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ヴェネツィア ときどき イタリア

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ビエンナーレ・19~町中編14、その他

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タイ、スイス、モンテネグロ

ビエンナーレ町中編・国別展示は、先日のサン・セルヴォロ島にあった、イタリア半島の中の小国、サン・マリノ共和国館できれいに終わるつもりだったのだが(そして見に行ったのは実際最後だったのだが)、写真を整理していたら、まだ紹介しきれていないところがあったのに気がついた。
よりによって、国の地域も、展示場所も、内容も全く違う3つ・・・。強いていえば、この多様性こそがヴェネツィア・ビエンナーレの面白さだと、無理やりまとめてみるくらい。

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“Art is rice and Watermelon”(アートは米とスイカ)という、わけがわからないけどなんだか魅力的なポスターが気になったタイ館は、鉄道駅のほぼ対岸(ダジャレではなく)。
Gondola al Paradiso CO.,Ltd.(天国のゴンドラ株式会社)というタイトルの展示は、夢のタイ観光を勧める旅行会社のパロディーといったところ。

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ふだんは倉庫ではないかと思われる建物の、ちょっと薄暗い中に、絵ハガキやカタログ、ポスターなどが雑然と積んであったり、どこからどこまでが展示なのか、よくわからないところが、いいんだか悪いんだか・・・。

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同じサンタ・クローチェ地区(Santa Croce)、同じカナル・グランデ沿いをリアルト橋方向にちょうど半分くらい下ったところにある、サン・スタエ教会(Chiesa di San Stae)のスイス館。ちなみに、先日紹介した、大城章二さんの個展はこの隣。

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スイスは、ジャルディーニ会場内にも専用の建物を持っているのだが、毎年ここも定番の会場にしている。間に柱のない1廊式の広々とした空間を生かした、面白い展示をしていることが多いので楽しみにしていたのだが・・・

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空の棚をその空間いっぱいに設置した、インスタレーションは、Gygi Economatの作品。

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・・・んーーー・・・これだけ???

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そして、ユネスコ事務所の中庭に展開しているモンテネグロ館は、エリアとしては、サン・マルコ~スキアヴォーニ河岸なのだが、確かその日は、行ったときにはもう閉まっていて見学できず、あとからここだけ見に行ったのだったと思う。

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Dado Đurićによる、The Zorzi Elegies。ちなみに、Zorziはこの建物の名前。
廃品利用の血みどろ(ペンキだが)のメッセージといったらいいだろうか・・・

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世にはびこる悪を追及するのがミッションだという作品は、見るからにおどろおどろしく、強烈な太陽の光の下でかえって異様さを際立たせている。

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Thailandia(タイ館)
Santa Croce 556

Svizzera(スイス館)
Chiesa di San Stae

Montenegro(モンテネグロ館)
UNESCO, Palazzo Zorzi
Castello 4930

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30 luglio 2009
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by fumieve | 2009-07-31 08:07 | ビエンナーレ2009

水の女王、フェデリーカ・ペッレグリーニ

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(日本の新聞表記はフェデリカ・ペレグリニ)
ヴェネツィア県ミラーノ市(Mirano, あのミラノMilanoとは別なので要注意!)出身、この8月にようやく21歳の誕生日を迎えるフェデリーカは、今、イタリアで最も注目の女性の1人。

現在ローマで開催中の水泳世界選手権で、26日(日)、女子400m自由形で、世界初の4分を切る3’59’’15で金メダルを取った後、今日29日、200m自由形決勝で、周囲の期待通り、再び世界記録で金メダル。
ちなみに、オリンピックでは2004年アテネで200mの銀は、イタリア女子水泳に実に32年ぶりにメダルをもたらしたほか、16歳12日でのメダルは、イタリア選手最年少記録でもあった。2008年北京は同じ200mで、世界新記録で金メダルを獲得している。

このフェデリーカ、圧倒的な強さと、期待通りの活躍が何よりも人気のもとだが、実はそれだけではない型破りな「新人類」(古い?)ぶりで、マスコミや関係者を振り回している。

自分の恋愛や生活に関して、包み隠さぬオープンな言動(ちなみに、現在の彼氏は同じ水泳選手のルカ・マリン・・・でやはり仏の水泳選手Manaudouの元カレ・・・)。歯に衣着せぬ、周囲を恐れぬ堂々とした発言。
体のあちこちにタトゥーやピアス。彼女の年頃の普通の女の子なら、ごく普通で驚くに値しない程度の「おしゃれ」。だが、言いたいことを主張し、自由奔放で、やりたいようにやっているように見えるイタリア人でも、やはりスポーツ界などではそれなりに、規制や、見えない枷、タブーがいっぱいあるらしい。

そんな「おさわがせ」フェデ、このローマ選手権の前にはなんと、ファッション誌にて、全身金色に塗りたくったヌード写真を発表。

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ヌード写真そのものに関しては、去年も発表していてそのときにもすでに十分物議をかもしたのだが、今回もさっそく、地元の神父のコメントが寄せられていた。いわく、「競技を続けるのか、ヴェリーナ(テレビのバラエティー番組などでセクシーな服装で踊ったりしている女の子たちのこと)をするのか、どちらかに決めなさい」と。・・・なんだか余計なお世話という気がするが・・・(というか、ヴェリーナをやっている女の子たちにも失礼ではないだろうか・・・?)本人は、水泳を続けている限り、たくましい体型は変わらないけど、やめた後はファッションの世界にも興味あり、と言っているらしい。(下の写真は、ジョルジョ・アルマーニのショーに現れたフェデリーカ、www.panorama.it より拝借)

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競技に関しては、自信と余裕に満ち溢れているのかと思いきや、数カ月前にはプレッシャーから、競技中に失神し、プールから救急で運び出されたことも。そんなことがあって、スポーツ専門の心療医師にもかかりながらもしっかり復活し、いざ!というときにきっちり実力を発揮するところが、また一段とすごい。
今年6月の地中海選手権では、自身のスポンサーに敬意を表して(?・・・だと思ったが、間違っていたら指摘してください)、競技ユニフォームの胸のところについていたスポンサー・ロゴを隠すという暴挙まで。批判・非難をあびながらも、400m自由で世界新を出している。
実力があれば何をしてもかまわない、というわけでは決してないが、言いたいことははっきりと主張し、泣く子も何もかも、実力で黙らせる潔さ。強烈な自信も、ここまでくればあっぱれでかっこいい。
400m金メダル獲得時には、この勝利を誰に捧げる?と聞かれて「誰よりも自分に。8月5日の誕生日前に、すばらしいプレゼントとなった」。
200m金メダルについては、「自分で自分に驚いた」。
キレイでワガママで口が達者な女性がいっぱいいるイタリアの中でも、世界級の中身を伴った実力派のとびきりのイイ女に、私も密かに注目している。

ご参考:どのくらい人気があるか、Federica Pellegriniで画像検索をかけてみると、ものすごいたくさんの写真が出てきます。
(最初と最後の写真は、sky.it より借用)

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29 luglio 2009
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by fumieve | 2009-07-30 06:31 | 観るスポーツ

ゴリツィア県立博物館(モード&装飾、および大戦)

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Musei provinciali di Gorizia-
Museo della Moda e delle Arti Applicate
Museo della Grande Guerra
Gorizia
Tel. 0481 533926
http://www.provincia.gorizia.it

街のヴィットリア広場(だったと思う・・・)からおを目指して坂道を登っていって、その敷地内に入って、一番上の城壁の手前、左側のシンプルで小ぶりな建物に色とりどりののぼりがかかっていた。1562年、シモーネ・タッソーの家、とある、ここがゴリツィア県立博物館だった。

先日紹介した、映画衣装専門の工房、ティレッリを紹介した「オスカーのアトリエ」展は、ゴリツィア県立モード&装飾博物館(Museo della Moda e delle Arti Applicate)の企画特別展だった。だからほんとうは、先にこちらの本館に来るべきだったのだが、あの日、ちょうどその登り口のところで、イタリア国営放送RAIがテレビ映画の撮影をしていて、その坂道が通れなかったので、先に、ふもとにある企画展を見に行ったのだった。(余談だが、その映画というのが、ヴェネツィア出身の精神科医バザリアのドキュメンタリー映画で、製作中なのを知って気になったとたんに、行きあたったのは、偶然とはいえなんともおかしかった。)

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隣町グラディスカ伯爵領(当時)ではおそらく17世紀から、そして、記録にはっきり残っている範囲では18世紀後半から、このグラディスカ~ゴリツィア一帯が、桑の木の生育に向いた気候であることから、絹産業が発達した。ヴェネツィアやフリウリ各地から、織物業者が集まってきたという。
だが、ヴェネツィアやジェノヴァ、フィレンツェなどが、高級絹織物の産地として知られるのと違い、このゴリツィア~グラディスカで生産したのは、同じ絹織物でも、タフタやダマスコ織など、シンプルなもの、中級品だった。王侯貴族や、大商人の豪華な衣装ではなくて、町や村の人々の、晴れ着用の生地といったところ。

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興味深いのは、18世紀にはタフタのリボンや組み紐などの名産地であったらしいこと。「ベルサイユのばら」で思い当たるように、18世紀は「リボンの世紀」と言われるほど、初めは男性から、やがて女性の服装でのリボン使いが欧州で大流行したから、美しい模様のリボンは次から次へとひっぱりだこになったことだろう。今で言うところの、すきま産業、だろうか。
博物館は、基本的にすべて地元からの寄贈品で成り立っていて、そんな当時の絹織物や機織り機、見本帳などが並べられている。帽子屋や靴下屋の道具などもめずらしく、面白い。

同じ建物内に、大戦博物館(Museo della Grande Guerra)も入っている。

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20世紀の、二つの大戦を示すのには、イタリア語ではGrandi Guerreと複数形になるはずが、ここで単数形なのは、イタリア統一王国から第一次世界大戦までの、この地域、イゾンツォ川をはさんでのイタリア・オーストリアの攻防戦のことを示しているため。
その「大戦」の写真、武器や道具などの資料に、塹壕の再現など、かなり充実している。説明用の地図を見ると、現在のヴェネト~フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州、オーストリア、スロヴェニアにまたがる地域で、今日はこちら、明日はこちら、と国境が変わっていることがわかる。そして特に、まさにその前線となっていたのが、ゴリツィア~グラディスカを流れる、イゾンツォ川であった。

国境の町の県立装飾博物館、その特別展が予想を超えてよかっただけに、実は、本館にも必要以上に期待していた。入って、質素な展示品と、古びた展示法に最初は少々がっかりしてしまったのだが、暑さでグラグラの頭を落ちつけつつ、ゆっくりと見ているうちに、これはこれでいいのだということに気がついた。
ここは、世界級の装飾美術のコレクションを誇るロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館でも、パリのルーヴルでもない。また、かつてアドリア海の女王と呼ばれたヴェネツィア共和国の博物館でもない。
小さなコムーネ(Comune、市)が乱立するイタリアでは、「県」が日本でいうと実際の「市」くらい、「州」が「県」くらいの規模だといえる。そんなイタリアの小さな県の小さな博物館に、豪華な建物や世界の名作は必要ない、とは言わない。だが、まずはその土地の歴史や文化を評価し、遺産を保存・公開して、次の世代に伝えていくことこそが、地域の博物館の重要な役割であるはずで、その点において、この2つの博物館は正当でまっとうだといえる。
遠くからむやみに人を集める、人よせパンダ的な博物館ではなく、あくまでも地元のための郷土博物館といえばいいだろうか。
感心したのは、この小じんまりとした郷土博物館が、先日の「オスカーのアトリエ」展のような規模の企画展を開く力を持っているということ。それが、地元のアトリエ、地元出身の仕立て屋のことであれば、まああくまでも地元輿しの1つとして理解できるのだが、地元に全く関係ない企画展というのは実は、イタリアでは大都市でも結構珍しい。

はっきり言って、これだけを見るために、わざわざ遠くから見に行く博物館ではないかもしれない。だが、近くまで行って、もし18-19世紀の絹産業や、当時のファッションにちょっと興味があったりしたら、見たらきっと面白いに違いない。
同じように、イタリア現代史に興味がある人ならば、「大戦博物館」はいろいろと得ることがあるだろうと思う。
(展示品の写真は公式HPより借用)

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28 luglio 2009
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by fumieve | 2009-07-29 06:38 | 聞く・聴く

ビエンナーレ・18~町中編13、サン・セルヴォロ島

サン・マリノ
公認並行展:La Casamata, Mercury House One – Save the Poetry
(A Gift To Marco Poloはすでに終了)


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日曜日の夕方、うっかりすると暑さと人の多さを言い訳に、1日中、家でダラダラしてしまうところを、重い腰を上げてサン・セルヴォロ島へ向かったのは、ただ写真を撮るためだけではなく、もちろん猫を見るためでもなかった。
ただ、空があんまり青かったから、「島」の写真を撮るのは絶好のチャンス、と思ったのは事実だが。

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ほんとうの目的は、終わりそうでなかなか終わらない、ビエンナーレ巡り。

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まずは島の一番奥、サン・マリノ館。タイトルの43° 56’11, 77’’ Nordは、イタリア半島の中にある独立共和国の地球上の位置を表しているのだろう。切り立った山(丘?)の上に城が聳えるらしい、いつか行ってみたい国の1つ。

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国際大学の施設の1つだろう、仕切りのない、ちょっとした会議室程度の部屋、インスタレーション2つを含む、多数の作家による合同展。違う作家が、同じフォーマット、同じ大きさに、違うテーマ、異なる手法で描いた絵を、床に並べるという展示方法は意外と斬新で、案外、かえって絵をよく見てみたりする。ただし、両側の窓から強い日差しが直接入り込んでいて、光を受けて、かなり見えづらくなっているものもあった。

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バールの前の広場にある、Mercury House One – Save the Poetry。消えゆく言葉、あるいはその民族そのもののメタファーとしての詩を宿す「家」、だというMarco Nereo Rptelliの作品。

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一方、建物内中庭は、Piergiorgio ColombaraのLa Casamata展。

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人間の体でなく、あえて洋服をモチーフにした作品はある意味、女性独特の表現のようでもある。もうちょっと他の作品も見てみたい、と思った。

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27 luglio 2009
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by fumieve | 2009-07-28 08:17 | ビエンナーレ2009

今は昔・・・サン・セルヴォロ島

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Isola di San Servolo

夏休みの日曜日午後のヴェネツィア。
照りつける太陽にも関わらず、サン・マルコ広場周辺は観光客であふれかえっていた。
やはり人のごったがえすサン・マルコ湾、サン・ザッカリア(San Zaccaria)の停留所から水上バスで10分足らず。対岸の喧騒が嘘のような、静かな水上庭園がある。

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サン・セルヴォロ島(Isola di San Servolo)。
元修道院、前世紀には精神隔離病棟に利用された歴史を経て、現在は、ヴェネツィア県(Provincia di Venezia)が管理し、国際会議場や宿泊施設などがあるほか、ヴェネツィア大学や早稲田大学など複数の大学で構成する、ヴェネツィア国際大学(Venice International University)の本部もここにある。
もちろん、かつての面影はまったくなく、すっかり新しいきれいな施設になっている。

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1年前に来たときには、そういえば蒸し暑くて、座っていてもじっとり汗がにじんでくるようだった。今日はサワヤカで、さすがに日差しは強いが、正真正銘、四方八方海に囲まれた小さな島は、風が吹き抜けていて、日陰はタンクトップではちょっと肩がひんやりするくらい。

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ぐるりと回っても30分もかからない小さな島、散歩中に出会ったのは、水上バスで一緒になった老夫妻、やはり修道院だったサン・ラッザロ島(Isola di San Lazzaro d’Armeni)と、その向こうのリド島を見渡すテラスに座っていた親子連れ。あとはバールのおじさんと、バールのテラスで休んでいた数人のみ。

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・・・で・・・この人、いや、ネコたちもこの通りの無防備ぶり。

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あ、ここにももう一人・・・でなく一ネコ・・・。

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・・・と思ったら・・・もっさりと起き上がってきて・・・ちょっとお~・・・ヒト(ネコですが)がいい気分でお昼寝してたのに、じゃましないでよーアンタ!・・・みたいなすごい顔。

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そしてなぜか、リド島を正面にして、まるでリゾート・ビーチの飛び込み台みたいなテラスがいつの間にかできていた。

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実際は、そのすぐ向こうに島自体を取り囲む塀があって、飛びこめないのであしからず。

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そう、いくら美しい海に囲まれた緑の楽園のようでも、この島はかつて、町から隔離される必要のある人のために存在した。修道院であれ、そしてまた精神病棟であれ。

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だが、こうして、すぐ目の前に、実際は手の届かない「町」が見えている、というのは、いったいどういう気分だったのだろう?見て、溜息をついていたのだろうか?いっそ見えないほうがいい、と思うことはなかっただろうか?

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今はすっかり静かな正面のサン・マルコ湾も、かつては、1年中、大きな船がいくつも出入りして賑わっていたはず。
この海の風景が、少しは慰めになったのだろうか?・・・それとも、今はただ、美しく見えるだけの水も、それこそが彼らの行く手と希望を阻む、最大の敵だったのかもしれない。

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そんなことも考えながら、アツすぎるヴェネツィアを対岸から眺めてみるのも、たまにはいい。

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今日は時間が遅くてもう閉まっていたが、興味のある方には、「精神病棟博物館」もある。

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26 luglio 2009
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by fumieve | 2009-07-27 05:29 | ヴェネツィア

モナ・ハトゥム Interior Landscape展

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ヴェネツィア、クエリーニ美術館
9月20日まで
(注:同館1階では、ビエンナーレ国別展示、クロアチア館・開催中)

Mona hatoum. Interior Landscape
Venezia, Museo Querini Stampalia
4 giu - 20 settembre 2009
www.querinistampalia.it/

いつも書いているように、イタリアでは、美術館、博物館といっても、元・ダレソレのお屋敷とか、元・修道院とか、古い建物の再利用である場合がほとんど。その建物自体を味わう楽しみはあるけれども、そうはいっても、美術館として建てられたわけではないから、実務上の不便はもちろん、展示そのものにも制限があったり、いろいろと無理がある場合が多い。
フレスコ画だの漆喰だの、はてはシャンデリアだの、と、ただでさえ主張の強いインテリアの中で、残念ながら作品や展示が完全に負けていることもあるが、一方で、そのバックグラウンドを生かした、その場ならではの展示を見ると、やはりとても嬉しい。
スペースのないヴェネツィアでは、その弱点を逆手にとってというのか、ときどき、常設展示の中に、特別展を組み込んでしまう、という、面白い試みがなされることがある。コッレール美術館などは、その常習犯の代表。
常設を見たことがある人には、間違い探しのようなその「常」との違いが楽しめるし、初めて訪れる人には、特別展だけではなくて、常設展示にも目をむけてもらう、なかなか賢い方法だと思う。

前置きが長くなったが、このMona hatoumの作品展は、2つの手法をミックスした、面白い展覧会だった。まず、2階の常設展示の中に、さりげなく置かれた作品たち。もちろん、すぐに、それとわかるものもあるが、常設のガラス・ケースの中に並べられている作品、さらに、文字通りほかのものに混じって置かれているものもあり、要注意。
だが、心配は御無用。こういう展示は、どれがどの作品だか、わからなくなる危険性が高いのだが、ちゃんと特別展の作品を列記した解説シートがあり、それを持って回れるようになっている。(イタリア語、英語あり。・・・たぶんフランス語も)
人の髪の毛で作ったネックレス(Hair Necklace)や、アンティークの棚にさりげなくおさめられたガラス製の色とりどりのフルーツの置物は実は地雷形・・・と、hatoumらしいだまし絵的な作品は、まさに間違い探し展示にぴったり。それどころか、もともと同美術館のコレクションの一部である展示品や家具を使った作品もある。

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一方、上の階の特別展示場には、これもhatoumらしいのだが、こちらは「空間」を生かした大きめの作品が並んでいた。ベイルート、バグダッド、そしてカブールの地図に円形で凹凸をつけた3-D Cities(2008-09)。戦闘の地とされるこれらの町でも、日常生活が営まれていることを示唆している。ほかにも、地球儀や地図を独自の目線で再解釈した作品がいくつか。
そして、一見、数珠のような、だが、その大きさはどうしても大砲の弾を思わせるWorry Beads。
どれも女性らしい、洗練された表現の中に、実はアイロニーがたっぷり含まれていて、見ているほうはドキリとさせられる。

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Mona Hatoum、ベイルート(レバノン)生まれ、パレスチナ人の両親を持つ。1970年代中盤、市民戦争のためにロンドンヘの移住を余議なくされる。80年代より、パフォーマンス・アート、ビデオ・アートなどで知られ始めるが、90年代に入ったころより、インスタレーションを手掛け始める。

これまで見てきたビエンナーレの展示でも、アフガニスタンやイラン、イラクといったって、実際は、国を出て、ロンドンやパリ、NYで活動している作家がほとんど。
それでも、いや、だからこそ、やはりその作品の中には、たくさんのメッセージが詰まっている。
彼らや、彼らの次の世代が、自分の国の中から新しい作品を生み出すようになるのは、いったいいつになることだろう?

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(写真は同美術館公式HPより借用)

25 luglio 2009
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by fumieve | 2009-07-26 09:13 | 見る・観る

ビエンナーレ・17~町中編12、知られざるアフリカ

コモロ連合、ガボン

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今回おそらく、多くの人が1番最初に目にしていながら、それと気づかずに見逃してしまっていたであろう作品。かくいう私も、だからこうして、いまごろになって改めて写真を撮りにいく羽目になった。

77カ国の参加国リストを見て、地理に弱い私は確かに、アゼルバイジャンやタジキスタン、あるいはラトヴィアやアルメニアがどこにあるのか、まったくわかっていなかったが、ともかく、少なくとも名前だけはどこも聞いたことがあった。ところが・・・

コモロ、と、ガボン。

・・・この2つに関しては、お恥ずかしながら、ほとんど全く初耳といった状態で、何か架空の国か、あるいはどこかの「地域」なのかと思ったくらいだった。だが、どちらも、はっきりと「国別参加」のリストに名を連ねている。

それはどちらも、アフリカの小国だった。
アフリカ大陸と、マダガスカル島の間にある小さな島々の国、コモロ連合「館」は、主に大国の固定の建物があるジャルディーニ会場内でもなく、固定の会場を持たないほかの国々のような町の中でもなく、ゆらゆらと水の上に浮かんでいた。

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Paolo W. Tamburella によるDjahaziという作品。
ジャルディーニ会場入り口前、このジャルディーニに通った最初の数日は、バタバタとあわただしくて、ちらりと横目で見ただけで流していた作品、コンテナの乗った舟を改めてよく見る。コモロの海はきっと、このヴェネツィアのラグーナとは比べものにならない美しさだろう、と思いつつ。
ほとんどの人に気づかれずに、そこにぽつんと放置されたような作品は、だが、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島の鐘楼とクーポラ、プンタ・デッラ・ドガーナとサルーテ教会のクポラ、そしてサン・マルコ大聖堂の鐘楼とクーポラ・・・と、おそらくヴェネツィアでもこれ以上は望めない、もっとも美しいシルエットを背景にしていた。

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一方、リアルト橋のすぐ近く、サン・サルヴァドーレ教会にくっつく形の、現テレコム・センターの柱廊では、ガボン共和国の展示が行われている。Go nogé mènè、フランス語っぽいタイトルから、アフリカ?と辛うじて想像した通り、同じアフリカの小国でも、こちらは、ギニア、カメルーン、コンゴに挟まれた西海岸にある。

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1953年パリ生まれの作家、Owantoは、フランス人を父、ガボン人を母に持ち、幼年期をガボンで過ごした後、人生の大半はヨーロッパ、すなわち、英国、フランス、スペインで暮らしている。

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アフリカとヨーロッパという2つのほぼ相反する世界の間を浮遊するOwantoの作品の中で、ヨーロッパ、すなわち「技術」と「都市」に代表される「西洋」世界のイメージが、ロンドンと並んで東京(渋谷)であるところは意表をついていて興味深い。

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国別展示・町中編も、ようやくあと少し・・・。

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Comore(コモロ)
Spazio acqueo antistante,
l’ingresso dei Giardini della Biennale

Gabon(ガボン)
Telecom Italia Future Centre
San Marco 4826

24 luglio 2009

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by fumieve | 2009-07-25 08:22 | ビエンナーレ2009

「彼」のその後

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ヴァンダル族(イタリア語でVandali、ヴァンダリ)、というのをご存知だろうか?
ローマ帝国の歴史の後半、いわゆる「ゲルマン民族の大移動」の「ゲルマン民族」の1つで、北アフリカに「ヴァンダル王国」を建設したのち、455年には、ローマを征服している。
いくつかの「蛮族」たちの中でも、とくに乱暴であったとされ、そのローマ征服時には多くの建築物、モニュメント等を破壊したことから、今でも、芸術や文化を解さない野蛮な人のことをイタリア語でヴァンダリ(vandali)、そういう行為のことをヴァンダリズモ(vandalismo)という。その中には特に、外からきた無法者、的なニュアンスを含む。

わずか1カ月半ほど前に紹介した、プンタ・デッラ・ドガーナの先っぽに立つ「カエルを持つ少年」。昨日から、なんとガラスのケースをかぶされてしまった。
ヴァンダリズモの被害がひどく、警備の費用がばかにならないため、だという。夜間、というので、つまり美術館閉館後のみ、ということだろう。

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こうして比べてみると、彫刻というものが、ハダカのままなのと、ガラスの中に収められてしまっているのとで、もうまったく別のものになってしまっていることがよくわかる。
しょせん大理石のカタマリ、動くわけでもないのに、むきだしでいたときには不思議なことに、「自然」な息遣いを感じた。
ところが全く同じ、彼はなんら変わっていないはずなのに、ガラスのケースに入ったとたんに、それは完全に過去のもの、悪い意味で博物館に押し込められた遺物、ミイラになってしまった。

1カ月半前には、カエルを持ち上げて、少し得意げに見えた彼の表情も、心なしか悲しげに見える・・・。

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たとえ透明なガラスでも、閉所恐怖症の私からすると、すでに見るからに息苦しい上に、無粋に施錠されていることによって、まるで牢屋にでも入っているかのような怖さを感じる。・・・く・・・ぐるしい・・・

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まず許せないのは数々の心ない行為をしでかすバカものたちだが、これはちょっと、もう少しなんとかならなかったのだろうか・・・。

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23 luglio 2009
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by fumieve | 2009-07-24 05:33 | 見る・観る

まな板の上、もとい、リング上の極楽~タイ・マッサージ初体験!

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何か仕事だったのか、あるいはお祭りだったのか、ともかく何人かの知人と一緒にいて、「まあまあ、いいからフミエさん、どうぞ」「え~ほんとにいいのおー?」と言いつつ、喜んで台の上に横たわって・・・これぞまさにまな板の上のコイだわ、なんて考えつつ、これからマッサージを受ける・・・
というところで目が覚めた。
え・・・夢・・・?・・・これからがいいところだったのに・・・。

もともと、夢をたくさん見るほうだし、それもわりと現実的な夢で、かつ、覚えていることが多いのだが、昨日はこれ。そして実は、ここ数日、誰か(知ってる人だったりする)と激しく言い争っているところで目が覚めて、ぐったりと疲れている・・・という夢が続いていた。国鉄に郵便局、底意地の悪いヴェネツィア人・・と、最近また、あちこちに文句や苦情を言いにいったり、いやな目にあったりすることが立て続けにあったのは事実で、ふだんお気楽に暮らしているようでいて、実はいろいろとストレスがたまっていたのかもしれない。

これはいかん。
こないだのタイ・フェスタで気になった、タイ・マッサージに行くことにしよう。

と、今朝はまず1番に、仕事もさしおいて予約の電話をする。すぐ今日の午後が取れるものだろうか?と心配したが、「大丈夫ですよ。」「何時ならあいてますか?」「何時でも」。・・・あんまりガラガラなのも、勝手なものでそれはそれで不安だが・・・。
「サイトに書いてある通り、予約時間の最低15分前に着けばいいんですね?」
「それは別に。お客様が早くお帰りになりたければ早めに、そうでなければ時間どおりいらしても。こちらは別に構いません。」えええーーー「お客様の都合に合わせる」なんて、イタリアでは聞いたことないセリフ。

ヴェネツィアの陸側、メストレ(Mestre)のちょっと外れ、地元の工業会(Confindustria)の建物が並ぶその中に隠れるように、タイ・スパ・ハウスはあった。
まずはソファに腰かけて、かけつけ一杯にお茶。持ってきてくれる葦のサンダルにはきかえて施術室へ。
エスニックらしさを出しながらも、モダンでシンプルなインテリア。1人用の部屋にしては、広くてゆったり。

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まずはシャワーを浴びて(5分と言われたら、ほんとに5分ですぐに施術員が戻ってきた)、紙パンツ一丁になって(黒のTバッグ、笑)、広いマットの上にうつぶせに。
「悪いのはどこですか?」「肩と首・・・あ、ときどき腰も」。
ミディアムにしますか?それともストロング?と聞かれて、迷わず「ストロングで」!
足元から、だんだんにぎゅっ、ぎゅっ、と押されていって、ふむふむ、いい感じ・・・背中へ来て、ぎゅっ!ぼきっ!おっ!、ぎゅぎゅっ!ぼきぼきぼき!おおお~~~!!!
ははーん、どうやらタイ・マッサージというのは、揉みほぐすだけでなくて、整体的なものも含むらしい。こりゃいいわー、と思っているうちに、力強い手は肩へ移動。ぎゅーーーとかゆいところならぬ、痛いところに手がぐっと入っていく。うわーーー、万年コリコリの肩、ここまで人の手が届いたのは、いったいいつぶりだろう?あまりの痛キモチよさに思わずよだれが出そうになるのを必死にこらえる。
そんな裏面(うつぶせ)はまだまだ序ノ口だった。タイ・マッサージは、マッサージではなく、プロレス、しかも、一方的に技をかけられるだけのそれ、だと気がついたのは仰向けになってからだった。ベッドではなく、床に敷かれた広めのマットは、単なる「おしゃれ」のためではなく、実は本格的なラウンドのためだった。

足の裏、指を入念に、きゅっ、きゅっ、ぎゅっ、ぎゅっ、・・・そこまではよかった。ぎゃーいたたたた・・・なんと、ふくらはぎのブヨブヨの上に、彼女が乗っかってるーーー!うつ伏せでなくて、仰向けで上から踏まれるふくらはぎって一体・・・???
そして、片足ずつ、曲げたりひっぱったり、開いたり、折ったり。ぎゅっぎゅっ・・・ぎゅーーー・・・えええーーー、ふだん私の足、そんな方向に開かないんですけど!?
・・・なにしろ、いくら小柄な彼女対大女ぎみな私とはいえ、こっちの足一本に向こうは全身でかかってくるのだから、かなわない。
ひー助けてえー足がもげる~~~・・・と心の中で叫びながら、なんだか怪獣を退治しているヒロインの図みたい、と思って笑ってしまう。
ごめんなさい、ゆるしてえー、みたいな気分になる。両足、両手と、全部もげる寸前までいって、完全白旗。
で、このあと、仰向けのままで手を上から突っ込んで肩のツボをぐりぐりする、これがまためちゃくちゃ気持ちよかった。ああ、この快感よ、永遠に・・・。
と思っていると、今度は容赦なく、ぽっこりお腹の上にも、腕から全体重をかけて、ぎゅー。うわー!

ようやく一通り終わって、ここまででももう十分すごかったが、ここからオイル・マッサージ。足、手、と末端から、今度もしっかりツボははずさずにもみあげていく。いやはや、極楽極楽・・・。顔はさすがに、オイルでゆーるゆるマッサージ。
そして半身起き上がって、腰から肩、首にかけて再び軽くもんで、これで終わりかと思ったら・・・ぎゃー!!!甘かった!最終ラウンドは坐像技。あぐらの状態で、全身を丸められたり斜めに引っ張りあげられたり、これがまた、痛いのなんのって。
それだけふだん、使ってない筋肉がいっぱいあるんだろうけど、今度は腰がちぎれるかと思った。
こうして徹底的にもみほぐされて、最後に「肩、どうですか?ものすごい硬かったですねー」・・・なんだか、褒められてる?そりゃ、さぞほぐしがいがあったのだろう・・・。

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初めての方ならとりあえず、と勧められた「タイ・スパ・マッサージ120分コース」、終わってみたら120分どころか、10分くらいオーバーしていた。私の肩の硬さが、予定以上だったのだろうか?(笑)
実は行くのに迷って(また?)、15分早く着くどころか、遅れて到着したのに、この待遇は申し訳ないくらい。これで95ユーロは安い。
迷いに迷った行きには、「遠いからもう来ないかも」と思ったが、前言撤回!これはリピーターになってしまいそう。

ヴェネツィア・メストレ駅から31番のバスに乗ると、ほぼ目の前で降りられる。
徒歩は絶対にお勧めしない。

Thai Spa
Viale Ancona, 37 - Venezia Mestre
Tel. 041 53 22 956
www.thaispa.eu

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22 luglio 2009
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by fumieve | 2009-07-23 07:57 | からだにいいこと

ビエンナーレ・16~町中編11、ジュデッカ島

アゼルバイジャン
公認並行展:Palestine c/o Venice, Liu Zhong.Praise of Nature, John Cale: Wales at Venice


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宴のあと、のジュデッカ島は、またいつもの静かなジュデッカに戻っていた。

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本島のザッテレ(Zattere)から2番の水上バスに乗ると、ジュデッカ島で3つめの停留所、ジテッレ(Zitelle)を降り、アゼルバイジャン館の垂れ幕のある入口をくぐってまっすぐいた左側。ここジュデッカの市民会館というか、こういうちょっとした催しもの会場である、CZ95は、れんがの新しい建物。会場全体を使い、複数の作家が紹介されていた。

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真ん中の、ちょっとしたコンサートなども開かれるホールには、Naika Sultanという作家によるアゼルバイジャン式少女マンガの挿絵ともいうべきファンタジーなシリーズ(しかも若干ヘタウマ系・・・)と、一方、人間の生活の場面や、それをちょっとシュールに描いたNiyaz Nakafovという作家の油彩など。

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奥の小さな部屋は「カーペット」の間。右側のPCは、Khatt Art Groupによる作品で、各自がそれぞれ好きなようにカーペットをデザインする、というものなのだが、使い方がいまいちよくわからなかった。

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ジュデッカ島、パランカ(Palanca)停留所から右に少し行ったところ、ピストル通り(Calle del Pistor)を入って細い道をずっと行った奥の突き当たり、そっけない建物の入口を入ると、奥に明るい回廊が広がっている。
展示は2階。
Palestine c/o Venice(ヴェネツィアのパレスチナ)展は実質、ヴェネツィア・ビエンナーレ第53回にして初の「パレスチナ館」と自ら名乗っている。

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Emily Jacirによるstazione, 2008-2009。「ご自由にお取りください」のヴェネツィアの地図を取ると、なんと、おなじみヴェネツィアの水上バスの路線図が全部アラビア語表記になってる上、停留所がイタリア語・アラビア語併記になっている写真がずらりと並んでいる。かつて、アラブ世界の文化や物資を、欧州に紹介する窓口であったヴェネツィアで、その意味を再考する、という作品。実際に、バス1番の路線の停留所に、アラビア語表記をするはずだったのが、そのプロジェクト(作品)はどういうわけだか中止になったらしい。

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次の一風変わった「作品」は、Khalil Rabahによる3rd Riwaq Biennale 2009, A Geography : 50 Villages。Riwaqビエンナーレという美術展の会場に選ばれた50カ所の町や村の、絵ハガキと全体の詳細を記した地図が置いてあり、これも「ご自由にお取りください」。
行ったことのないはるか遠くの国、悲惨なニュースばかりを目にするけれども、ほんとうは歴史と文化の詰まった土地に、いつか旅をすることができるだろうか・・・と思いをはせつつ気に入ったハガキを手に取る。

もちろん、そんなドキュメンタリー・タッチのプロジェクトだけではなく、現代アートらしい作品も。

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ガザ出身、Taysir BatnijiのHannoun。下に散っている花びらのように見えるのは、実は赤い色鉛筆の削りかす。

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運河に面した道に戻って、そのままずっとヒルトン・ホテル方向に歩いていった先、小さなギャラリーで開催しているのが、Liu Zhong. Praise of Nature展。
ちなみに、私はまだ見ていないが、同展は、本島内にもう1カ所展示している。
作品は、うーーーん・・・正直、特別好きではない(特別に激しく「嫌い」というほどでもないが)。動物をモチーフにした絵なのだが、コメントが難しい。玄人と素人の違いはどこにあるのか、というのか・・・。

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そのまま、運河沿いの道をさらに進み、もうヒルトンへ渡る橋の直前。アーチ型の門をくぐると、モダンな長屋アパートが並ぶ。付き当たりを道なりにちょっと左へ向かったところが、John Cale: Wales at Venice展。これも実質、ウェールズ館と言ってよいだろう。
まず、映像作品で上映時間40分、開始は1時間おき、との表示を見て、これがジャルディーニのメイン会場内だったり、オープニング期間の忙しい時期なら、くるりと踵を返していたかもしれない。
だが、今日はせっかくここまで来て、しかもこれを見にきたのだから、やっぱり見ないと帰れない。急ぐ旅でもなし、最後の18時の回を待つことにした。
平日のそんな時間、1人だったらどうしよう?と心配したが、案外何人も待っている。が、全員英語で、しかもおそらく英国人だ。いまごろ関係者でもないだろうが、それでも、ある程度はこれをお目当てに来ているのかもしれない。
倉庫状の細長い空間に、白いスクリーンが6つ(5つだったかも?)並んでいる。映像と音と言葉。待ち時間に読んだパンフレットによると、「ウェールズの文化的歴史を支える吟遊詩人的な伝統と共鳴」し、かつ、「Caleの個人的なウェールズ語とそれを取り巻く環境との関わり」を表現した、ということのようなのだが・・・
正直のところ、もしこれがウェールズの文化をなんらかの形で現わしたものだとすると、まず最初にそこから学んだのは「忍耐」の一言だった。

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まず、あまりのテンポの遅さ。(加えて、英語のナレーションのような部分は、私はほとんど聞き取れなかった)ウェールズの美しい自然や、伝統音楽、そして未知のことば(詩)がどういう形で出てくるのかとずっと待っていたのだが、40分という時間をフルに使って、それは最後まで、少なくとも期待していたような形では出てこなかった。

イギリスという国の中で、イングランドとは違う文化、違う国としてアイデンティティーを主張するはずのウェールズ館が、複数スクリーンの同時上映で主だった起承転結はなく、疑問符を抱いたまま時間が流れていく・・・という、英国館と全く同じタイプの作品を展示しているのは偶然なのだろうか?
時間決めで入れ替え制の方式にすると、入るのに待ったり並んだりしているために、「せっかく入ったんだから最後まで見なきゃ」という心理が働くが(実際、そうでなければ、せっかちな私はどちらもあっと言う間に外に出てしまっていただろう)、最後まで見ても、やっぱりわからないものはよくわからない。

Azerbaijan(アゼルバイジャン館)
CZ95 Centro Civico Zitelle
Giudecca 95

Palestine c/o Venice
Convento dei santi Cosma e Damiano
Giudecca 619 (Campo San Cosmo)

Liu Zhong. Elogio della natura / Praise of Nature
Giudecca 795 Art Gallery
Fondamenta San Biagio, 795

John Cale: Wales at Venice
Ex birreria, Giudecca 800/G

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(橋、片付け中・・・)

21 luglio 2009
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by fumieve | 2009-07-22 08:35 | ビエンナーレ2009