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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ビエンナーレ・11~町中編6、アルセナーレとジャルディーニの間

オーストラリア(サテライト)、公認並行展:Library, Distortion

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思わず、うわあ・・・と声をあげてしまった。
小さな野外通路を通り抜けて部屋に入ると、そこには海底の風景が広がっていた。
白砂の上の海の生き物、さんごやイソギンチャク。天井から照らされた弱めの青い光がゆらゆらとゆらめき、それがちょうど、ほんとうに水の中にいるような錯覚にとらわれる。
奇想天外なもの、とくにグロテスクなものや、極端に巨大なものに出会って思わず声をあげてしまうことはあっても、ビエンナーレのみならず、現代アートというカテゴリーの中で、その単純な美しさに声を上げることはあまりない。
砂地にくっきりと描かれた平行線による模様と、何よりその構図が、明らかに、「石の庭」を連想させる。空間全体を揺らめかせている青い光は、その細かい砂の結晶にぶつかって、無数のキラキラを演出している。
キャプションを見て、思わず目を丸くする。技法というのか、この場合、材料というのか、一言「Sugar」。そして、おそらくみんな、つい、ほんとか?思って触って(なめて)みるのだろう。「Please do not touch」と付け加えてあるのがおかしい。

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オーストリア在住の日本人作家、Ken Yonetaniさんによる、Sweet Barrier Reefという作品。

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オーストラリアは、日本などと同様、ジャルデイーニ内に自らのパビリオンを持っているのだが、サテライト会場を使って、注目の若手3名の作品を展示している。この海底版ヘンゼルとグレーテルとも言うべき作品は、その3人のうちの1人としての出展。つまり、Yonetaniさんは、オーストリアを代表する作家として、ここに参加していることになる。
例えば、日本を代表する作家として外国人が選ばれるというのはなかなか考えづらいし、イタリアも同様。在住で(ひょっとしたら永住権をお持ちなのかもしれないが、例えそうだとして)、もちろん、まずは国内でその力が認められてきたのだとしても、国際展という舞台にまで、外国人が堂々と代表として含まれているところに、何かオーストラリアという国のよさを見る気がした。

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そのオーストラリア館の目の前、小さな橋を渡って、運河をはさんで向かい側では、国別展示ではないが、並行展が2つ開かれている。

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韓国の作家Woojung ChunによるLibraryという作品は、倉庫のような小さな空間に作られたインスタレーション。暗めの部屋の奥に、きゃしゃな木製の、本棚というよりは家具のようなものが並ぶ。一見、「昔の」書斎のような、それでいて、その中におさめられた不思議なオブジェたち。
記憶の中、あるいは幻想の中の図書館、といったところだろうか。

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隣のDistortion(歪曲)は、どこまでが本気で、どこまでが冗談なのかわからない、アートをおちょくったアート、みたいな企画展。

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ただでさえ、どうやら普段は廃屋になっていると思われる建物、カビくさいわ、あちこちが崩れていたり、ぼろぼろだったり。
どれが作品で、どれが単に「はげかけた壁」なのか・・・(笑)

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そして、あえて手書きの大きな字のキャプションのすてきなこと。カッコばっかで、10cmまで近寄ってもまだ読みづらい小さなキャプションを、作品から何メートルも遠く離れたところに置くイタリアの展示(注:これについては、また後日・・・)にしばしば怒りをバクハツさせている私は、心の中で拍手!!!

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「バール、奥に中庭あり」の看板に偽りなく、ほんとに、これまたどこまでがアートなのかよくわからない中に、緑に囲まれたバールがあった。

キュレターJames Putnam(英国)による、複数の作家の作品展示。

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昨日、サン・ピエロに行く途中に寄った3展だったが、どれも楽しめた。

ジャルディーニ会場と、アルセナーレ会場の間の広い通り、Via Garibaldiのどんづまり、Fondamenta di S.Annaが始まってすぐのところに向き合って3つある。いずれも、月・火休館。

オーストラリア館(Australia)
Ludoteca
Santa Maria Ausiliatrice
Castello 450

Biblioteca / Library
Fondazione Gervasuti
Castello 994 (Fondamenta S.Anna)

De-Forme / Distortion
Fondazione Gervasuti
Castello 994 (Fondamenta S.Anna)

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29 giugno 2009
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by fumieve | 2009-06-30 07:28 | ビエンナーレ2009

カステオの聖ピエロ(村)祭り

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Festa de San Piero in Casteo
25-29 giugno 2009

1585年6月26日にヴェネツィアに到着した天正少年使節団は、28日にパラッツォ・ドゥカーレでドージェ(総督)に謁見した後、ヴェネツィア市内を観光。そして、翌29日はちょうど「聖ピエトロ&聖パオロの祭日にあたるため、盛大なパレードを催した」、と当時の記録が残っている。

イタリアの町ではたいてい、中央の広場にドォーモ(大聖堂)が建っている。
ところが、ヴェネツィアの(政治的)中心地、サン・マルコ広場にあるサン・マルコ大聖堂は、もともとはパラッツォ・ドゥカーレの付属教会、すなわち、実はあくまでも総督の私的教会であり、ヴェネツィアの総大司教座教会は、1807年まで、カステッロ地区にある、サン・ピエトロ教会だった。
ヴェネツィア本島の東部、カステッロ地区の中でもさらに最東部、ちょっと辺鄙なところに総大司教座を置き、政治の中心地サン・マルコからも、商業の中心地リアルトからも遠ざけておいたのはまさに、ヴェネツィア共和国の、ローマ(ヴァチカン)に対する距離感、独立心のあらわれ、とされる。

その、聖ピエトロのお祭り。Festa de San Piero in Casteoは地元語、イタリア語で言えば、Festa di San Pietro in Castello(カステッロの聖ピエトロ祭り)。 いつもは、緑の中にひっそりと静かにたたずんでいるような聖ピエトロ教会が、今日はやはりなんだか堂々とそびえたっているように見える。

今はもう、パレードなどはなく、それこそイタリア中どこでもやっているような、その教会の名前の聖人の日のお祭り、すなわち、小さなガラクタ市や、バザー、野外コンサート、そして何より皆が楽しみにしているのは、テントをはった即席キッチンで大量に用意される、パスタやグリルなどの食事。つまり、庶民による、庶民のための夏祭り。

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そもそも、この手のグリル肉には目のない私だが、今年、どうしても試したかったのは、魚介のフライ・ミックス(frittura mista di pesce)。というのも、去年、どしゃぶりの中わざわざ出かけたキオッジャの「魚祭り」で、とてもガッカリさせられ、そのときに一緒に行った友人が「サン・ピエトロのフリットは、ちゃんと揚げたてサクサクでおいしかった」と証言していたから。

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19:00に開くという食券売り場に18:30から並んで、実際に開いたのは15分すぎで、お金を払ったのが19:30すぎ。肉の匂いに負けそうになりながらも、フリット券購入。

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これまたイライラさせられた、昨年のサンテラズモのモスト祭りと違って画期的だったのは、お金を払った順、すなわち食券が番号札になっていて、カウンターではちゃんと番号順に処理してくれるようになっていたこと。(ちなみに私は27番だった。並んでいるときには私の前にはせいぜい10人くらいしかいないような気がしたのだが・・・)
それでもやっぱり、注文量に生産が全然追いついていないから、カウンターでも少し待たされたが、でも、まさに「できたて」を食べるためなら、ちょっとくらい待ってもいい。

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そしてようやく出てきたのが、この量!!!確かに向こうのほうで、おじさんが1人、揚げ上がったフライをお皿の上にそれぞれ、ぎゅうぎゅう手で押しながら盛りつけていたが・・・(笑)。

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屋台料理で、1皿9.5ユーロはちょっと高いと思ったが、この量なら納得。
エビは数えきれないくらい、イカはリングからゲソまでまんべんなく(2-3杯はありそう)、小さなイワシ2尾、白身の魚・小2切れ、カジキ(?)・大口1個分に、おなじみポレンタ(とうもろこしを練って固めて焼いたもの)2切れ。
おかずとしても軽く2人前、つまみとしてなら5-6人前はありそう。昼食を軽めにして、万全な態勢で臨んだにもかかわらず、不覚にも全部食べきれず、エビ10尾ほど家に持ち帰った。
ちなみに、ワインは1杯0.80ユーロと通常価格。

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ほんとの聖ピエトロ(&パオロ)の日は明日。フェスタ・デ・サン・ピエロ・イン・カステオも明日まで!

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28 giu 2009
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by fumieve | 2009-06-29 07:50 | 飲む・食べる

アフリカが単なるエスニックを越えるとき~ムーラネーロ

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ビエンナーレの町中展示見学は、ともかく、歩く・歩く・迷う・迷う・歩く・・・。
で、ふだん通らないところをたくさん歩くので、いろいろと楽しい発見もある。

昨日、すでに足は棒、ここはどこ?・・・と、やや呆然と歩いていたところ、半分うつろな目にふと飛び込んできた何やら魅惑的なウインドウ。外から見て、一度通り過ぎようとして、後ろ髪を引っ張られて、中に飛び込んだ。

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アフリカ出身のNiang Moulayeさんがムラノでガラスを学んで、そのムラノの技術に、アフリカのテイストを加えて作っているアクセサリー。

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ガラスのビーズ、1つ1つがとても個性的な上に、アクセサリーとしての組み立てと、そしてディスプレイがとてもおしゃれ。

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ブルーは、砂漠の遊牧民族トゥアレグのシンボル・カラーなのだそう。

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そして、彼らの文字、ティファナルをモチーフにしたりしているらしい。

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吹きガラスと違って、ガラスの塊なので、大ぶりなものはそれなりに重い。
でも、ブレスレットか、それともペンダントならいいかな~・・・とか、ディスプレイのように、いっそ、籠バッグに飾るのもいいな~・・・とか(こういう籠バッグからして買わねばならないが。笑)、目が迷う・迷う。

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また気になる店が1つできてしまった。(迷わずにたどりつけるかどうかが問題だが・・・)

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Muranero
Castello 3902/A (Calle Crosera)
Tel. 041 2777829

27 giugno 2009
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by fumieve | 2009-06-28 09:09 | Shopping!

ビエンナーレ・10~町中編5、サン・マルコ~スキアヴォーニ河岸

アルゼンチン、台湾、モロッコ、北アイルランド、アイルランド、
モナコ、グルジア、マカオ


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アルゼンチン館(Argentina)
Spazio Eventi della Libreria Mondadori
San Marco 1345

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サン・マルコ広場に近い、本屋Mondadoriの3階にあるイベント・スペース。ヴェネツィアでは貴重な、広く明るい、ニュートラルな空間に、贅沢にも大きな作品2つのみを展示。

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作家活動が今年で50年になるという作家、Luis Felipe Noéが、ビエンナーレ参加の要請を受けてからこのために描いたというだけあって、空間を生かしたいい展示になっている。

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台湾館(Taiwan. Foreign Affairs: Artisti from Taiwan)
Palazzo delle Prigioni
Castello 4209 (Riva degli Schiavoni)

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パラッツォ・ドゥカーレ横、ドゥカーレと「ためいきの橋」でつながれた牢獄館。元・牢獄と言ったって、今では超・一等地。そういえば、台湾はいつもこの場所を使っている。

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階段を上がると、まず目に入るのが、鮮やかな色のパネル。建築家であるHsieh Ying-Chunが、ローコストで、いかに材料や道具を工夫して、その土地やその人々に合った建物を作るか、というさまざまなプロジェクトをたくさんの写真で紹介している。・・・建築展に出展したほうが、より注目されそうだが・・・。が、写真の中にいっぱい写っている人々の表情がとてもいい。
また、Chen Chieh-JenのEmpire’s Borders Iという作品では、台湾の若い女性に米国ヴィザがおりない、という現実を直視する。単純に短期の旅行や仕事のためだとしても、不法移民を疑われてはなから却下されてしまう、その事例を、次々に、語らせていくビデオは、それ自体はシンプルな「作品」ではあるが、やはり「気にかかる」。

モロッコ館(Marocco)
Chisa di Santa Maria della Pietà
Castello 3701 (Riva degli Schiavoni)

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モロッコの現代美術を、教会の中で鑑賞することになったりするのもまた、ヴェネツィア・ビエンナーレの面白さの1つ。
Fathiya Tahiri(女性)、Mahi Binebine(男性)という2人展。私は残念ながらどちらもあまり好みでなかった。

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北アイルランド館(Irlanda del Nord. “Remote Viewin” by Susan MacWilliam)
Istituto Provinciale per l’Infanzia Santa Maria della Pietà
Castello 3701

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まずは、アイルランドと、北アイルランド(英国連邦)が同じ会場、隣どうしで展示をしている、というのがいい。しかも、紫陽花の咲き乱れる、すてきな庭に思わずニッコリ。
その北アイルランドは、映像作品3点だった。・・・どうも映像作品ばかりというのは好きになれない。

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アイルランド館(Irlanda)
Istituto Provinciale per l’Infanzia Santa Maria della Pietà
Castello 3701

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一方のアイルランド館は面白かった。

Googleの翻訳機能を使って、英語の文章をアルファベット順に並べた41言語に次々翻訳していったらどうなるか?Kennedy BrowneのMilton Friedman on the Wonder of the Free Market Pencilという作品で、それぞれを印刷したA4の紙41枚、プラス最後にもう一度、英語に翻訳した1枚、計42枚の紙を壁に並べて貼ってある。

参考までに、最初の1フレーズだけ取りだしてみる。

最初の英文:
Look at this lead pencil. There’s not a single person in the world who could make this pencil. Remarkable statement? Not at all…

42回翻訳を得たあとの英文(オランダ語→英語):
Pen today. This is not the death penalty worldwide. A box? This means that…

いったい、どこでどうなっちゃんだろう???(笑)
41言語だから、欧州各言語はもちろん、アジアやアフリカ、思いつく限りほとんどの言語が間に入っている。もちろん日本語もあって、しかも、アルファベット順だから幸いなことに(?)イタリア語の次が日本語になっている。

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で、その日本語はというと(イタリア語→日本語):
鉛筆して下さい。これは、世界のことができる鉛筆ではありません。非常事態宣言?がある・・・

うーむ・・・。

そしてその前のイタリア語はというと(インドネシア語→イタリア語):
Trova una matita. Questo può essere uno del mondo non è una matita. Dichiarazione di emergenza? Ci sono…

これを見ると、確かにイタリア語も最初の英文からはだいぶかけ離れているが、(ちょっと変とはいえ)まだ文章になっている。日本語の翻訳、はっきり言ってかなりひどい。
(ちなみに、イタリア語を日本語に訳すとだいたいこんな感じ:
鉛筆を探しなさい。これは世界の1つであるかもしれず、単なる鉛筆ではない。非常事態宣言?ある・・・)
というわけで、この大変換の主犯の1人に日本語が入っていることは疑いなし(笑)。

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紹介しきれないが、アイルランド館はほか2人の作品も好みだった。

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モナコ公国館(Monaco)
Presidio militare Caserma “Cornoldi”
Castello 4140 (Riva degli Schiavoni)

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初参加のモナコは、イタリア軍兵舎・中庭を使用。大きな絵画が、そのまま野外に展示されている。自然の環境の中で、太陽の光や、雨風にさらされて、変化をも受け入れる、それが作品のうち、というのが作家Philippe Pastorの意向らしい。

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というわけで、ここ数日の雷雨で、作品「北極」の青絵の具が流れ、また、「嵐」の黒は直射日光を浴びてゆっくりしたたってゆく。
会期最後に、もう一度見に来たいと思った。

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グルジア館(Georgia)
Spiazzi
Castello 3865

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映像インスタレーション2点。

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マカオ館(Macao. Divergence: Ehibits from Macao, China)
Scoletta San Giovanni Battista e SS.Sacramento
Castello 3811/B (Campo Bandiera e Moro)

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4年前に、日本のガラス美術家、増田洋美さんの展覧会があった場所。(http://www.geocities.jp/vivereavenezia/hiromi.masuda.htm
そうそう、縦に細長い小さな建物だった、と思いだしつつ、作品としても、会場の特徴を生かした展示という点でも、増田さんのときのほうがよかったかな~・・・。

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実は、今日紹介したうち、台湾、北アイルランド、マカオは正確に言うと「国別パビリオン」の参加数77、に入っておらず、いずれも「並行企画展」の扱いになっている。
ただ、実際には「台湾の作家たち」展は、はみんな「台湾館」だと思って見ているので、ここでもそういう表記にした。

26 giugno 2009
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by fumieve | 2009-06-27 07:44 | ビエンナーレ2009

ビエンナーレ・9~町中編4、サント・ステファノ近辺

ルクセンブルグ、ポルトガル、スロヴェニア、エストニア、キプロス、イラン

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ルクセンブルグ(Lussemburgo)
Ca’ del Duca
San Marco 3052

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テーマは、Collision Zone。ブルーのモノトーンによる映像を、数室に分けて展示。
欧州と、アフリカ大陸との衝突を表現しているそうなのだが・・・。

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ポルトガル(Portogallo)
Fondaco dell’Arte
San Marco 3415 (traghetto S.Angelo)

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サンタンジェロ(Sant’Angelo)の、トラゲット(Traghetto, 渡し船)乗り場の横にある建物。水上バス(Vapoletto)の停留所とは別なので注意。

テーマは、Eperiments and Observations on different kinds of AIR.
こちらも、いくつかの映像を、いくつかの部屋で見せる仕組み。まっ暗闇の中、部屋から部屋へと移っていかねばならない展示というのは、どうもそれだけでガッカリしてしまう。

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親切心で置いてあるはずのベンチも、見えないからかえってそこにつまづいたりして(・・・私だけ???)。

スロヴェニア(Slovenia)
Galleria A+A
San Marco 3073

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ふつうのギャラリーを使った、Miha Štrukeljという作家の個展。なので、企画展というよりは、ギャラリー展示、といった趣。ふつうと違うのは、ギャラリーの壁に直接、えんぴつで作品を描きこんでいるところ。(ただしこれ、昨年の建築展での日本館のアイディアと一緒。)
作家やテーマについての説明がどこにもなく、パンフレットや紹介文のコピーも全部なくなってしまった、と言われると、せっかく見ても途方にくれてしまう。直観だけで、好きか嫌いかというものもあるが、もう少し知りたい、ということもあるのに・・・。

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エストニア(Estonia)
Palazzo Malipiero
S. Marco 3079

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Kristina Normanという作家による展示、テーマはAfter-War。
2007年4月、エストニア政府は、タリンの町の中から「ブロンズの兵士」という像を撤去した。これは、第二次世界大戦中に戦った解放軍に捧げるという名目で1947年に作られたものだが、多くのエストニア人にとってはむしろ、ソヴィエト支配の象徴であった。
政府は、跡地に花を植えた。だが、この、「心理・地理的」撤去は、ロシア人コミュニティの反発を生み、タリンの町で2晩にわたる暴動のきっかけとなった。
タイトルの通り、戦争は終わっている、だが、対立は続いている。
・・・と解説にある。

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問題の「ブロンズ像」の等身大の、ただし金塗りの兵士。花を植える少女たち、一方で、暴動の様子。先日のメキシコ館がこれ以上ないほどの、沈黙によるメッセージだとすると、こちらは、そのまま、わかりやすいといえば、わかりやすい。だが、あのメキシコ館を見た後では、それ以上のインパクトを受けづらくなってしまった。

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キプロス(Cipro)
Palazzo Malipiero
San Marco 3079

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エストニア館と同じ建物(だと思う)が、入口があっち側とこっち側で、まったく別。
Socratis Socratousによる、Rumours。
入ったところでいきなり目に飛び込んでくるのは、そこに横たわった巨大なやしの木が3本。そして、その木を、ヴェネツィア内で運んできたときの映像が映し出されている。

近年、美観のために、北キプロスに大量のヤシの木が輸入され、植えられてきた。
問題は何か?それは、この木の根っこはコブラの卵を隠し、それが孵化するということ。
ヤシの木は、しかし、一方で古来よりさまざまな宗教、神話において象徴的な存在であった。
ここに運ばれてきたヤシは、もう一度、もっとも適切な場所に植えられて欲しい、そういう願いがこもっている、という。
現在、キプロスでは、ギリシャ系、トルコ系と2つの民族が、それぞれ当人たちの意思に関わらず、外部からの力によって、無理やり2分させられている。
その象徴としてのヤシ。
そして今、「ヘビを隠れたところが呼び出すことができるヘビ使いたちが、町の中をさまよっている。ざわめき(rumours)が始まった。ヘビは町の中にいる」。

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イラン(Iran)
Palazzo Malipiero
San Marco 3198

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キプロス館と建物も、入口も全く一緒なのがイラン館。こちらは、同国の若い作家3人展。
Hope for the Futureというテーマは、まず何よりあまりにも直接的でドキリとさせられる。
特に、 Hamid Reza Avishiの彫刻は、建物の入口に置かれているものが「文明同士の対話(Dialog among Civiliations)」、2階入ったところにあるのは、(すべての人間の祖先の象徴としての)「アダムとイブ」。もう1点が、5つの卵=5大陸を抱える、「フェニックス(不死鳥)」、とくると、何やらできすぎというか、そのテーマの大きさにちょっと面映ゆいような気がしてしまう。確かに、ふだん私たちがひょっとしたら忘れかかっていること、なのだが・・・。
だが、実はそのフォルムの美しさ、表面の加工などの細やかさに、魅了される。

Iradj Eskandariは、ペルシャ神話のテーマだという、人間(良)と想像上の動物(悪)との戦いの図を8枚、同じ構図で色を変えて描いた。

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Sedaguat Jabbariは、アラブ文字のカリグラフィーを絵画化したもの、と言えばいいだろうか。アラビア語が読める人には、もちろん書いてある内容もわかるらしい。
無題の、18枚組の作品などは、絵画というよりは何かモダンな家具のデザインのようだ。
正直のところ、政情などから想像していたものとは全く違う、むしろ非常に現代的なスタイルの作品を作っていることに意表を突かれた。そして、3人3様ながらも、実は3人とも、特に手仕事の力、仕上がりへのこだわりに共通するものがあって、それはひょっとすると、はるか昔ペルシア時代からの、工芸・装飾美術の伝統が、綿々と受け継がれてきているのだろうか、と思った。

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25 giugno 2009
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by fumieve | 2009-06-26 09:43 | ビエンナーレ2009

ヴェネツィア・バロックの華、パラッツォ・ゼノービオ

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ここはどこでしょう?
緑の庭の向こうに、左右対称のパッラーディオ様式のような建物がのぞいている。
・・・ヴェネト州に数千ある元貴族の郊外型お屋敷、いわゆる「ヴェネトのヴィッラ」の1つ?

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黒塗りに金色で装飾された鉄柵を越えて、中に入ると、花がほとんど終わってちょっとさみしいバラの植木を囲む天使の彫刻のほか、現代彫刻がそこここに。あちこちに、ベンチや、白いテーブルと椅子が置かれていたりして、ちょっとしたいこいの空間のようになっている。

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現在、アルメニア会(Colleggio Armeno)となっている、このゼノービオ館(Palazzo Zenobio)は、ときどき気になるコンサートなどをやっていたりするのだが、いつもタイミングが合わず、これまで中に入ったことがなかった。
大きな木製の扉から入り、廊下というのか、アトリウムというのか、展覧会の看板が並ぶスペースを抜けたところで、目の前に広がる風景にびっくりした。まるでヴェネツィアではないみたい。

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一見、建物がびっしり建て並んでいるように見えるヴェネツィアだが、実はそれぞれの屋敷や建物が、中庭を持っていることも多い。だから、表から隠れた庭自体は珍しくもないのだが、なにしろ、ヴェネツィアにしては異例に広い。

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・・・(ゼノービオ館は)1850年より、アルメニアのメキタル修道士会本部。
ヴェネツィア・バロック建築の中でも、もっとも重要なうちの1つと考えられている。17世紀末に、アントニオ・ガスパリによって建てられた。
モロジーニ家が所有していた、13世紀の建物の一部を利用し、ガスパリは、ヴェネツィアで唯一の平面プランで同館を設計する。すなわち、横に広く長い本館と、その左右両端から庭園に向かって長く延びる部分を作った(つまり「コ」の字型プラン)。


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ファサードは、全く新しいボッローミニ風で、中央部の窓は、カーブを描いたティンパノで閉じられている。
よく保存された内部は、漆喰とフレスコ画で豪華に装飾されている。携わった芸術家は、Louis Dorigny(ダンス・ホール), Luca Carlevarijs(ポルテゴ), G.B. Tiepoloなど。・・・
(Guida d’Italia VENEZIA, Touring Clug Italianoより)


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ヴェネツィア・ビエンナーレでは、特に街中展示の場合、ヴェネツィアの古い建物を使って、その建物に「アート」をどう調和させてくるのか、そして特に、ふだんは公開されていない建物そのものを見るのが楽しみの1つでもある。

この同じゼノービオ館で、アルメニアのほか、マケドニア、シリアの国別展示、そしてさらに2つ3つのビエンナーレ公認・特別展が行われているのだから、それなりに広いところだと気づいてもいいはずだった。だが、国別「パビリオン」と言ったって、大国以外は、ごくごく小さいスペース1室での展示のこともあるから、ここもそんなものだろうと、軽くささっと回るつもりで来たのだった。

本館の2階、メイン・フロアは「シリア・パビリオン」として使われていた。

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いくつかの部屋の天井にフレスコ画が残るのだが、なんといっても中央のサロン(ダンス・ホール)にまたびっくりした。

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壁から天井まで、フレスコと漆喰がすべて埋め尽くす豪華絢爛なバロック。

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建築的素材のだまし絵は、すぐ近くにあるサン・セバスティアーノ教会(Chiesa di S. Sebastiano)のパオロ・ヴェロネーゼのフレスコ画の流れを汲み、また、雲の上で天にのぼる聖人や天使たちは、やはりすぐ近くにある、スクオラ・グランデ・デイ・カルミニ(Scuola Grande dei Carmini)のG.B. ティエポロを直接思い起こさせる。

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ファサード側には窓を大きく取り、壁3方には、ヴェネツィアらしく大きな鏡を埋めて色と光の遊びを演出。
これでもか、これでもか、という装飾だが、基調がヴェネツィアらしいピンク色のためだろうか、重厚なバロックというよりはむしろ、すでにロココに近いように思える。

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すぐ近くの大学校舎に何年も通いながら、知らずにいるにはあまりにも惜しいお屋敷であった。よかった、気がついて・・・。

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ビエンナーレ関連の展示については、また別に改めて紹介したい。

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Palazzo Zenobio
Dorsoduro 2593 (Fondamenta del Soccorso)
毎日9.00-11.00、見学可能。

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24 giugno 2009
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by fumieve | 2009-06-25 08:41 | ヴェネツィア

小さな事件

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朝から、しとしとと小雨が降っていた。
休みなのをいいことにダラダラと起きて、涼しいうちに、と、アイロンをかけていたら、下の住民から携帯にメッセージ。
「今、いる?ちょっと行っていい?」
・・・最近、家のトラブルが多いので、いやな予感。ともかく、部屋はぐちゃぐちゃ、半パジャマ状態だしこちらに来られるのは困るので、下に降りていくと・・・

踊り場の窓に、何やら黒い物体が・・・ひっ・・・ねずみ!?(ねずみはヴェネツィアではめずらしくないが、ここは4階で、とりあえずこの階にはいないはず)・・・いや、コウモリ・・・???

よく見ると、何かの鳥のヒナが、そこにはりついてこちらを向いていた。
「ごめん、フミエ、おじゃました?」「全然。(トラブルでなくて、ほっ)」
「これ、どうしたらいい?さっきから、なんとか飛び立たせようとしているんだけど、動かなくて。もう40分も経つんだけど。」(注:彼女はふつうのイタリア人に『ドイツ人みたい』と言われているくらい細かい)

雀よりは少し大きくて、全体に濃い灰色。瞬きをしているから、もちろん生きてはいるのだけど、確かにうんともすんとも、いや、ピーともチーとも鳴かないし、動かない。
「パンくずをやってみたんだけど、それも食べたくないらしい。」
「なるほど。」

問題は、この窓、斜めに上方向と、あるいは横開きに全開できるようになっていて、このときは上方向に開けてあったのだが、そのままでは狭すぎて手をさしのばすことができない。ところが、全開するためには、一度窓をきっちり閉めなければならず、そうすると、おちびさんの足をはさんでしまうのではないか?・・・ということ。

とりあえず、カメラ持ってきて、構えると・・・

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反応した!!!怖がっているのかと思いきや、むしろガラスに張り付いたまま、羽をはばたかせてこちらに突進してきそうな勢い。

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なんだか、カメラが「すりこみ」されてしまうのではないかと、ちょっと心配。

「がんばれ、がんばれ。」「そのまま飛び立て!えいや!」
・・・やっぱり、だめ。
意を決して、窓を開けてみることにした。

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一旦、そおっと閉める・・・どうやら足は挟んでいないらしい。
手前に開くと・・・バタバタバタ・・・

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あ・・・!思いっきり桟にはまってしまった。・・・うー、さっきよりもっとまずい。
このままだと、窓が閉められないばかりか、屋内に落っこちるのをどうやら極度に恐れているらしい、友人。確かに、入ってしまうと、びっくりしてますます出られなくなってしまうだろうけど。
「がんばれ、がんばれ。」「飛べ!飛び立て!」

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しばらくすると、こちらの思いがようやく通じたのか、まだちょっとヨタヨタする羽根を広げて、なんとか外へ飛び立っていった。・・・ほっ・・・。(応援にいそしんでいたため、シャッターチャンス逃しました・・・)

それにしても、この建物、屋根の工事のためにほとんど全面、蚊帳のような幕で覆われている。いったいどこから、どうやって入って(落ちて?)きたのか、ナゾのまま。

23 giugno 2009
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by fumieve | 2009-06-24 08:17 | 日常生活

コントラバスの魅力たっぷり、The dark side of the Bass

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Francesco Fraioli コントラバス
Francesco Buccarella ピアノ

以前、なかなか珍しいコントラバスの演奏会に誘ってくれた友人のご主人が、CDを出した。
フランコ・フライオーリ氏は、元・RAI国立交響楽団にて主席コントラバス奏者、現在は、テルニ音楽院のコントラバス科で教授を務める。

ヴィルモス・モンタッグ、 コントラバスとピアノのためのホ短調
ハンス・ピーター・リンデ、 コントラバスとピアノのためのホ短調
パウル・ヒンデミット、コントラバスとピアノのためのソナタ ロ長調


ジャズならばまだ、ピアノに十分対抗できる大きな体から発する、深くリズミカルな音で存在感たっぷり示すコントラバスだが、クラシックでは、ほんとはオーケストラの土台を支える欠かせない存在にも関わらず、華やかなヴァイオリンや管楽器の後ろで影武者のようになっているのがおち。
残念ながら、コントラバスのための曲は数がぐっと限られる上に、演奏される機会となるともっと少ない。
だから、20世紀の、コントラバスとピアノのためのソナタ3曲を収めたこのCDは、かなりマニアックな、いや、貴重な1枚と言える。実際、作曲家の1人であるリンデ氏からは、直接讃辞が届いたそう。

前世紀の曲とはいえ、3曲ともいかにも「現代音楽」的な気難しさはない。むしろ、美しい「クラシック」なクラシック、ソナタ曲といえる。・・・主役がコントラバスというサプライズをのぞいては。
ぐっと弓を引いた時の、音の深さ。それがメロディーを奏で始めたときの、力強さ。ふっと浮き上がるときの繊細さ。陳腐な言い方しか思いつかない語彙不足に恥じるばかりだが、コントラバスという、まさに低音の魅力に、うなるばかり。

日本では、バスマニアック
http://www.ne.jp/asahi/green/square/g-square/ns_kbc/shop/bassmaniac.html
イタリアではNBBレコード
http://www.nbbrecords.com/
で購入が可能。

奥様のおかげで、CDの解説も、イタリア語・英語に日本語もついているのが嬉しい。

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22 giugno 2009
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by fumieve | 2009-06-23 07:38 | 聞く・聴く

1年で1番遅い夕暮れ

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この季節、ともかく海に繰り出すのが好きなイタリア人たちは、とくに週末のお天気に敏感。
「午後からお天気が崩れるらしいよ」、と言っていた、金曜日にはほんとうに夜中になんて暴風が吹き始めたと思ったら、強い雨になった。
昨日の朝は、すっかり晴れていたものの、あいかわらず強い風と、何より空気が冷たい。

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ここ1週間くらいだろうか、昼間の日差しは強いものの、朝晩は雲が出てかなり涼しく、過ごしやすい日々が続いている。その割に空気が乾燥しているから、汗だくになることもなく、なんだか高原に避暑にきているよう。もっとも、高原と違うのは、海の水が高めで、朝晩、アックア・アルタぎみになっている。
6月後半といえば、いつも本格的な暑さになっているはずなのに、この感じは、なんだかまるで、夏の終わりを思わせる。

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「昼の1番長い日」、ゆるやかに暮れる夏至の夕べ。
こんなすてきな家に、いつか住めるだろうか・・・。

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21 giugno 2009
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by fumieve | 2009-06-22 08:29 | 日常生活

ビエンナーレ・8~金獅子賞の米国館 Topological Gardens

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11月22日まで

53° Esposizione Internazionale d’Arte
La biennale di Venezia
“fare mondi / making worlds ”
Padiglione americana ai Giardini, 2 università a Venezia
“Topological Gardens”
7 giu - 22 nov 09
www.labiennale.org

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今年のビエンナーレで、金獅子賞・国別参加部門の栄冠を見事、手にしたのは、もはや大御所といってもよい、ブルース・ナウマン(Bruce Nauman)の作品を起用した、米国館。もともとジャルディーニ会場内にある米国館の建物のみならず、ヴェネツィア市内の2つの大学も使った、贅沢にも3カ所での展示となっている。

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まずはメイン会場である、米国館。得意とするネオン・アートや、シュールなインスタレーション。面白いと言えば面白いのだが、過去の作品が多いからだろうか、ちょっと刺激が足りないというか、もう一歩、強く訴えてくるものがない。

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20年近くビエンナーレを見続けていて、事情に詳しいある知人は、「今年のアメリカは、ナウマンで金獅子を取りにきた」とおっしゃっていたが、なるほど、そう言われたらそうなのかもしれない。1941年生まれ、60年代にはすでに国際的に名を知られていたナウマンの登場とあっては、もうそこに賞をあげるより仕方がないのかもしれない。

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だが、「NYやパリではなく、第三世界の作家を紹介したい」と開催前にしつこく繰り返していた、総合ディレクターのビルンバウム氏の言葉とは裏腹に、国別金獅子賞はアメリカ、個別金獅子賞はドイツ人、新人賞はスェーデン人、という結果になったのは偶然なのだろうか?
そして、今回、特別に設けられた審査員賞は、デンマーク&北欧、イタリア、そして辛うじてブラジル(故人)とシンガポール。
そうそう、事前に発表になっていた、生涯業績部門・金獅子賞は、オノ・ヨーコさんと、もう1人アメリカ人のJohn Baldessariだった。
なんとなく、出来レースのような感じが、しないでもない。

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土曜日でほとんど人のいない、ヴェネツィア建築大学(IUAV)。

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ここの展示のメインは、14枚の白いスピーカー・パネルから、それぞれ別々に、Monday, Tuesday...という声が聞こえてくる、Daysという作品。パネルの声は、男性、女性、子供とさまざまで、かつ、曜日を順番に挙げている声、ランダムに挙げる声、ゆっくりだったりテンポがよかったり、そのいろいろな声が交差して、うわあああーんという大きな音の塊となっている。決して不快ではないが、何かもどかしいような、その糸をほどきたいような、そんな気になる。

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ヴェネツィア大学カ・フォスカリ(Università di Venezia, Ca’ Foscari)は、前回エチオピアの展覧会でも使用されていた、大学本部内の新しい展示場を使っているため、スペースも広く、展示点数も多い。
こちらもメインのスペースには、Daysが展示されていた。

3カ所まるまる、これだけあるとさすがに、ずいぶんたくさん、ナウマン作品を堪能した気にはなるし、確かにジャルディーニの米国館には、実はあまり大きな部屋はないから、せっかくなら外部で大きい作品も展示したかったのもわかる気がする。

不可解なのは、ジャルディーニの米国館でも、ここは撮影禁止、こちらはこのラインからなら撮ってよし、などと厳しかったのだが、外の2カ所の室内では完全に撮影禁止だったこと。
ナウマンほどの作家、しかもビエンナーレという国際的にも注目度の高い場で展示された作品を、模倣だのコピーだのしようものならすぐにバレるし、いったい何を恐れているというのだろう?
音や映像、ネオンを主に使用した作品は、写真では絶対に伝わらない、というのはわかる。完全な個展ならば、それも当然かもしれない。ただ、ビエンナーレのように、これだけたくさんの展示がある中で、写真はメモ以上の貴重な資料となる。それがないと・・・はっきり言って記憶にも残りづらいし、伝えようにも、言葉だけでは伝えきれないものもある。
用意されたカタログには、確かに各作品の写真は載っているが、それは、このビエンナーレでの展示の写真ではない。決してニュートラルでない環境、窓からの光や風、レンガの壁や木製の梁などの中に置かれて呼吸する作品たちの、その楽しさが反映されていない。

もう1つ。
ヴェネツィア大学内会場では、閉館10分前には「あと5分で閉めます」と言って各作品のネオンの電気を落とし、私以外にもいた見学者を強引に追い出し、係の彼らは、17:52にはすっかり私服に着替えて外に出てきていた。土曜日の夕方で、一刻も早く帰りたい気持ちはわからないでもない。だが、アルバイトだかボランティアだか知らないが(前者だと思う)、若いイタリア人たちの、こういう責任感のない仕事ぶりにはほんとうにあきれる。
駆け足で回っていて、あと5分のところでひょっとして見逃してしまった、真のアート・ファンがいたかもしれないと思うと、ほんとうに残念だ。

ヴェネツィア建築大学
IUAV, Santa Croce 191
日曜休館

ヴェネツィア大学
Ca’ Foscari, Dorsoduro 3246
火曜休館

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20 giugno 2009
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by fumieve | 2009-06-21 07:33 | ビエンナーレ2009