびの生えたチーズはそこから最低2cmは切って捨てろ、とか・・・ご大層に細菌学者などが出てきて「暑いときは、ばい菌が繁殖しやすいので・・・」って、知らないの?そんなこと?と思うのだが、「外から帰ったらまず、手洗い・うがい」の習慣のない国民なので、ほんとうに知らないのかもしれない。(お手洗いの後、手を洗わない人もいますね)

雨がちで、気温もぐっと下がった先週だったが、昨日は再び大・晴天でイタリア全国、軒並み30℃を軽くを越す暑さとなった。今日のヴェネツィアは、少し雲がでて、かえってものすごく蒸し暑い。仕事に戻った人々のうらめしい声が聞こえてきそう・・・。そういう私も少々ばて気味。

ヴェネツィア・リド島の砂浜も、昨日までは相当な人で賑わっていたに違いないが、今日はさすがに人がまばらだった。
一方で、今週から始まる映画祭の会場では、開幕へ向けて突貫工事中。いつも以上に、「これでほんとにあさって開幕できるの?」というくらい、まだまだ見事に初期段階だったが・・・。
例年、まだまだ暑いうちに始まる映画祭、海のリゾート地リド島にとっては、夏を締めくくる年中行事、イベントの最後の盛大な打ち上げ花火のようなもの。
映画祭が終わるころには、いつのまにか日も短くなって、いよいよ夏も終わり。このリドでは、果たして今年はどんな風に秋を迎えることになるのだろう?

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27 ago 2007
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by fumieve | 2007-08-28 07:25 | 日常生活

ナポリ 卵城~ガンブリヌス

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Napoli, Castel dell’Ovo ~ Gambrinus

同じ南イタリアとはいえ、世界遺産・世界の観光地のアルベロベッロやカプリに対し、イタリア有数の大都市であるナポリ(ちなみにナポリ市内も世界遺産だが)。そしていろいろな人の入り混じる喧騒は港町の宿命だろう。が、それにしても、中央駅に着いたとたん、なんとなく得体の知れないたくさんの人がうろうろしていて、おのずと身構えてしまう。なにしろみんなガラが悪く(失礼)、切符売り場に並ぶ人ですら全員犯罪者に見えてしまう(失礼×2)。
それでもほんとは、この町には見たいもの、食べたいものがたくさん詰まっている。
今回は、時間が限られていたので、観光は一カ所限定。ところがこれが、おのぼりでほんとに高いとこ好き、かつ海好きなものにとって大正解だった。
ナポリ湾、サンタ・ルチア地区、豪華ホテルの立ち並ぶ前に突き出た、卵城。前に1度ナポリに来たときには寄った覚えがないから、時間がなかったのかそれとも閉鎖中だったのか?入場無料で砦の一番上まで上がっていける。途中まではエレベーターもあり。
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左にはヴェスビオ山。右はナポリ湾沿岸。正面にはカプリ島が浮かぶ。下を覗くと、城壁に直接打ち付ける波の音。
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同じようにガイドブックを手に上がってきた観光客数組が、それぞれ歓声をあげる。
できればずっとここにいたいくらいだが、照りつける太陽がそれを許さない。石段を少しおりて中に入ると、両側から風が吹き抜けて不思議なくらい涼しいのだが。

緩やかな段々を降りて外へ出る。

サンタ・ルチア通り(Via Santa Lucia)を抜けて、プレビシート広場(Piazza Plebiscito)へ。1度に写真に収まりきれないくらい大きい王宮を見学してもいいが、疲れたら広場の隅にあるカフェ、ガンブリヌス(Gambrinus)で一休み。こんな暑いときには、レモンのシャーベットがおいしい。
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21 ago 2007
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by fumieve | 2007-08-22 08:09 | ほかのイタリア

カプリ島

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Isola di Capri

海が青い。
それも、なんでこんなに!?というくらい青い。
「アドリア海の色はエメラルド、ティレニア海はサファイア」と聞いて、なるほど言いえて妙と感心したことがあるが、確かにほんとうに、海の色が全然違う。海というよりはラグーナ(潟)のヴェネツィアとは最初から比べるまでもないが、例えば真っ青に見えるトリエステの海の場合は、もう少し青が濃い。つい昨日(車窓から)見たバーリの海岸もきれいだったけど、こんな「青」じゃなかった。
ここの海は、水がどこまでも透き通っていて、それでいて、青い。だから遠くから見るとサファイヤだけど、近づくとアクアマリンになる。

イタリア屈指のリゾート地。真夏のハイ・シーズンとあって、観光客でいっぱい。実は、高級リゾート地とはいえ、かなり俗っぽいところもあるのだろうと思っていた。
もちろん、そうではない、とはいえない。が、風光明媚な自然、手入れの行き届いた町並みは、そんな俗っぽさなどを簡単に忘れさせるほど美しい。

a0091348_58444.jpg 俗っぽいといえば、なんと言ってもダントツなのは、かの「青の洞窟」だろう。
この洞窟を見学するのはなかなか大変。島のメインの波止場であるマリーナ・グランデ(Marina Grande)から専用の観光船などで、洞窟前まで行く。そこで、2-3人乗りの手漕ぎの小さなボートに乗り換えるのだが、その中で横たわって、つまりほとんどボートの高さになる。船頭は入口に取り付けてある鎖を伝いつつ、波の動きを利用して洞窟中に滑り込む、といった具合。
そんなわけなので、いつでも入れるわけではない。悪天候、しけ、大潮、大波・・・全て×。実際、私は幸運にも入ることができたが、前日も、前々日もダメだったらしい。
誰に発見されたのだか、海面にわずかに開いた口から中に入ると、真っ暗な洞窟の中で、水が不思議に青く光って見える。外の太陽の光がうまい具合に反射・屈折してこの効果が出るらしいのだが、確かに、水中に照明が入っているのでは?というくらい海底が明るく、しかもその水がほとんど自然なものとは思えない神秘的な色をしている。
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だからせっかくカプリに行って、もし洞窟に入ることができたなら、やっぱり入ってみるといいと思う。
でも、そういうわけだから、入れない日も当然多い。そんなときは、わざわざカプリ行ったのに・・・と嘆くことなく、島を一周する遊覧船に乗ることをお勧めしたい。
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島全体が、切り立った崖と岩でできていて、だから、水上や空中、あちこちに洞窟がある。「青の洞窟」もそのうちの1つ。表情を次々と変える島、取り囲む海の青さ。そして、「緑の洞窟」や「白の洞窟」もあるのはご愛嬌。

私は「青の洞窟」見学+周遊という船に乗ったのだが、「洞窟」前の待ち時間約30分含めて全部で1時間45分で12ユーロ。「洞窟」直行のみでも9ユーロ、3ユーロ差で内容は随分違う。ちなみに洞窟に入るには、その場でさらに入場料プラス小舟代として9ユーロ必要な上、出てきた後にチップを要求される。

シーズン中は、1週間単位で予約を受けるところが多いカプリ島で、ようやく1泊OKでみつけたのがここ。

http://www.relaismaresca.com/it/index.html

正直、あまり期待していなかったのだが、リゾート・ホテルらしく、タイルを効果的に使ったインテリアはかわいらしく、部屋もきれいで清潔。スタッフも感じがよく大満足だった。海側の部屋はテラスもついていて、さらにすばらしい。屋上テラスがレストランになっていて、朝食はもちろんそちらで。
高台にある超高級ホテルにはかなわないだろうが、ナポリ等からの船が着くマリーナ・グランデの目の前、したがって島の中心へ向かうケーブルカー、バス乗り場すべてすぐ近くにあってかえって便利だった。
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20 ago 2007
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by fumieve | 2007-08-21 05:07 | ほかのイタリア

アルベロベッロ

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Alberobello

その名も「美しい木」という名前の町。ところが、この町を有名にしているのは「木」ではなくてその独特な建物、トゥルッリ。(Trulli, これは複数形。単数形はtrullo、トゥルッロ)ずんどうな白いしっくいに石を積み上げた屋根、小人の家のような「かわいい」建物が、急な坂道をはさんでびっしりと立ち並ぶさまは、ほんとうに、おとぎの国に迷い込んでしまったかのような気分にさせられる。
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といっても、もっとも多くトゥルッリが密集するリオーネ・モンテ(Rione Monte)地区は、そのほとんど全てが、お土産物屋か観光客目当てのレストランなどになっている。夏休みの時期で人も多かったのだろう、日中から夜遅くまで観光客がぞろぞろといて、まるでテーマパーク。お土産が、いかにもお土産っぽいものばかりなのが少々残念で、お店の中に入ってみるといいものもあったりするのかもしれないが、うーん、もうちょっと気の利いたものはできないのだろうか?
圧倒的によかったのは、朝。日帰り観光客がたどり着く前、お店が軒を広げる前は人もほとんど見かけず、静かで、ただトルッリが並んでいる様子そのものを堪能した。

トルッリは、もともとアルベロベッロに限ったものではなく、この地方一体で広く使われていて、現在も、一部改装・変更を加えたものなども含めるとあちこちに点在する。が、これだけ密集して、そのままの外観が保存されているのが、この町のすごいところ。
現在もそこに住んでいる人もいる、というとびっくりするかもしれないが、「ヴェネツィアに住んでいる」というと「あんなとこに住んでいる(人がいる)んですか!?」とびっくりされるのと同じだろう。電気・ガス・水道を通して、室内こそ現代的に整えれば十分快適に暮らせるだろう。
実際、Trullideaというホテル(宿泊施設)では、そのトゥルッロ1つを1つをホテルの部屋として提供している。

http://www.trullidea.it/

実際は部屋というよりは、寝室、バスルームにミニ・キッチンもついているから、ミニ・アパートといったところ。大きさもいろいろあるらしく、家族や友人同士で泊まったら楽しいだろう。朝食が予め用意されているスナック類とコーヒーまたは紅茶と簡素だが、冷蔵庫にはジュース、ヨーグルトもあり。一通りの鍋・食器類は揃っているから、お昼や夜に調理して食べることも可能。

ところで聞いた話では、このアルベロベッロ、かつてはヴェネツィア共和国とも深い関係があったという。町は内陸の丘陵地帯にあるが、やはり同じアドリア海文化圏のこと。アルベロベッロ市内に、ヴェネツィアのある総督の直轄の牧場があり戦闘馬を育てていたらしい。また、市内で伐採される良質のオークが、造船用としてヴェネツィアに送られていた、とか。
そういえば、この町の人の言葉、話し方、はあまりいわゆる「南」っぽくなく、むしろ北のアクセントに近いように感じる。

印象的だったのは、人のよさ。上記ホテルの各スタッフもだが、会う人会う人、あちこちで言葉を交わした人がみな親切で丁寧。完全に観光に依存したこの町で、その中でも日本人は大切なお客様であることも誰もが認めつつ、嫌味なく、温かいもてなしを受けているように感じた。ヴェネツィアを始め、イタリアのほかの町で、こんなことがあり得るだろうか?
おとぎの国は、見た目だけではないようだ。

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18 ago 2007
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by fumieve | 2007-08-19 06:41 | ほかのイタリア

猛暑には果物を



そろそろ夏の終わり・・・とあちこちに書きまくった途端、また暑さが戻ってきた。それも、曇りがちなのは変わらないから湿度が高くて、その分ものすごく蒸し暑い。
日本でも酷暑で40℃を超えるところも、と読んでびっくり。だいたい体温が低い私は、30℃を超えるとかなり苦しい。今年はイタリア南部では、40℃、45℃当たり前、みたいなニュースに見慣れていたが、日本のあの湿度でそれはあまりにもつらそう・・・。

イタリアでは暑くなると、水分の補給はもちろんなのだが、なるべく果物をたくさん食べるように、とテレビのニュースなどがさかんに忠告する。たしかに、暑い暑いと言って冷たい飲み物ばかり飲んでいると、胃にもあんまりよくない。それでいて、ほんとに暑いと、食欲も失せる。そんなとき、冷たく冷やした果物は予想以上においしいもの。そして、お腹がちゃぷちゃぷにならずに、水分をたっぷり補給できる。
この夏、私がハマっているのはパイナップル。暑くなりかけたころ、たまたま近所のスーパーで安かったのを買ってみた。ここ数年来、朝はバナナにフレークとヨーグルトをかけて食べていたのだが、さすがに飽きてきて、半年くらい前からバナナの代わりにキーウィ、春から初夏にかけてはイチゴにしていた。それをパイナップルにしてもいいかも、と試したら思っていた以上においしくて以来ずっとパイナップル。
さすがに暑いところの果物だけあって、朝から既に蒸し暑くて何も食べる気がしない、というようなときでも、冷たいパイナップルのヨーグルトがけは思わず食が進んで、しかも適度に糖分があるから目も覚める。小さめだけど、丸ごと1個を6つに割って毎朝食べてるから、既に10個くらい消費しているかも。
パイナップルとバナナは例外で(それ以外のパッション・フルーツはそもそもあまり好きではない)、果物は基本的にはなるべく国産の旬のものを買うことにしているのだが(それが1番安くておいしい)、自然はやっぱりよくできていて、夏の果物は、さっぱりと体を冷やしてくれる。メロンや桃やプラム類、極めつけはすいか。ヴェネツィアは一人暮らし(の老人や外国人)も多いからか、ありがたいことに小玉すいかを売っている。あつーーーい、と言いながら冷蔵庫からすいかを出して食べると、汗がすっとひくから不思議。
そんなわけで、私は3食、ほぼ毎食後に果物をとって、暑さをしのいでいます。みなさまもどうぞお試しを。
ちなみに、イタリアではジェラート(アイスクリーム)も夏季の重要な栄養補給のための推奨食品。牛乳、卵(は今は生で使っているところはほとんどないらしいが)、砂糖に果汁などを加えて作った本物の(自家製)のジェラートなら、食べやすく滋養もたっぷり、というわけで・・・。

16 agosto 2007
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by fumieve | 2007-08-17 04:35 | 飲む・食べる

聖母被昇天のコンサート

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本日8月15日は、イタリアはFerragosto(聖母被昇天)の祝日。誰も彼も、どこもかしこも完全に夏休みモードで軒並み休業だからあまり祭日の実感がないが、いわゆる国民の休日、である。

その名の示す通り、キリスト教の宗教行事の1つだから、教会はどこもミサを行うのだが、この日は特に「聖母」「マリア」の名のついた教会はたいていお祭りになる。ヴェネツィアにも幾つか聖母を奉った教会があるが、特別なのが、トルチェッロ島のその名もサンタ・マリア・アッスンタ(Santa Maria Assunta、聖母被昇天)教会。
モザイクがすばらしいこの教会は、好きで何度か訪ねているが、ヴェネツィア本島から約1時間と遠いこともあり、この日にわざわざ行ってみたことがなかった。が、夕方6時からのミサに先立ち、午後4時半からコンサートもあるというので、行ってみることにした。
現在の住民がわずか10数人というトルチェッロ島。内外のヴェネツィア人はほとんどヴァカンスで留守だろうし、なにしろ遠い。コンサートと言ってもひっそりとしたものだろうと思っていたら、読みが甘かった。15分ほど前についたら、堂内、満席で既に立ち見の人あり。脇の祭壇の、石段に無理矢理腰掛けたが、それもあっという間にいっぱいになった。
乗ってきた遠距離水上バスの中で、「毎年コンサートをやってるのよ」と話している声も聞こえたので、この時期、ヴェネツィアに残っている人には伝統の楽しみになっているのだろう。

Orchestra da Camera di Venezia
指揮Riccardo Parravicini
ヴァイオリン(ソロ)Maurizio Sciarretta
トランペット Luca Seccafieno, Massimo Patella

A. VIVALDI
Concerto in Do maggiore per 2 trombe e orchestra
トランペットとオーケストラのための協奏曲ハ長調

G. F. HÄNDEL
Suite in Sol maggiore HWV 357 da “La Musica sull’acqua”
「水上の音楽」より組曲ト長調HWV357

A. VIVALDI
Concerto in Re maggiore per violino e orchestra in due cori per l’Assunzione di Maria
聖母被昇天のための、ヴァイオリンとオーケストラの協奏曲ニ長調

J. S. BACH
Ouverture nr. 3 in Re maggiore BWV 1068
管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068

20人弱(と思われる)の弦、プラスアルファという編成がこの教会の構造にちょうどいいということもあるだろうか。ふっと、1番最初に入った音がとても気持ちがよくて、すっと入り込んだ。
その中でも、今日とても気になったのは、コルネット。(プログラム上はトランペット、となっているが、行進曲やジャズで使う、ひらひらと華やかなあれではなく、もう少し音がやわらかいタイプだった・・・と思う。)
ヴァイオリンをはじめとする弦楽器の音は、優雅で華麗で美しい。が、そこにたった1つ、(正確には2本だったが)コルネットの音が入るだけで、不思議なことに、いかにも祝祭、な雰囲気が出る。たしかにファンファーレは必ず金管楽器であって、弦楽器というのはあり得ない。
そして弦楽器の場合、複数の弦を1度に奏でても、大勢で合わせても、1つ1つの音がそれぞれピンと張った糸のように(まさに弦!)、それが束になって全体の音楽を編み出していく。ヘンな例えだがそれはバームクーヘンのような美しさであって、個々の音が澄み切っていて決して溶け合わない。それが、金管楽器の場合は、音質のためか、それとも構造によるのだろうか、線の音を奏でる弦楽器たちの中にいて、輪郭があいまいで一種の「ぼかし」の効果が出る。音がくぐもる。水彩画のようで、それがなんとも甘くて優しい。
ちなみに、休憩をはさんだ後のバッハは、そのうちの1楽章が「G線上のアリア」として知られる曲。アンコールも、このG線上のアリアだった。

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この教会の正面祭壇の上、半円蓋には、モザイク画による「聖母子像」がいる。金刺繍の縁取り、濃紺のマントに身をつつんだ聖母は、正面に対峙する同じくモザイクの「最後の審判」を見つめ、すくっと立っている。いつもはその孤高な姿が寂しげなのだが、今日は目の下で奏でられる美しい音楽と、大勢の聴衆に、心なしか少し嬉しそうに見えた。

ふだんは教会内は撮影禁止なのが、今日はおとがめなしだったので、これ幸いとばしばし撮影。ミサも出るつもりだったのだが、音楽ですっかり満腹してしまい、余韻にひたりながら帰ってきてしまった。

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15 agosto 2007
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by fumieve | 2007-08-16 07:05 | 聞く・聴く

忘れた頃に・・・

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今日、夕方出かけようとしたら門の中に封筒が投げ込まれていた。

先月11日に卒業試験(口答試問)を受けて、卒業したのは当日書いた通りなのだが、実はその時に写真を申し込んだ。いや、申し込んだも何も、試問の間からカメラマンがバシバシ写真を撮っていて、まあ大学の公式の(?)撮影なのだろうとあまり気にしないでいた。無事に終わってからも一緒についてきて、出てすぐのところで、「はい、みなさんで記念写真をお願いします」、と言われるがままに写真を撮り、撮り終えたところでなんとしっかり写真を売りつけられた。いやいや、売りつけられたというと言葉が悪いけども、つまり、写真と試問中のDVDで、即金ならいくら、後払いでもいいけど、前金はいくら、その場合はプラスいくらいくら・・・と。
基本的には自分の写真は嫌いだし、なにしろびっくりするくらい高い。たいていのときなら突っぱねるのだけど、卒業がこんな調子だからもちろん卒業アルバムなんてものは存在しないし、当日、いろいろと考え事、心配ごとがあって、写真を撮るということを考える余裕もなかった(自分のカメラはいつも持ち歩いているのだが)。まあ、こういうのは自分ご祝儀というか、やはり少々高くても買っておくべきかな、と思い、ちゃんと聞いてみることに。写真だけならいくら、DVDつきでいくら、でこっちが見るからに外国人だから「ちゃんとイタリア語で試問してるところがしっかり写ってますからね」「いや、だからそれこそいらないんだけど・・・」。少々押し問答してみたものの、めんどくさくなってまあいいか、とフルセットを頼むことにした。即金で、80ユーロ。やっぱり高い。(我ながらよく現金を持ち合わせていた・・・)

なにしろ大金だし、いつ届くのかと聞くと、「15-20日後ぐらい」。なぐり書きの領収書だったけど、一応名前と電話番号はスタンプされているのをその場で確認して・・・もうすっかりそれっきり、ほぼ忘れていた。
数日前に、机の上を整理していたら、領収書を発見。そういえば、20日どころかちょうど1カ月になるのに、まだ来てない!!!はーーー。まさか騙されたということはないだろうけど、大金だし、なにしろひどい領収書だし、不安。こういうことは、あまり時間が経ちすぎないほうがいいだろうなと思いつつ、ここのとこ、いろんなとこに怒り疲れ。ああ・・・またか・・・でもどうせ今電話しても、夏休みで出ないか、「わかりません」と言われるのが関の山。9月に入ってもまだ来なかったら、電話しようと決めた矢先に、思いがけず(催促する前に)無事にブツが届いた。

さて、肝心の中身はというと、こんな大きな写真、どうしたらいいの?というくらい大引き伸ばし(A4サイズ)の写真12枚。・・・討論中の写真はまあまあ、こんなものだろうという感じ。自分の巨大なアップなどあり、ひえーと仰天。いらないよーこんなの・・・。問題は、終了後の写真。みなさんと一緒のもの1枚、1人のもの1枚とあるのだが、皆さんの満面の笑みの中、私1人どちらも思いっきり目を瞑っている・・・。もうちょっとましなものは無かったのか?と思ったが、よく見るとネガも同封されていて、ということはデジカメでもなかったらしい。最低限の写真をとり、全部現像、引き伸ばししただけ。・・・使えなさすぎ・・・半分は(目を瞑った)自分が悪いとはいえ、呆れとがっかりの混じったかなり複雑な気分。
DVDは、討論の様子がほんとに丸ごと収録されていて、ああ、そうでしたね・・・という感じ。こればっかりは可もなく不可もなく。でも二度と見ることはないだろうな。
そういえばイタリアで、証明写真だってまともに撮れたことないのに、期待した自分が浅はかだった・・・。ああ、80ユーロ・・・。

14 ago 2007
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by fumieve | 2007-08-15 04:59 | 日常生活

4つめの橋プロジェクト・5


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さて、大騒動の末に無事に運びこまれた「橋」の「部分」たち。両端は既に固定済み、7日深夜に運んだ中央部を、いよいよこの週末に繋げるらしい。
・・・と聞いていて、設置前(ニュースの写真、映像によると近くの岸に寄せてある)、設置後の様子を見に行くつもりだったのに、今日は日中に思わぬ予定などが入って、結局出向いたのが夕方の6時くらい。

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で、行ってみたら、既に「ほぼ」繋がっていた。よく見ると、両端とも、数十センチだろうか、わずかな隙間があるが、遠目にはもうすっかり橋がかかっている。ははー・・・。蛇行する運河をさかのぼっていく姿はまるで赤い龍のようだったが、その運河に直角に、上にかかってみると、しっかりと橋になっている。
今までなかったものが、「ある」というのはほんとうに不思議なもの。特に今回は、昔々の姿を保ち続けているヴェネツィアの、はじっことはいえ島の中に、なにやらモダンな真っ赤な物体がかかっているのだから、なおさら。まあ、パリにエッフェル塔ができたときもこんなものだったのだろう。いや、「橋」というそもそもヴェネツィアには無くてはならないモチーフだから、それよりはきっと違和感がずっと少ないような気もする。
それどころか、現代のデザインであることはもちろん間違いないのだが、赤い色とこのカーブのせいだろうか、むしろ北斎を思い起こさせるような、そんな「橋」である。

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先日の運搬の後、新聞の記事の見出しが「新しい橋、リアルトに頭を下げる」となっていて、あ、うまい!と思った。大運河にかかる4つめの新しい橋、3つの大先輩たちの、上を飛び越えるのでもなければ避けて通るわけでもなく、1つ1つきちんと下をくぐって通っていったのだから、なるほど、頭を下げて「これからどうぞよろしく」とご挨拶していったようなもの。長老のリアルト橋からしたら、「新参者、まあせいぜい頑張ってくれたまえ」といったとこだろうか。いちいち誇り高くてヨソモノを軽く見る、(だけど彼らなしにはいられない!)いかにもヴェネツィアらしい。

これからガラスを張って、実際に橋として開通するのは12月。正式名称もその時に発表することになるらしい。

11 ago 2007
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by fumieve | 2007-08-12 05:04 | ヴェネツィア