ヴェネツィアの春から初夏にかけての味覚の1つ、「サンテラズモのカルチョーフィ(アーティチョーク)」。
先日、
マリーザのお料理教室でも登場したカルチョーフィ(carciofi、アーティチョーク)だが、実は種類がいろいろあって、マリーザのところで使ったのは、ローマ風(romani)と言われる、まんまるで蕾そのものが大人のこぶしくらいの大きさがあるもの。
ヴェネツィアのラグーナ(潟)内、その名の通りサンテラズモ(Sant’Erasmo)島をはじめ、ヴィニョーレ(Vignore)、リオ・ピッコロ(Lio Piccolo)、マラモッコ(Malamocco)、マッツァルボ(Mazzarbo)で生産されるカルチョーフィは、大きさももっとずっと小さく、形もちょうどバラなどの蕾のような形をしていて、より柔らかく、繊細な味のカルチョーフィとして、地元で愛されている。
その中でも特に珍重されるのは、「カストラウーレ(castraure)」と呼ばれるもので、脇芽を大きく育てるために、出たばかりのところであえて間引きされた、先端の蕾の部分。「カストラウーレ」の言葉は、去勢する、という意味のカストラーレ(castrare)からきている、と思えばわかりやすい。
そうしてその後に大きくなったものは、ボトリ(botoli)と呼んで区別されるが、このボトリでも、小さくて蕾型をしているのはカストラウーレと一緒。
サンテラズモといえばカルチョーフィ、カルチョーフィといえばサンテラズモ、そしてサンテラズモといえばカストラウーレ・・・と、ヴェネツィアでは誰もが、連想ゲームのように反応する。
サンテラズモの産直野菜を購入しているのは、まず、地元で作っている安心でおいしく新鮮な野菜を食べたい、というのが第一だが、実は、ウワサの「サンテラズモのカストラウーレ」の、ほんとに本物をぜひとも家でも食べてみたい、という目論見もあった。
ホンモノができるのは、4月中旬から6月ごろまでのほんの短い期間。昨年は残念ながら、タイミングが合わず、注文リストにカストラウーレが載っかっている間にうまくオーダーすることができなかった。
今年こそ!とはりきっていたが、今年は春先から今まで雨の多いさえないお天気の日が続き、成長が例年よりずっと遅れていた。リストにようやく登場したのは、確か2週間前だった。
すぐにオーダーした1回目は、写真を撮るのも忘れてあっという間にお腹におさまってしまった。今回は2回目。そしてこれは、すこし大きめなので、(たぶん)カストラウーレでなくてボトリの方。
ふつうのカルチョーフィと同じように(ただし、ほんとにやわらかいのでやさしく)皮をむいて、頭の部分を切り落とす。
(ただし、あとからサイトなどを見たら、もう少し頭もお尻も残すような形で切ってよかったよう。)
熱湯に軽く塩を入れ、茹でること数分。(おそらくほんとはここに、レモンも1/4切れぐらい入れたほうがいいと思われる。)
オリーブオイルをたらりとかけて、それだけでいただく。
おいしい。
グリーン・アスパラにも共通する、アクの強い主張の強い味。花弁の部分のしゅくしゅくとした歯触りはアーティチョーク独特、ただしうんとやわらかい。
芯から茎にかけては、ちょっともったりと里芋のような味がする。
上記、説明についてはサンテラズモ・カルチョーフィ組合のHP(www.carciofosanterasmo.it )を主に参照し、ついでに地図も拝借した。
前菜からパスタ、メインにその付け合わせ・・・と、テーブルで大活躍のカルチョーフィ、このサンテラズモ産のものをつかったレシピも同サイトで紹介されている。
・・・だがきっと、私はまた一番シンプルに、塩茹でにオイルをかけて食べるんだろうな・・・。
22 maggio 2010